生意気な奴
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沢北「昨日も残って山城さんの練習見てたんスか?」
翌日の朝練の前に部室で着替えていると、入ってきて早々おれに尋ねる沢北。
『そうだぴょん。』
沢北「はぁ………。」
俺が答えるなり深くため息をつく沢北。
『そんなため息付いてどうしたぴょん?』
沢北「はぁ…。これだから鈍感な人は嫌だ嫌だ。」
『鈍感…?』
沢北は何のことを言ってるんだ…?
河田「はぁ……。沢北、そいつバスケ以外の事は理解しようとしないから分かるわけないべ。サイコパスだし。」
続いて少し離れたとこで着替えたいた河田までが大きなため息をつく。
ため息つくの流行ってるのか…?
『お前らは何を言ってるんだぴょん?』
野辺「はぁ…。本当に分かんないのかよ…。」
続いて野辺までもが…。
『はっきり言えぴょん。』
沢北「だーかーら。山城さんは深津さんに気があるんじゃないかって事っスよ!」
沢北は悔しそうな顔で俺にそう告げる。
『………?』
理解が追いつかないでいると…、
河田「やっぱ気付いてなかったのかよ。山城はお前と俺たちじゃ態度全然違うし、絶対お前のこと好きなんだろうってお前以外は皆んな思ってんぞ。」
沢北「はぁ…。俺、本気で山城さんのこと本気で狙ってたのにな…。顔も性格もめっちゃタイプだったのに…。」
野辺「ワカル…。」
山城が俺のことを…!?
『そ、そんなことないベシ。ただ俺に懐いてるだけベシ。』
俺は恥ずかしくなりとっさにそんな事を言ってみるが…。
沢北「深津さん、語尾間違えてるっスよ。」
河田「相当動揺してんな…。」
そうしてこの日は一日中嬉しい気持ちが半分と信じられない気持ちが半分で部活も授業もイマイチ集中しきれずふわふわしていたのだった。
そしてこの日も練習が終わり…、
『お、お疲れぴょん。き、今日も練習見てやるぴょん、山城。』
いつもの様に練習を見てやろうと山城に声を掛けるが、朝皆んなに言われたことのせいで変に気にして言葉がどもってしまった。
リリコ「え、なんでそんなにオロオロしてるんですか、深津先輩。」
それが山城にも伝わってしまった様で不思議な顔でこちらを見ていた。
『な、別になんでもないぴょん。』
平然を装うが疑う様な目でこちらに顔を近づけてくる山城。
山城の顔をこんな近くで見るのは初めてかもしれない…。まつ毛が長くて綺麗な瞳だな…。
なんて思っていたが俺は恥ずかしくなってすぐに目を逸らした。
「いや、絶対おかしいけどなー。まぁいいか。あっ、今日はちょっと用事あるんで帰ります!」
『分かったぴょん…。』
山城が入部してからそれが日課になっていたので少し寂しく思ってしまう。
すると…、
リリコ「何寂しそうな顔してるんですか?」
ニヤついた顔で俺にそう尋ねるリリコ。
『してないぴょん。清々するぴょん。』
リリコ「あはは、はいはい。明日はお願いしますね、深津さん。それじゃお先に失礼しますー!」
余裕そうに笑いながら山城は体育館を出て行った。
なんか…ムカつくぴょん…。
河田「お前… 山城の手のひらで転がされてんな…。」
先ほどの様子を見ていた河田が俺に近寄ってきてボソリと呟いたのであった。
そしてその翌日も朝練前の部室で着替えていると…、
沢北「大変っすー!大変なんすよー!」
勢いよく扉が開き沢北が騒ぎながら入ってきた。
河田「沢北うるさいべ。」
『本当朝から騒々しいぴょん。一体何があったぴょん。』
どうせくだらない事だろうと思いつつ着替えの手を止めることはしないが一応聞いてみてやった。
沢北「昨日……。昨日、親父と隣駅のスポーツショップに行ったんスけど……、そこで山城さんが男と一緒にいるの見ちゃったんスよー!!!」
その光景を思い出してしまって涙目になる沢北。
一同「「「「「「はぁー!?!?」」」」」」
それを聞いた瞬間みんなの態度が一変。
部室内がガヤガヤと大騒ぎになり始めた。
松本「まじかよぉ!!!!」
一ノ倉「やっぱりあんな可愛い子に彼氏がいない訳なかったんだ…。」
野辺「いや、だからって割り切れねーよ!!」
もはや錯乱状態の部員たち。
いつもならそれを止めるのが俺の役目だが俺もそれを聞いてあまりにショックが大きすぎて何も言葉が出なかった。
もしかしたら山城も俺のことが好きなのではないか…と期待していたのに…。
あれは俺たちの勘違いだったのか…?
河田「まぁお前ら落ち着け。それが彼氏って決まったわけじゃねーべ。で、そいつはどんな奴だったんだ?」
沢北「それが東北学院大学のバスケ部のジャージを着てたんスよ!」
一同「「「「「東北学院大学バスケ部!?」」」」」
それを聞いて驚く一同。
東北学院といえば東北地区では有名なバスケの名門大学であり山王バスケ部の卒業生も毎年何人も進学している。
沢北「そうなんスよ…。いや、でもあれは絶対彼氏っス…。俺より背が高くて顔もカッコ良くて…本当に美男美女のお似合いの2人って感じでしたから…。」
松本「くそ…。何だよ、大学生の彼氏って…。山城は深津の事が好きだったんじゃねーのかよ…!」
野辺「あんなに可愛いんだから高身長イケメン大学生の彼氏がいたっておかしくないだろ…。ドンマイリリコ…。」
野辺が慰めようと俺の肩に手をポンポンっと置く。
『いや、別に俺は山城の事はなんとも思ってなかったからどうでも良いぴょん。』
それはみんなの前での精一杯の強がりだった。
河田「深津、俺らの前では強がんなくても良いべ。」
『強がりじゃないぴょん。リリコなんて生意気な妹ぐらいにしか思ってないぴょん。恋愛対象とかそういうのではないぴょん。』
するとゆっくりと部室の扉が開いて…、
沢北「おい、美喜男大変だぞ!!…って。えっ!?山城さん!?」
美喜男がやって来たのかと思ったら何故かその横に山城がいた…。