生意気な奴
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『だいぶ良くなったぴょん。ま、抜かれないけどぴょん。』
リリコ「深津先輩を抜ける気しなさすぎて良くなってるのかどうかも自分じゃ全然分からない…。」
『当たり前ぴょん。そんな口で言ったくらいですぐに抜かれたらこっちもたまったもんじゃないぴょん。』
俺がアドバイスしてからまた少し1on1をしていたがこの短時間にしてはかなり成長したと思う。
リリコ「ぜーったい深津先輩が卒業するまでに1ゴールくらいは奪えるようになってみますから!」
これはまた俺とバスケしたいってことか…。
嬉しくて顔が緩みそうになるのを必死で堪えた。
『望むところだぴょん。あ、それよりお前バッシュの踵すり減りすぎぴょん。そんなんじゃ怪我するぴょん。』
そして俺は先ほどから気になっていた事をリリコに指摘した。
リリコ「あ、これ中学の時から使ってたやつで…高校入ってからバスケで出来るかわかんなかったからまだ買ってなかったんですよね…。でも買います!深津さんを倒すために…!」
彼女の目のは真剣そのものだった。
俺を倒すと息巻いていて生意気なのに何故か応援したくなってしまう…。俺は負けたくはないのに。
彼女は何か俺を不思議な気持ちにさせる力があるようだ…。
『でもどうしてそんなにバスケがしたいんだ?どうせ5人集まって部活になったとしても寄せ集めのチームじゃせいぜい地区大会1回戦負けは目に見えてるぴょん。』
元々俺は彼女のことが色々気になってはいたが今日のバスケをしてさらに気になってしまった。
リリコ「別に勝ちたいとか試合に出たいとかって訳じゃないんです。ただバスケが好きなだけで。バスケ名門山王工業キャプテンの深津さんには分からないかもしれないけど…。」
『分からないかが…、でも今日山城と一緒にバスケして少しわかった気もするぴょん。』
楽しそうにバスケをする彼女を見て俺もバスケを始めた頃のあのただ純粋に楽しんでいた時のことをほんのり思い出した気がした…。
今は山王のキャプテンという重圧が重くのしかかり楽しめてはいないかもしれないな…と。
リリコ「え?何で私とバスケして分かったんですか?」
『いや、こっちの話ぴょん。でもそう思うなら尚更バスケ部にマネージャーとして入部しろぴょん。別に寄せ集めのメンバーで作った同好会なんかになんの未練もないだろぴょん?』
リリコ「まぁそうっちゃそうですけど…。バスケはやりたいけどマネージャーなんて別にやりたくもないし…。」
『マネージャー引き受けてくれるならまたこうやって練習みてやるぴょん。勝負もいつでも受けてやるぴょん。』
リリコ「え、良いんですか!?やります!!!」
まさか即答とは…。
喜びよりも信じられないという気持ちが大きかった。
でもいつも俺に対して生意気な態度ばかりの山城が今日すごく素直でいつもと違うその感じに何故かドキッとしてしまう。
これが沢北の言うギャップ萌えというやつなのだろうか…。
そして翌日、惜しまれることもなく女子バスケットボール同好会は解散。そしてめでたく山城はマネージャーとして入部したのだった。
『彼女は今日からマネージャーとして入部した山城リリコぴょん。』
リリコ「建築科1年の山城リリコです。よろしくお願いしまーす。」
パチパチパチパチッ
練習前のミーティングで山城をみんなに紹介すると体育館に溢れんばかりの拍手が響き渡る。
沢北「ちょっと深津さん!!!どういう経緯でリリコさんうちの部に入ることになったんスか!?」
ミーティングが終わると真っ先に俺の元にやって来た沢北。
『別にもう一度マネージャーやらないかって掛けてみたら引き受けてくれただけぴょん。』
河田「まぁなんにせよファインプレーだ、深津!」
野辺「あんな可愛い子が同じ空間にいるなんてどんなにキツイ練習でも頑張れそうだ…。」
それにうんうん。と頷く他の部員たち。
『無駄口叩いてないでさっさと練習始めるぴょん。早くコートに入れぴょん。』
一同「「「「うっす。」」」」
こうして念願のマネージャーを手に入れた俺たちはその日の練習を始めた。
沢北「山城さん、ちょっとスポーツドリンク用意してもらって良い?」
リリコ「えっ、嫌ですよ。自分でやってください。」
沢北「は、はい!」
マネージャーの責務を放棄し、何故かコート脇でドリブルの練習をする山城。
その様子を横目に見ながらも、まぁ沢北だし良いか。なんて思いながら自分の練習に戻る。
松本「あの山城さん、練習試合やるからスコア記録してくれるか?」
リリコ「えー、それって私がやんなきゃダメですか?今練習中なんですよ。」
今度は松本にもそう言いながらドリブルの練習を続けている山城。
松本「あっ、なら良いよ。練習頑張ってな。」
なんて諦めて練習に戻ろうとする松本。
みんな山城が可愛いからって甘やかしてすぎだ。
『おい、山城。マネージャーになったからにはちゃんと仕事をしろぴょん。』
リリコ「えー。」
『えー、じゃないぴょん。ちゃんと仕事しない奴にはボール触らせないし練習も見てやらないぴょん。』
リリコ「えー!それは困る困る!松本先輩、スコアブックはどこですか?」
松本「あっ、あの机の上だ。」
俺の言うことを意外と素直に聞き入れるスコアブックを取りに向かう山城。
松本「なんだよ。深津の言うことは素直に聞くんだな、あの子。」
『お前らあんまり甘やかすなぴょん。』
と松本をはじめとする部員たちみんなに注意するも山城にデレデレな彼らは今日の練習中はずっとこんな感じだった。
隙あらばボールを触って自分が練習しようとしていた山城も最後の方は進んで仕事をしてくれるようになっていたし、部員たちのやる気も彼女のお陰で大幅アップ。
やはりマネージャーに引き入れて正解だったぴょん。