生意気な奴
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『1年、サボるなぴょん!ダッシュ10本ぴょん!』
俺の名は山王工業バスケ部キャプテン、深津一成。
俺たちはインターハイ予選を控え猛練習中だぴょん。
自分も練習に励む傍ら入ってきたばかりの一年生に指示を出す。
厳しい練習はなかなかにキツイがそんな俺にはここ最近密かな楽しみがある。
表には出さないが今日もその人物がやってくるの待っていると体育館の扉が開いた。
リリコ「深津先輩!」
お、来た来た。
その小柄な彼女はたぶん30センチ近く背が高いであろう俺を下から強い眼差しで見つめる。
大きな瞳に長いまつ毛、整った顔のパーツ。
そしてパーマがかったふわふわの長い髪。
『今日も来たのかぴょん。』
本当は彼女が来るのを心から待ち望んでいたのにそれを感づかれないように素っ気ない態度を取る。
リリコ「ええ、何度だって来ますよ。我らが女子バスケットボール同好会に体育館を半分、いや4分の1で良いので貸してくれるまでは!!」
彼女の名は山城リリコ。
今年山王工業に入ってきた一年生で女子バスケット同好会のメンバーだ。
『はぁ…。だからそれは無理だぴょん。俺たちはインターハイ予選を控えている大事な時期ぴょん。せめて話は正式な部活になってからしてほしいぴょん。』
ここ最近何度断っても毎日のように俺の所へ頼みにくるのだ。
リリコ「同好会だってちゃんとした組織ですー!」
同好会といっても彼女が強引に誘い入れたメンバー3人で構成された、ただの仲良しグループである。
しかも他の2人は大してバスケには興味がなさそうで、最初のうちは3人揃って体育館利用についての交渉に来ていたのに最近来るのは山城1人である。
『とにかくダメぴょん。』
リリコ「うー…!深津先輩のケチ!ひとでなし!冷酷!サイコパス!」
『なんとでも言えぴょん。というかそんなにバスケが好きならマネージャーになればいいぴょん。募集中だぴょん。』
山城がマネージャーになってくれたらなぁ…なんて期待を膨らませながらそれとなく誘ってみるが…。
リリコ「私は!バスケがしたいのであって先輩たちの応援がしたいわけじゃないんです!」
そうキッパリ断る山城。
彼女をマネージャーとしてバスケ部に引き入れるのは残念ながら厳しいようだ…。
そんな所に…、
沢北「まぁまぁ深津さん。良いじゃないッスか、コートの一部くらい貸してあげれば。」
そこに現れたのは沢北。
こいつ…絶対山城に好かれようとして優しくしてるに違いないぴょん。
山王バスケ部始まって以来の2枚目と言われ調子に乗りやがって…。
いけ好かない奴め…なんて思っていると…。
リリコ「私は、深津先輩に聞いてるんですっ!」
沢北「えっ…あ。なんかごめん…。」
と、何故か沢北には全く興味がなさそうな山城。
全国的にも有名で女子生徒たちからも人気なあの沢北を…。
リリコ「とにかく今日のところは帰りますけど、また来ますからねっ!」
『何度来たって同じぴょん。』
そんな皮肉を彼女に吐くも、内心は毎日来てほしいなんて思っているのはここだけの話だぴょん。
沢北「もぉー!深津さん少しくらい体育館貸してあげれば良いじゃないっすかー!」
山城が体育館を出て行くなり俺に文句を垂れる沢北。
『沢北、お前随分山城に協力的ぴょん。』
沢北「そりゃあ…あんな可愛い子がおんなじ空間に居たらもうそれだけでやる気も3倍くらいにはなるっスよ。」
横では他の部員たちも、うんうん。と頷いている。
松本「はぁー。可愛いよな、山城さん…。入学当初から可愛い子が入ってきたって話題になってたよな。」
河田兄「校内1!いや、山王工業の歴史史上1の美少女とも言われているくらいだべ…。」
まぁ女子の少ない工業高校だし校内1というのは分かるが、歴史史上1とは何を根拠にそんな事を言っているのだろう…。
沢北「そして見た目とは裏腹にあのツンツンしてる性格が最高なんすよね!おい、美喜男お前同じクラスとかじゃないのか?紹介しろよ!」
美喜男「隣の建築科クラスなんでよく見かけますけど話したことはないですね…。」
沢北「えっ、山城さん建築科!?頭も良いのかよ…。ますますギャップ萌だなぁ。」
『沢北、キモいぴょん。』
沢北がキモいというのは置いておいて、ウチの学校の建築科は有名で毎年人気があるためその科だけはダントツ偏差値が高くかなり難関と言われている。
野辺「はぁ…。顔も可愛くて頭も良いなんて俺たちみたいなただのバスケ馬鹿にはノーチャンスだなぁ…。」
野辺の言葉にうなだれる部員たち。
沢北「いやでも!山城さん同好会作るくらいバスケが好きって事じゃないっスか!バスケでカッコいい所見せれば俺たちにもチャンスはあるかもしんないっス!!あー、俺次の試合山城さんに観に来てくれって誘ってみようかな!」
河田「抜け駆けは許さん!俺が誘うべ!」
松本「いや俺が!!」
先程まで意気消沈していたくせに沢北の言葉でまた騒ぎ出す奴ら。
しかしそんなところに冷静な男が…、
一ノ倉「いや、どう考えても山城さんはお前らには興味ないだろ。」
その瞬間石のように凍りつく部員たち。
一ノ倉「だってさっき沢北が話しかけても全然興味なさそうだったろ?いろんな雑誌で取り上げられて全国的にも有名な沢北がだぜ?あの感じじゃ俺たちには興味ないだろうな…。」
野辺「タシカニ…。」
こうして部員たちは再び意気消沈。
無駄口叩いてないでそろそろ練習を再開させようとした時、
一ノ倉「あ、いやでも…深津だけはあるかもな。いつも体育館入るなり深津目掛けて一直線にやって来るし、この前はそこの扉からじーっと深津の練習してるとこ見てた。」
俺の練習を見ていたことは知らなかったが、いつも俺のところにやって来るのは単に俺が部長でこの部の責任者だからだろう。
そんなこと思っていると…、
沢北「ははは。いや、イチノさん。それはないですって!深津さんっスよ!?いつもおんなじ表情しかしないし語尾も変だし!」
沢北の言葉に笑い出す部員たち。
『おい沢北…。それから今笑った奴らも…外周30週ぴょん!』
「「「「「…………。」」」」」
『返事は?』
一同「「「「「はい……。」」」」」
こうして俺は部長権限でムカつく奴らにペナルティをお見舞いするのであった。
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