次の日、授業が終わり部活へ行くとリリコちゃんも昨日振られてた奴もちゃんと部活に来ていた。


俺は体育館に入って早々リリコちゃんの元へ駆け寄り昨日の謝罪をした。


『リリコちゃん、昨日はごめんな。ちょーっとリリコちゃんのことからかおうかなぁって思っただけで、本気で言ったわけじゃないんだ。』



「あ、いえ。こちらこそすみませんでした。これからは気をつけますね。」


そう言って俺に笑い掛ける彼女は無理して笑っているように見えた。



その日もいつも通りに練習が終わったが、リリコちゃんは心なしか元気がなかったように思えた。

やっぱり俺が言ったこと気にしてるんだろうか…。



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その日も一旦家に帰り飯を送った後体育館へ戻った。

今日は体育館の明かりが消えているので誰もいないようだ。

体育館の明かりをつけて倉庫にボールを取りに向かうと扉の隙間から光が漏れていた。


倉庫に誰かいるんだろうか…？



扉を開けると中には1人で黙々とボールを磨くリリコちゃんの姿があった。



『リリコちゃん！！こんな時間まで1人でボール磨いてたの？』


俺は驚いて尋ねる。



「はい。私がマネージャーとしてやるべき事は何かなぁって。私、こんなこと位しかできないですから…。」


申し訳なさそうに俯きながら話すリリコちゃん。


『あっ、もしかして俺が言ったことを気にしてた…？』


「べ、別にそういうわけじゃないですっ。ほらっ！早く練習してください！」


そう言って彼女は恥ずかしそうな顔しながら、俺を早く倉庫から追い出そうとした。


『俺もボール磨くのを手伝うよ。』


「だめです！これは私の仕事ですから。仙道さんの仕事は練習することなんですよ！」



そう言って彼女は俺にボールを渡した。


俺は少し彼女のことを勘違いしていたようだ。なかなか芯の強い子だなぁと感心して練習を始めた。
2時間ほど自主練習をしてそろそろ切り上げるかと倉庫を覗きに行くとリリコちゃんもちょうどすべてのボールを磨終えたところだった。


なかなかの数なのに1人でやり遂げてしまうなんて大した子だ…。


「あっ、仙道先輩。今日はもうおしまいですか？」


『あぁ。リリコちゃんボールありがとな。ほんとだったら1年生の仕事なのに。』


「あはは。私だって1年生ですよ？このくらい任せてください！」


そう言うリリコちゃんの姿は本当に頼もしくって、昨日自分が言ってしまったことを激しく後悔した。



『さ、帰ろーか。もう遅いし駅まで送るよ。』



「大丈夫ですよ。駅すぐ近くだし。」



『いや、だめだめ。夜道は危ないんだから。』


俺は半ば強引に自転車のうしろに乗せて駅へ向かった。


「仙道先輩、ありがとうございます。」


『あはは。これぐらい当たり前のことだから。お礼なんて言わなくたっていいよ。』


「なんか、私仙道先輩に嫌われてると思ってました…。何か私に対して冷たい感じしたし…。」


『えー、そう？それは勘違いだよ。』



俺はごまかしたが、リリコちゃんの言う通りかもしれない。

男に媚びようとする雰囲気があったような気がしたし、ちやほやされていい気になっているのではないかと思っていたからだ。



ただしそれは昨日までの話だ。


それがすべて俺の勘違いだったと言う事が今日の彼女の行動でわかったからだ。

彼女は単にバスケ部のためにできることを全力で頑張ってくれようとしているだけのひたむきなマネージャーなのだ。