俺は真剣だ!

『行かないでくださいよ!関係ない事ないっす!!』


[#dn=1#]さんの両肩を掴み身体を揺らす。



「ちょっ!信長!」




『[#dn=1#]さんは俺の大切な人なんです!たとえ振り向いてもらえなくても俺にとっては憧れの人なんですよ!?
だから…!だから…そんな軽い女になんないで下さいよ!!』



[#dn=1#]さんが一瞬ハッとしたような顔をしたのは気のせいだろうか…?


しかし[#dn=1#]さんは再び俺の手を振り解いて、仙道の部屋へゆっくりと歩き出す。






ーーやっぱ信長の真剣さが伝わってないんじゃない?[#dn=2#] にーー






いつかの神さんの言葉を思い出す。




こんなに必死に伝えてるのに…、俺の真剣さはまだ伝わんないのかよ…。






自分の無力さを痛感しその場に立ち尽くしていると、前を歩いていた[#dn=1#] さんがピタリと止まった。



そして踵をクルッと返してこちらに向かって歩いてきた。



「やっぱやめた。」



『…へっ?』


なんともあっさりと言う[#dn=1#] さんの態度に俺は間抜けな声が出てしまった。


「やっぱりやめたの。信長、アイス食べたい。コンビニ行くの付き合いなさいよ。」




『はい!!もちろんっス!!俺、奢りますよ!ハー○ンダッツでも何でも!!!!』




俺の真剣さがついに通じたのかと嬉しくなって[#dn=1#] さんの横をスキップしながら歩く。


  
「その歩き方キモいんだけど。」



と言いながらも[#dn=1#] さん珍しくは笑っていて、彼女の笑顔を見られた事が嬉しすぎて歩き方をディスられたことなんてどうでも良かった。
宿舎の外のコンビニへ行ってアイスを食べながら2人で帰り道を歩く。




「信長、ありがとね。」



『ん?あぁ。アイスぐらいまたいつでも奢るっス!』



そう言ってニカッと[#dn=1#]さんに笑いかける。



「いや、そうじゃなくて…。……れて、ありがと。」


ん?違うのか?
何やら小さい声でゴニョゴニョ言ってて聞き取れない。



『ん?何スカ?[#dn=1#]さん。』



「だーから!止めてくれてありがとって言ってんの!バーーカ!!」


顔を真っ赤にしながらそう言って[#dn=1#]さんは走り出した。



俺は[#dn=1#]さんを追いかけて再び腕を掴む。


そして一度深く深呼吸をする。


ふぅ……。





『ねぇ、[#dn=1#]さん!俺と付き合っ「いや、それはない。」


『……。』



……え?

ま、まさか言い終わる前に振られるとは…。
しかも、なんかいい雰囲気だと思っていたのに…。


しかし俺は諦めない…!





『[#dn=1#]さん。俺、諦めませんから!!!』



「ふーん。」



『仙道よりいい男になりますから!!!』



「ふーん。」



『[#dn=1#]さんが付き合ってくれるって言ってくれるまで毎日告白しますから!!!』



「ふーん。勝手にすれば?」



『……。』



清田信長の恋が実るまで、まだまだ先は長そうである。





おまけ→
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