次の朝、絶対に寝坊するわけにはいかないと目覚ましを何個も掛けた。


バッチリ余裕を持って目覚めた俺は髪の毛もきっちり整えて少し早めに家を出た。




約束の15分前。
俺がこんな時間に余裕を持って行動することなんて滅多にない。
さすがにリリコちゃんもまだ来ていなかった。



まだかまだかとソワソワしながらリリコを待つがなかなか現れなくて、ついに約束の時間を過ぎてしまった。




携帯から連絡しようにも連絡先は分からない。

まさか監督にバレて行くのを止められたのではないだろうか…。

もしかしたら、このまま来ないんじゃないだろうか…。





とか不安に思いながらも待ち続けていると後ろからパタパタパタッと走る足音が聞こえてきて、振り向くと息を切らしたリリコちゃんがいた。




「ゼェゼェ…。ご、ごめんなさい。」




『はははっ。そんなに急がなくてよかったのに。大丈夫？』


本当は来ないんじゃないだろうと不安でソワソワしていた事は内緒にして、余裕ぶってみる。


「ごめんなさい。寝坊しちゃて。連絡先も知らないから急いできたんだけど待たせちゃいましたよね…？」


申し訳なさそうにもう一度謝るリリコちゃん。


よほど走ったのだろう。髪の毛も乱れていた。


『ははは。初めて会った日の俺と同じだ。こんなに走ってきてくれてありがと。』


と、俺はリリコちゃんの乱れた髪の毛を手で軽く整えてあげるとリリコは顔を赤らめていた。

『リリコちゃん、何処か行きたい所ある？』


何処か行こうと誘ったのは俺だが、会ってから適当に決めればいいかと特に何処に行こうとか決めていたわけではない。



「うーん…。あっ！いや…、でもなぁ…。」


とリリコちゃんは何やら1人でぶつぶつと言っている。



『ん？なんか行きたい所あるなら言ってよ？』



「あ、実は新しいバッシュ見に行きたいなぁと思ったんだけど、わざわざ仙道さんにそんなの付き合ってもらうのも悪いなぁって思って…。」


と少し申し訳なさそうに言うリリコちゃん。


『そりゃちょうど良かった。俺のバッシュ穴あきそうだからそろそろ新しいの買おうと思ってたとこ。」


そう俺が言うとリリコちゃんの顔がパァーっと明るくなった。


「え、いいんですか？」



『あぁ。この近くにいつも買ってる店があるんだ。品揃えもこの辺では一番良いし、とりあえずそこ行こーか。』


2人で並んで歩き出す。


「仙道さんにバッシュ買うの付き合ってもらえるなんて私本当に贅沢だなぁー！」


なんてリリコちゃんはニコニコしながら嬉しそうに俺の横を歩く。

そんな彼女を見ていると俺もつい口元が緩んでしまった。




リリコちゃんは今日はワンピースを着ていてこの前会った時とはまた雰囲気が違ってまた一段と可愛い。

俺の彼女だったらいいのになぁ…なんて思いながら歩いているとチエコスポーツに着いた。