そしてその女性は口を開いた。


「君が神くんね。はじめまして。私はリリコ の姉の麗子よ。妹がいつもお世話になってるみたいで、ありがとうね。」


『えっ！お姉さん！？』


俺の驚いた表情を見て麗子さんはイタズラっぽい顔で笑った。

たしかにリリコ よりだいぶ大人びているから分からなかったが、言われてみれば目元がリリコ にそっくりだ。


「昨日、リリコ と紳一が楽しそうに出かけてたのはたぶんこれ選んでくれたからじゃないかな？そうでしょ、紳一？」


そう言って麗子さんは昨日リリコ と牧さんがいたアクセサリーショップの袋を見せてきた。



『あ、あぁ。』


恥ずかしそうにそう答える牧さん。



「今日私、誕生日でね。紳一どうして私の欲しいものなんか知ってたのかななんて思ったんだけど、リリコ に買い物付き合わせてとはね。」


まさか牧さんとリリコ のお姉さんが付き合っていたとは…。

しかもすべて勘違いだったとは…。


『あっ、牧さん…。お姉さんもなんかすみません…。』


「あははっ。そんな謝んなくていいわよ。それより神くんどうしたの？」


お姉さんの優しくて明るい喋り方はリリコ そっくりだ。


『あっ。今日リリコ 、カバン忘れて帰っちゃって。届けにきたんです。』



「もぉー！あの子ったら本当ドジね！わざわざごめんなさいね。」



『あっ、いえ。それにちょうど話したいこともあるんで…。』


それを聞いたお姉さんはニコッと笑い、

「すぐ呼んでくるから待っててちょうだい。」

と言い家の中へ駆けて行った。




そして家の前で取り残された俺と牧さんは、

「神、なんか勘違いさせちまったみたいで悪かったな。」


『あっ。いや。こちらこそ勝手に変な勘違いしてしまってすみません。』


と少し気まずい空気が流れていた。