そこには誰かが(ホラー)
人の生きる社会には、集団圧力というものがある。
「周りがやっているなら、自分は嫌でも合わせなければいけない」そう言われた訳でもないのに、集団から外れるのが怖くて合わせてしまう。
または、言われる事もあるだろう。
そんな集団圧力に負けたとき、私は別の私をふと感じてしまう。
例えば、体育のときのグラウンドの外周。
私は運動が嫌いで特に体力がない。
だから走るのは最悪。周りでそう思ってる仲間も何人かいる。
でも皆やっている、我慢してやっているから私も我慢して走るのだ。
やっと外周が終わり、息を切らしながら先に走り終わった友人と話していると、不気味に笑いながらヘタヘタとグラウンドの外周を走る何かが見える。
その不気味な何かは私とは似ても似つかない顔をしている。
顔以外は手足も全て真っ黒で、短くて乱れた髪、左右不対照の目、ひょろりと長い手足、薄く笑う唇。
幽霊なのか妖怪なのか何もわからずとても気味が悪いが、時間が経つと消えていて、そこに存在しているだけなので害は無いように思える。
これは私以外には見えないらしく、子供の頃初めて見た時母親に「怖い!あれ何」と指を指しても、それを言われた私の母親は「何もないよ…?」と困惑したような又は怖がるような表情で私が指を指した方と私の顔を交互に見るだけだった。
ある日、私が授業の合間に友達の連れションに付き合っていると、手洗い場で、そこには居ないある女子の悪口が始まった。
私はその子の事が好きだった。でも、私は
「あの子の笑い方ってカエルみたいだよね」
と笑った。周りは少し間を置いたあとケラケラと笑い出した。
カエルー確かにーと相槌をうって。
手を洗ってトイレを出るとき、ふと手洗い場を振り返るとそこにはまたアイツが居た。
鏡を見ていた顔を私の方に向け、見つめていた。
相変わらずその顔は不気味で、ひっそりと笑っていた。
その場を後にし、私はいつもと変わらず授業を受けた。
学校が終わり、家に帰るとスマホの通知がピロンと鳴り、メッセージが送られてきた。
送られてきた文面はこうだ、
「私の事こんな風に思ってたのね」と。
私がトイレで皆に合わせて悪口を言ってしまったあの子からのメッセージだった。
悪口を言い合った子達が入っているグループチャットに、先程の文面と、トイレでの悪口を録音した動画が送られてきた。
トイレの扉の前で聞いていたのか、私達より先にトイレの中に居て個室で聞いていたのか、動画の画面は真っ黒になっていてそれはわからなかったが、どちらにせよ居るとは思わなかった。聞かれていると思わなかったから…私は…
メッセージを見て私が震えていると、次々に他の子達からのメッセージが送られてきた。
「皆が言ってたから合わせただけ、私は思ってなかった」
「ごめん、悪いと思ったけど注意出来なくて合わせた」
そのグループチャットにあったメッセージを見て悲しくなった。
それとともにふざけるな、という怒りが沸いた。
それは私だ。私が合わせたのだ。悪口を言い始めたのはあの子で、その子はグループのボス的な立ち位置に居るから…だから…
そう考えている内に
「そうなの?既読付いてるからこのメッセージみてるよね?なのに全然返して来ないし、そうなんだろうな。もうグループから出てって」
そうメッセージが送られてきたのを最後に私はそのグループを追い出された。
チャットでも、学校でも。
それから私への誹謗中傷が続いた。私は何も言えなかった。
言えずに家に引きこもるようになった。すると、ベッドの脇にアイツが出た。最悪だ。
そいつはまたニヤニヤとこちらを見ていた。
気にしないように動画を見ても、寝ても、覚めてもずっとそいつは消えなかった。
ずっと笑いながら私を見るそいつに我慢の限界を迎えた私は、
「何をずっと笑っているの、私がそんなに滑稽なの?貴方の方がずっとずっと可笑しいのに!」
と叫んだ。
しかし、まだソイツは笑っている。
コイツは何なのだろう、何で自分にしか見えないのだろう。
それから何日か経つと、カウンセラーが良く家に来るようになった、私は思い切ってアイツの相談をした。
カウンセラーが出した結論は「統合失調症による幻聴と幻覚」だった。
母親もそれを信じ、私に薬を勧めてきた。
そこで、私はもう全てどうでも良くなった。
自分の部屋の窓に外に背を向けた状態で腰をかけ、そこから腰を浮かせて窓枠に片足ずつ足を乗せた。
まだ私の部屋にはアイツが居る。窓から飛び降りようとしてる私をニヤニヤと笑っている。
「もういいよ、どうせ私が死のうとお前は笑うんだろ」
睨みながらそう吐き捨てて、私は後ろに体重をかけ、窓枠から手と足を話した。
飛び降りた直後、私の部屋を見ると、ニヤニヤと笑う不気味なアイツは消えていた。
「周りがやっているなら、自分は嫌でも合わせなければいけない」そう言われた訳でもないのに、集団から外れるのが怖くて合わせてしまう。
または、言われる事もあるだろう。
そんな集団圧力に負けたとき、私は別の私をふと感じてしまう。
例えば、体育のときのグラウンドの外周。
私は運動が嫌いで特に体力がない。
だから走るのは最悪。周りでそう思ってる仲間も何人かいる。
でも皆やっている、我慢してやっているから私も我慢して走るのだ。
やっと外周が終わり、息を切らしながら先に走り終わった友人と話していると、不気味に笑いながらヘタヘタとグラウンドの外周を走る何かが見える。
その不気味な何かは私とは似ても似つかない顔をしている。
顔以外は手足も全て真っ黒で、短くて乱れた髪、左右不対照の目、ひょろりと長い手足、薄く笑う唇。
幽霊なのか妖怪なのか何もわからずとても気味が悪いが、時間が経つと消えていて、そこに存在しているだけなので害は無いように思える。
これは私以外には見えないらしく、子供の頃初めて見た時母親に「怖い!あれ何」と指を指しても、それを言われた私の母親は「何もないよ…?」と困惑したような又は怖がるような表情で私が指を指した方と私の顔を交互に見るだけだった。
ある日、私が授業の合間に友達の連れションに付き合っていると、手洗い場で、そこには居ないある女子の悪口が始まった。
私はその子の事が好きだった。でも、私は
「あの子の笑い方ってカエルみたいだよね」
と笑った。周りは少し間を置いたあとケラケラと笑い出した。
カエルー確かにーと相槌をうって。
手を洗ってトイレを出るとき、ふと手洗い場を振り返るとそこにはまたアイツが居た。
鏡を見ていた顔を私の方に向け、見つめていた。
相変わらずその顔は不気味で、ひっそりと笑っていた。
その場を後にし、私はいつもと変わらず授業を受けた。
学校が終わり、家に帰るとスマホの通知がピロンと鳴り、メッセージが送られてきた。
送られてきた文面はこうだ、
「私の事こんな風に思ってたのね」と。
私がトイレで皆に合わせて悪口を言ってしまったあの子からのメッセージだった。
悪口を言い合った子達が入っているグループチャットに、先程の文面と、トイレでの悪口を録音した動画が送られてきた。
トイレの扉の前で聞いていたのか、私達より先にトイレの中に居て個室で聞いていたのか、動画の画面は真っ黒になっていてそれはわからなかったが、どちらにせよ居るとは思わなかった。聞かれていると思わなかったから…私は…
メッセージを見て私が震えていると、次々に他の子達からのメッセージが送られてきた。
「皆が言ってたから合わせただけ、私は思ってなかった」
「ごめん、悪いと思ったけど注意出来なくて合わせた」
そのグループチャットにあったメッセージを見て悲しくなった。
それとともにふざけるな、という怒りが沸いた。
それは私だ。私が合わせたのだ。悪口を言い始めたのはあの子で、その子はグループのボス的な立ち位置に居るから…だから…
そう考えている内に
「そうなの?既読付いてるからこのメッセージみてるよね?なのに全然返して来ないし、そうなんだろうな。もうグループから出てって」
そうメッセージが送られてきたのを最後に私はそのグループを追い出された。
チャットでも、学校でも。
それから私への誹謗中傷が続いた。私は何も言えなかった。
言えずに家に引きこもるようになった。すると、ベッドの脇にアイツが出た。最悪だ。
そいつはまたニヤニヤとこちらを見ていた。
気にしないように動画を見ても、寝ても、覚めてもずっとそいつは消えなかった。
ずっと笑いながら私を見るそいつに我慢の限界を迎えた私は、
「何をずっと笑っているの、私がそんなに滑稽なの?貴方の方がずっとずっと可笑しいのに!」
と叫んだ。
しかし、まだソイツは笑っている。
コイツは何なのだろう、何で自分にしか見えないのだろう。
それから何日か経つと、カウンセラーが良く家に来るようになった、私は思い切ってアイツの相談をした。
カウンセラーが出した結論は「統合失調症による幻聴と幻覚」だった。
母親もそれを信じ、私に薬を勧めてきた。
そこで、私はもう全てどうでも良くなった。
自分の部屋の窓に外に背を向けた状態で腰をかけ、そこから腰を浮かせて窓枠に片足ずつ足を乗せた。
まだ私の部屋にはアイツが居る。窓から飛び降りようとしてる私をニヤニヤと笑っている。
「もういいよ、どうせ私が死のうとお前は笑うんだろ」
睨みながらそう吐き捨てて、私は後ろに体重をかけ、窓枠から手と足を話した。
飛び降りた直後、私の部屋を見ると、ニヤニヤと笑う不気味なアイツは消えていた。
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