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出会いをたいせつに

休み時間になると、4組に他のクラスの人もやってきた。
東の声が大きく、1年生全体に喋っているようなものだからだ。
「転校生って、誰?」
「どんな子なの?」
「男?女?」
マスコミの報道陣並みにワッと押し寄せる。
「ここは神聖な場所です。どうかおかえりください!」
桐山は本心に追い返したいのか、半分ふざけているのかはわからない。
桐山が叫んでも皆は聞こえないフリをする。
「こらぁ!何をやってる。1年生!」
教頭の松屋伸二がいつの間にか後ろに立っていた。
「やっべ、マツヤニだ」
「さっさと帰ろう」
「そうしよう、たまんないもんな」
皆は逃げるように去っていく。
「はぁ、成長しんな。馬鹿どもが」
「教頭先生、それはどう聞いても暴言ですよ」
後ろに校長の平清重も立っていた。
「校長先生」
「教師が子供を侮辱するなんてあり得ません。恥を知りなさい」
「申し訳ございませんでした」
「わかればよろしい。さぁ、1時間目の授業がもうすぐ始まるから自分のクラスに戻りなさい」
松屋はほくほくしている平の背中に向かってアッカンベェをした。

給食の時間になると、皆は弧の周りにわんさか集まっているので、他の日よりもさらに騒がしい。
「ねえ、鳴野さんって好きなものって何?」
「好きな芸能人は?」
「好きな本は?」
「えっと……、好きなものは友達からもらった手紙で、芸能人は好みの人はいないし、本はミステリー、かな」
「へぇ~」
「鳴野さぁ、何かミステリアスだよなぁ」
「え?」
「だってさ、転校してきてからもあんまり授業出てないよね。ずっと保健室で休んでたり、早退したり。それにさぁ、冬村も鳴野が来てから全然学校来ないじゃん」
そう言われれば…。皆は納得したようにうなずく。
ハルヒが呟いた。「でも、かほりは風邪が長引いているだけじゃない?それか怪我して入院してるとか」
しかし、莉子が反論するように発言する。
「それだったら、東が前もって知らせるんじゃないの?まあ、あの熱血教師のことだから忘れてることもありそうだけどね」
「そんなことないよ~。だって私、昨日かほりの家に行ったけど、玄関に張り紙がしてあってさ、しばらく親戚のところへ行ってきますって書いてあったもん」
「じゃあ、コンが転校してきたのと関係ないってこと?」
「そういうことになるね」
稲垣駿介(いながきしゅんすけ)が名探偵気取りで分かり切ったことを口に出した。
そのとき、弧は瞳が紅くなったようにハルヒは見えた。
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