出会いをたいせつに
「ねえ、コンって呼んでもいい?」
永山の馬鹿でかい声にビックリしたのか、教室に入ってきた時よりも更に声が小さくなっていた。
「…あっ、はい…」
桐山敦(きりやまあつし)がボソッと呟いた。
「鳴野さんの後ろに何かがいる……」
東がいないこの教室は、いつも以上に静かなので、小さい声で話しても普通の声で話していることと同じになっている。
桐山は自称何かが見える男で、何かしら言い訳をつけては自分が不利になったときに使えるように普段からこんなことを言っているのである。
しかし、狐は聞く耳も立てず、一点を見つめていた。
しばらくの間、沈黙の時間が過ぎて行った。
その沈黙を破ったのはもちろん東で、ドアを開けた時にガラスに少しヒビが入ったのを皆が実感した。
「おう、お前ら、待たせたなぁ!やっぱりウチのクラスの転校生だったよ!はっはっは!というわけで自己紹介をよろしく!」
「あ…、はい」
弧は中学生とは思えないほどの体の小ささで、足取りも小さい。東とは全くの正反対の性格で、東がいるとき弧がいたらクラスの熱気は中和されるだろう。
「えっと、はじめまして、鳴野弧といいます。N県E市から転校してきました。よろしくお願いします。」
「よぉーしみんなぁ、仲良くするんだぞぉ!席は、佐嘉の隣に座ってくれ。ホームルーム終わり!挨拶は省く!」
「ありがとうございました」
このクラスでは「挨拶は省く!」と言われても挨拶をするのが主流なのだ。
永山の馬鹿でかい声にビックリしたのか、教室に入ってきた時よりも更に声が小さくなっていた。
「…あっ、はい…」
桐山敦(きりやまあつし)がボソッと呟いた。
「鳴野さんの後ろに何かがいる……」
東がいないこの教室は、いつも以上に静かなので、小さい声で話しても普通の声で話していることと同じになっている。
桐山は自称何かが見える男で、何かしら言い訳をつけては自分が不利になったときに使えるように普段からこんなことを言っているのである。
しかし、狐は聞く耳も立てず、一点を見つめていた。
しばらくの間、沈黙の時間が過ぎて行った。
その沈黙を破ったのはもちろん東で、ドアを開けた時にガラスに少しヒビが入ったのを皆が実感した。
「おう、お前ら、待たせたなぁ!やっぱりウチのクラスの転校生だったよ!はっはっは!というわけで自己紹介をよろしく!」
「あ…、はい」
弧は中学生とは思えないほどの体の小ささで、足取りも小さい。東とは全くの正反対の性格で、東がいるとき弧がいたらクラスの熱気は中和されるだろう。
「えっと、はじめまして、鳴野弧といいます。N県E市から転校してきました。よろしくお願いします。」
「よぉーしみんなぁ、仲良くするんだぞぉ!席は、佐嘉の隣に座ってくれ。ホームルーム終わり!挨拶は省く!」
「ありがとうございました」
このクラスでは「挨拶は省く!」と言われても挨拶をするのが主流なのだ。