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出会いをたいせつに

ジりリリリリリリリリリ~‼
目覚まし時計の騒音が春宮ハルヒの部屋を埋め尽くす。
「…えッ、ち~こ~く~だ~ぁ~!!」
朝食を食べていないと体はわかっていながらも遅刻したら外周10周をさせられる恐怖に身を任せ、食パンをくわえながら近道を爆走していく。
あと少しで校門に入ることができる。しかし、野球部顧問の長谷部が校門を閉めようと手をかけている。
「ハルヒー、急げー!あと1分だよー‼」
教室の窓から夏浜莉子(なつはまりこ)が大声で叫んでいる。
全速力で走り込み、長谷部が閉めようとするのをギリギリ通り抜け、長谷部は校門に右手を見事に挟んだ。
教室に入ると、ハルヒは注目の的となった。
「すごいね、あの長谷部に挟ませるなんて!」
「あいつ、もうバット握れないんじゃないの?」
「おう、それだったら部活停止になるんじゃないの?」
「いや、遅れると外周10週の罰があるから必死に走ってきたんだけど…」
「お前らぁ、席に就けぇーい‼」
教室のきしむドアを壊さんばかりに開ける一人の熱血教師・東透(あずまとおる)が入ってきた。
数名が欠席している中でも東は「よーし、全員そろっているな?宿題を提出しろー!」
一人の生徒が立って、「あの…雪村かほりさんがまだ登校してないんですけど…」
「おう、大丈夫だ。ちゃんと本人の保護者から欠席すると聞いているから安心しろ!」
ドアがカラカラ…と静かで可愛らしく開いた。
「あの…1年4組の教室ってここですよね?」
今にも消え入りそうな声だ。
「おお、そうだぞ。誰かに用事か?」
「いえ、転校生ですけど……」
「転校生……?そんな話は聞いていないが?他のクラスと間違えていないか?」
「え…校長先生に1年4組って言われたんです」
「……?」
東はどうしても思い出せないらしい。
「お前ら、ちょっと待っててくれ。職員室で確認してくる。ああ、そうだ。君の名前は?」
「鳴野狐(なるのこん)です…」
「桐山ぁ、鳴野を保護してやってくれぇ。お前学級委員だろぅ?」
「言われなくともやりますよー」
「じゃあ、行ってくるぞ」
祭りの後の商店街の様に、耳がキーンとなるほど静まり返っている。
最初に口を開いたのは、永山倉敷(ながやまくらしき)だ。
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