自己紹介が終わった後、軍の規則やら書類やらの細かい説明を聞いていくと主に雑用そのもの。これで大丈夫なのかと悠は心配した。












あれから数日経った頃、叔父さんに今までの経緯を話し承諾を得て高校生ながらアドバイザーとして働いてる。
学校は春休みに突入して春休みを利用してがむしゃらに仕事内容を覚えようと必死に送っている日々なのだが……



「……」



何故かボロボロになっている金属生命体達が全員集合している。



昨日、ラチェットからラボに来てくれと言われて来た悠と両リーダー共ならず、他の奴らもボロボロな姿になっていた。
何がどうしてこうなっているんだと偶然いたキューに聞いてみるとホッホッホ、と笑う。


『なに、簡単なことじゃよ。今日は年2回行われるメンテナンスがあって召集されてるんじゃよ』

「メンテナンス」

『人間で言えば健康診断と言うじゃろ？』

「健康診断」

『担当はラチェットとジョルドが行っているからのぉ』



だからあんなに傷だらけになっているんだなと納得したように彼らを眺めるとリペアルームからラチェットとジョルドが現れた。



『悠、来ていたのか。時間はぴったりだな』

「はははっ…時間に遅れたら面倒なことが起こる気がするんでね」

『そんなことはない、ただ私の献t…軽い説教はあるがね』

「献体って言いかけてない？」

『ははは、何のことかな。それはさておき、アイツ等の定期健診を始める前に先に君の健康を調べたいんだ。オールスパークを所持し、どのくらい影響を与えているか分からない、経過観察をしたいのだ』

「……（スルーしやがったな）健康を調べるって今のところないけどな…」

『念の為だ。だが、もし身体に不具合があったらすぐに報告してくれ』

「…りょーかい」



ラチェットと言い叔父さんも言い、医者は怖い奴が多いなと実感する。
その後悠は採血、血圧、体重に身長測定、視力検査、心電図など至って変わらない人間の健康診断を受けた。
結果に至っては異常な数値はなく平均数値だったため健康そのものである。


「なぁ、軍医殿。少し気になることあるんだけど…今大丈夫？」

『なにかね？』

「イヴァンのこと。アイツは、今どうなっている？」



自分のことは兎も角、気になっていたイヴァンのことが不安で表情が曇る。
ラチェットはその表情を見逃してはいなかった。
日がまだ浅いがその見せない表情に何故か魅入られてしまった。何故、こんなにも儚く見えるのか。
ラチェットの話を聞くために悠は感情を引っ込めて顔を合わせる。
話を戻すとどうやら腹部に刺された傷は治療済みだが、イヴァンの出自が特殊なため別のラボで調べているとのこと。


とりあえず、イヴァンが生きていることに不安を取り除くことはできたが、何故だろう。ラチェットの調べるって台詞を聞いて変に不安があるのだがあまり考えないようにしよう。




『さて、君の健康状態が分かったところで悪いんだが、レッカーズのもとへ行ってほしい』

「レッカーズ？」

『ああ、全員荒くれ者だが、腕は優秀だ』




なぜそこに行かなければならないかと聞くとあの事件で使用していた武器の説明とその武器を使用してレッカーズが開発した戦闘シミュレーションルームで実践してくれとのこと。

だからかァッ！とした顔で納得した。
前にラチェットからこの日の時間の約束と同時に何故か動きやすい恰好を持参するようにと言われ、健診が終わった後に更衣室を借りて動きやすい服装に着替えた。黒のTシャツにダボついたズボンというシンプルなもの。
ごちゃごちゃとしたものを付けてしまえば機動力が落ちるという理由で動きやすい。

この姿を見たラチェットはこの細身の身体から何処にそんな力があるんだと言われた。
うん、私もそこらへん気になるんだわと一応ツッコんどいた。

暫くすると来るから待っていろとのことでラボを出ようと足を運ぶ。