その光景に何が起きたのか理解できなかった。いや、理解したくなかった。大きな金属の手は力が少しずつ無くなって地面に崩れ落ちる。手の中にいた悠は転倒したが、そんなものは関係なくイヴァンの元に直ぐ様駆け寄った。



「嘘だろ、イヴァン。嘘だって言ってくれッ…………！！！！」


喉が潰れて声が枯れるくらい何度も名前を呼んだ。
例え骨が砕けようが砕けまいが関係なく何度も叩く。
傍にいたジャズは悠の手を見て、身体を掴んで落ち着かせるように言い聞かせる。



『落ち着け！腹部は重傷だが、リペアすれば大丈夫だ』



生きているのに安堵するが、あの場面を見たせいか過去の出来事と重なって何もできない自分に腹を立たせる。






＿＿私ハあの時みたい二何モできないノか。








＿＿＿＿＿アイツトオナジヨウニタスケルコトガデキナイノカ？






「…ジャズ。アイツが刺したのか？」



ジャズは悠の表情に言葉を出なかった。
人間では無いくらいギラリと殺すような目をする悠の姿がそこにあったからだ。
さっき出会ったばかりの悠の姿とは似て非なるものだと感じた。



『そうだが、まさか…倒しに行くんじゃねェだろうな？』

「それ以外何があるんだよ」

『死ぬつもりかッ！！！』

「承知の上で言っているんだ」

『無謀にも程があるんだって言ってんだ！！』

「五月蝿ぇな、黙ってろ」



ドスの聞いた声にジャズはゾワリと背筋が凍ってしまいかけ、正気を取り戻そうとすると目の前に悠はいなかった。

悠は服の中に隠していた武器を取り出して刺した敵に向かって駆け出す。
そこには黄色のロボットが敵と戦っている姿が見えた。








『フン…オートボットの戦力はこんなものか。落ちたモンだな』

『≪ふざけんなよ≫≪そんなことは≫≪ない！！！！≫≪俺達の力は≫≪こんなものじゃないぞ！≫』




煽っている発言に苛立ちを感じたものの、冷静を保って体勢を整える。いかんいかん、気を抜いてはと気を引き締めた途端、敵がいきなり崩れ落ちる。
何が起こっていると困惑していると
































































「よォ、初土下座の感想はどうだ？」



槍らしきものを持つ少女が現れた。