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~清掃員は宝石の夢を見るか~
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――まさかこんな所で再会するなんて思わなかった。
コンサート当日の朝、必死な顔の優馬に起こされた。迷惑をかけないように、ちゃんと起きようと目覚ましをいつもより遠くに置いたのがアダとなってしまった。ベッドから体の半分も投げ出して寝ている僕を見て、優馬の顔から血の気が引いていた。僕のその状態を見て思わず叫んでしまったのか。しばらくして玄関から心配そうな女性の声が届いた。
「あのー!どうしましたかー!叫び声が聞こえたんですけど!」
耳に馴染みのあるその声、まさかとは思ったけれど。本当に海月だとは思わなかった。
ー嬉しい
という気持ちと、
――何故ここに?
という疑問が混ざり合う。
後で本人に聞いてみると、たまたま就職活動で内定をもらったのがここだったらしい。そんな偶然あるものなんだね。
海月とは昔からの友人だ。小さい時から僕の演奏をとても楽しそうに聴いてくれていた。僕が世界を飛び回るように待ってからは、会う回数を次第に減っていき。年に一度か二度会えるかどうかとなっていた。
僕はその毎年の貴重な彼女との再会を何よりも楽しみにしていた。彼女と音楽の話や僕が行ってきた海外の話しをしたりするのが楽しかった。それに何より彼女の楽しそうな笑顔を見るのが好きなんだ。その笑顔で癒されたし、愛おしいとも思った。
そして徐々に自分の海月への感情を自覚し始めた。
――――僕は海月を愛している。唯一無二の存在として……。
だから不意に寮で海月と再会できて、嬉しさで胸が躍った。でも、時間の経過と共にジワジワと不安が溢れてくる。
ここは男性アイドルが暮らす寮だ。魅力的な男性ばかりのこの空間で、彼女が僕以外の誰かに特別な感情を寄せる可能性は多いにある。以前、僕自身がアイドル活動を始めると伝えた時、海月は「芸能人には疎いから、きっとメンバーの名前を言われてもピンと来ないかも」と苦笑しながら言っていた。
出来ればそのまま、この寮に住む人達にも疎いままでいて欲しい。
―ーーそして、もし叶うなら僕を見て……。
この感情は。これからこの業界で活動する自分には、ワガママだろうか……?
けれど今はまだ、海月が困った時の拠り所として、彼女が弱音を吐ける数少ない場所として寄り添おう。きっと今はこの寮という小さくも広い空間では、僕が一番彼女と距離が近いはずだから。
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翔side・END
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