RKRN短編・ネタ
土井ではありません
練り物が、嫌いだ。
でもあの人と同じに見られるのが複雑で隠している。
「先輩って、なんか土井先生と似てますね!」
「え゙…そう?」
だから、そう言われて思わず固まってしまった。うまいこと誤魔化せただろうか。
は組の良い子たちには悪いけど、私にとってその言葉は大変不本意で、複雑だった。
なぜなら土井先生こと土井半助は───私の、前世の親の仇とそっくりだからである。
前世。
幼い子はたまに腹の中や産まれる前のことを覚えているというが、私の場合は少し違った。
8歳くらいの頃、今の自分ではない、小さな子供の記憶を思い出したのだ。三つにも満たぬような幼な子だった◼︎◼︎は、父が練り物を食べて事切れるのを襖の隙間から見た。
その場にいたのが表情を無くした、土井先生をそのまま若返らせたような少年なのである。
その後家は火に巻かれてしまい、気がついたら◼︎◼︎は私となっていた。
誰かに身を隠せと、気づかれてはいけないよと襖の向こうに押しやられた記憶と父親が命を狙われていたという記憶が強く印象に残り、私は記憶を取り戻してから自分を偽らずには生きれなかった。
死にたくなくて、脅威が近くにいるのに気付けないままなのが怖くて、身を隠したくて。
だから忍術学園に入ることにしたのだ。男として。
なのにまさかトラウマ顔が同じ年に新任として教師を始め、しかも担任なんて誰が思っただろうか。
今度は自分の命かと心底怯え、教科をサボりまくった。死ぬほど嫌いな練り物を食べれるよう特訓し始めたのもこの頃だ。だって練り物嫌いから父の子だと気付かれて殺されると思っていたから。
よく考えれば好き嫌い程度で気づかれるようなことではないし、土井先生もまるで雰囲気も名前も違う別人だったので、そこまで恐れる必要はなかったのだろうけど。
一年の頃の私が気づくまでには、それなりに時間を要した。
縛って教科の授業を受けさせようとする同期を蹴り飛ばしたり、薬を盛られそうになれば逆に盛り返したり、変装して他学年のふりをしようとしたり。
この六年間であの時ほどやらかしたことはないと断言できる。
そんなこんなで苦手だった上にやらかしまで重ねてしまった土井先生は、大変複雑な相手なのだ。
強張る顔を無理やり笑顔に変えて、目の前のは組3人組に向き直る。
「それで私たちがあまりにも答えられないから、土井先生が怒ってしまって」
「お腹が空いて思い出せなかったんですぅ」
「で、まだお怒り継続中みたいなんすよ。さすがに悪いなって思って……先輩だったらどうしたら許す気になれます?」
土井先生の気持ち、似てる人ならわかるかなって!と、にこやかに言うは組の3人組にかろうじて笑みを浮かべた頰が引き攣る。
「その表情そっくりです!!」
「怒らせた時もそんな顔してました!」
「若き頃の土井先生(似の生徒)ブロマイド、作ったら売れねぇかな?!」
「き、君たちねぇ……とりあえず!ブロマイドもその話も、どっちも土井先生本人にした方がいいと思うな!少なくとも私のブロマイドはやめなさい!!」
「「「はぁ〜い」」」
……なんだか頭が痛くなってきたと額を抑えて立ち去る先輩の姿に、乱太郎きり丸しんべヱは顔を見合わせた。
「やっぱり先輩って」
「土井先生と」
「「「そっくり」」
だよなぁ」
実は兄弟だったりして〜と笑う彼らは知らない。
実は本人たちも気づいていないが生き別れの兄妹で、妹側は相手を親の仇に似ているからと恐れ避けまくっていることを。
兄側も、妹の養子先が悪徳城主で使い捨てられようとしたところを解放したが火事で生死がわからなくなってしまい、死んだものだと思って……似た雰囲気の生徒に引け目を感じていることを。
誰も気づいていないのである。
練り物が、嫌いだ。
でもあの人と同じに見られるのが複雑で隠している。
「先輩って、なんか土井先生と似てますね!」
「え゙…そう?」
だから、そう言われて思わず固まってしまった。うまいこと誤魔化せただろうか。
は組の良い子たちには悪いけど、私にとってその言葉は大変不本意で、複雑だった。
なぜなら土井先生こと土井半助は───私の、前世の親の仇とそっくりだからである。
前世。
幼い子はたまに腹の中や産まれる前のことを覚えているというが、私の場合は少し違った。
8歳くらいの頃、今の自分ではない、小さな子供の記憶を思い出したのだ。三つにも満たぬような幼な子だった◼︎◼︎は、父が練り物を食べて事切れるのを襖の隙間から見た。
その場にいたのが表情を無くした、土井先生をそのまま若返らせたような少年なのである。
その後家は火に巻かれてしまい、気がついたら◼︎◼︎は私となっていた。
誰かに身を隠せと、気づかれてはいけないよと襖の向こうに押しやられた記憶と父親が命を狙われていたという記憶が強く印象に残り、私は記憶を取り戻してから自分を偽らずには生きれなかった。
死にたくなくて、脅威が近くにいるのに気付けないままなのが怖くて、身を隠したくて。
だから忍術学園に入ることにしたのだ。男として。
なのにまさかトラウマ顔が同じ年に新任として教師を始め、しかも担任なんて誰が思っただろうか。
今度は自分の命かと心底怯え、教科をサボりまくった。死ぬほど嫌いな練り物を食べれるよう特訓し始めたのもこの頃だ。だって練り物嫌いから父の子だと気付かれて殺されると思っていたから。
よく考えれば好き嫌い程度で気づかれるようなことではないし、土井先生もまるで雰囲気も名前も違う別人だったので、そこまで恐れる必要はなかったのだろうけど。
一年の頃の私が気づくまでには、それなりに時間を要した。
縛って教科の授業を受けさせようとする同期を蹴り飛ばしたり、薬を盛られそうになれば逆に盛り返したり、変装して他学年のふりをしようとしたり。
この六年間であの時ほどやらかしたことはないと断言できる。
そんなこんなで苦手だった上にやらかしまで重ねてしまった土井先生は、大変複雑な相手なのだ。
強張る顔を無理やり笑顔に変えて、目の前のは組3人組に向き直る。
「それで私たちがあまりにも答えられないから、土井先生が怒ってしまって」
「お腹が空いて思い出せなかったんですぅ」
「で、まだお怒り継続中みたいなんすよ。さすがに悪いなって思って……先輩だったらどうしたら許す気になれます?」
土井先生の気持ち、似てる人ならわかるかなって!と、にこやかに言うは組の3人組にかろうじて笑みを浮かべた頰が引き攣る。
「その表情そっくりです!!」
「怒らせた時もそんな顔してました!」
「若き頃の土井先生(似の生徒)ブロマイド、作ったら売れねぇかな?!」
「き、君たちねぇ……とりあえず!ブロマイドもその話も、どっちも土井先生本人にした方がいいと思うな!少なくとも私のブロマイドはやめなさい!!」
「「「はぁ〜い」」」
……なんだか頭が痛くなってきたと額を抑えて立ち去る先輩の姿に、乱太郎きり丸しんべヱは顔を見合わせた。
「やっぱり先輩って」
「土井先生と」
「「「そっくり」」
だよなぁ」
実は兄弟だったりして〜と笑う彼らは知らない。
実は本人たちも気づいていないが生き別れの兄妹で、妹側は相手を親の仇に似ているからと恐れ避けまくっていることを。
兄側も、妹の養子先が悪徳城主で使い捨てられようとしたところを解放したが火事で生死がわからなくなってしまい、死んだものだと思って……似た雰囲気の生徒に引け目を感じていることを。
誰も気づいていないのである。
