Ruins
*あなたのなまえは?
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今、私はFriskと一緒にいた。穴の底で。
(ッーー従妹見捨てるとか罪悪感で死ぬわ!!でも着いてきても死ぬかもねヤッタァ!)
「な、なんか荒ぶってるけど大丈夫…?」
Friskが不審者をみるかのような目で見てくる…私のハートに3のダメージ!!
『あー、ごめんFri。ちょっと混乱してた…』
「まさか山の地下にこんなところがあるとは思わなかったもんね。お花きれいだし、世話もされてるみたい。誰か住んでるのかな」
いや違うんだ、私はキミについてきたばかりに死にたくないなーって思って…最低だな私!ごめん、ごめんよFrisk、私、この腐った根性を叩きなおすために一回ゲームオーバーしてくるわ!たぶん残機1だから2度目はないけど!!来世で会おうぜ!
と、さすがにそれは冗談で。
心の中でFriskに土下座し謝りつつ、顔に出さないように会話を続ける。
ポーカーフェイスを忘れるなってヤツだ。なんで今ポーカーフェイスしてるのかは自分でもよくわからないけど、多分ポーカーフェイスをしろって神が言ったんだろう。
『足跡もあるからナニカが住んでる、もしくは住んでいたのは間違いないよ』
「あ!足跡こっちに向かってるみたい…行ってみよう!」
何がいるかわからないだろうに、この子は勇敢なのか無茶なのか…やはり着いてきてよかったかもしれない。死ぬかもしれないけどな!
明らかに知性ある生物が作ったとみられる階段を登り、先へ進むと。
「やあ!僕はFlowey、お花のFloweyだよ!」
花が現れた。某黄色い花だ、間違いない。ハウディ!!
あー、2次創作のようにいい花だったら良いけど…"LOVE"を集めろとか、"なかよしカプセル"と称した白い塊を私たちに向けている時点で結果はわかったようなものだ。
でも、誰が何をしようと絶対に私は
絶対止めるさ…たとえ画面の向こうにいるアナタが相手でもね : )
小さな決心を胸に、花に相対する。
「"なかよしカプセル"にLOVEが入ってるから全てキミのソウルで受け止めてね!」
『Fri…私は今から代々受け継がれし最終奥義を使う』
「最終奥義?」
昔のお偉いさんは言った…
『逃げるんだよぉぉおおおお!!!』
…三十六計逃げるに如かず、と!
Friskを抱えて走り出す。叫ぶ必要はなかったかもしれないと叫んでから気づいた。次から気をつけよう。
「…へぇ!キミは知ってるんだ 。9人目のニンゲンを見るのは初めてかと思ったけど、もしかして2回目?」
追いかけてくる"なかよしカプセル"から無言で逃げ回る。
攻撃してくるやつの言葉なんか無視だ無視!
…ごめんFri、そんな咎めるような目で私を見つめないで!!めっちゃ罪悪感にさいなまれる!
「無視かよ…まあ2回目な訳ないよね、僕の記憶にはないし。地上で僕の…ニンゲンを殺したとかいうモンスターの噂でも聞いた?でも残念!たとえ知識があろうが簡単には逃げられませーん!」
『っあ…!』
いくらFriskが年の割に小さいとはいえ、私もそこまで背は高くない。私は抱えて走るなどという普段はしない芸当と、なれぬ足場に足を取られ転倒した。
転んだのは大きなミスだけど、とっさにFriskを庇えたのはナイスだ私!
「残念だったね!この世界は殺るか殺られるか。逃げるなんて選択肢は…無いんだよ」
Floweyの放った攻撃が迫る。
え、もう
… そ ん な の お 断 り だ 。
死んでたまるか、命を燃やせぇぇえええ!!と必死に避ける。
避けるためにFriskを抱えて転がり回る私は、はたから見ると結構愉快だったのかもしれない。芋虫みたいだって笑われた。許さんズ。
足音と声が聞こえる。
誰か来たのか!地面に倒れているのでよく見えないが女性の声だ。気のせいだろうか、怒っているような…?
声が聞こえた一瞬後。横から飛んできた焔の球がFloweyを吹き飛ばす。チラリと見えたFloweyは、心なしか青ざめていたように見えた。
そうか、次に現れるモンスターはママ!ヤギのマッマだ!モンスターペアレント!!
最後にゲームをやったのももう何年も前なので忘れていた。
「何をやってるの?罪もない者相手に…!」
焔の飛んできた方向にいたのは…
『に、人間ーーーーーっ⁈』
「え?ニンゲン…?よくわからないけど大丈夫かしら?怪我は、ああ、膝を擦りむいているわ!服も泥だらけ…まったく、年頃の女の子に!これをお食べなさい」
ここにはいないはずの、人間が立っていた。
モンスターじゃない…だ、と…?
幻覚だろうか…?彼女はどこから取り出したのか、チョコレートを差し出している。ブランドものだ。
「リズ…大丈夫?」
とりあえずチョコレートを受け取ると、私が叫んだせいかFriskが怪訝な顔をしていた。
『私の頭は大丈夫だよ…ごめんね急に叫んで』
「いや頭は元から大丈夫じゃないからいいんだけど…その、チョコ」
従妹が塩対応でお姉さん悲しいです。
先ほどFloweyに襲われたせいで警戒している様子のFriskをよそに、封を開けてチョコレートを食べればあら不思議。
「け、怪我が…⁉︎」
「ここの食べ物は不思議な力があって傷を治すことができるのよ、坊や。どうやらあなたのお姉さんは知ってたみたいだけど」
『い、いや…まさかこんなふうに治るとは思ってなかった、です』
怪我はみるみるうちに、逆再生のように消え去り、膝にはかすかに血が付着しているだけだった。本当にゲームみたいに消え去るんだ…魔法の力なんだろうか?驚きのあまり敬語が抜けかけた。
相手は年上だっていうのに…って、それよりこの人は誰?このタイミングで来るのはTorielしかありえないと思うけど、目の前にいるのはどうみても人間だ。ゲームでのTorielはたしかヤギのモンスターだった。
『チョコレートをありがとう。私はリズです。あの、あなたは…?』
「私はToriel。今日みたいに遺跡にニンゲンが落ちてこないか見回っているのよ」
ヘーイ!?マッマ擬人化ッ⁉︎
なんてことだ…擬人化って……ここは2次創作の世界だったのか!!
でもFloweyは花だったけど、そこは変わらないのね??はたして原作通り黄色い花のFloweyとなぜか擬人化のToriel、どっちが例外なんだろう。
他のモンスターもニンゲンになっているのだろうか。もし人間になっていると言うならば…人間のソウルを探したり、落ちてきたニンゲンを殺したりはしていないのだろうか。
私やFriskが死ぬ危険性はないかも…?
「… リズ!!聞いてる?」
あまりの衝撃に固まっているうちに、FriskとTorielさんとで自己紹介が終わっていたらしい。Friskが私を呼んでいたようだが、まったく聞いていなかった。
『ごめん、なに?』
「家に案内してくれるんだって」
『家?あ、マッマ…ごほんっ、Torielさんの?』
「マ…?うん。今日の天気予報雨だったから心配だったけど、濡れなくて済むね!」
『……あー、Fri。地下、というか洞窟に雨は降らないよ』
…雪は降るんだけどね、という言葉を飲み込んでツッコむ。しまった、と顔を赤らめ恥ずかしがる私の従妹が今日もこんなに可愛い。
*周囲に小さく笑い声が響く…あなたは穏やかな気持ちで満たされた。