約束は、今も
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『いやいやいやいや、待ってどういう事?』
茜「あぁごめん、正しくは付き合ってるフリをするの。そしたら先輩達も諦めるでしょ?」
彰「なるほど」
全くもってなるほどでは無い。初対面の、ましてや友達の兄とフリとはいえ付き合うなんて。
『それはお兄さんに悪いよ』
彰「オレは全然いーよ」
私はよくない。
『でも、付き合うとかそういうのは…』
茜「別にデートしろって言ってるんじゃないよ。2人で撮った写真でも持ち歩いてさ、声かけられたら見せればいいの」
彰「オレはデートしてもいーよ」
だから私がよくない!
さっきからずっとヘラヘラしながら口を挟む兄の彰。こんな突拍子もない提案にも全く動じないあたり、やはり兄妹。
『う〜〜ん』
茜「やるの?やらないの?それとも他に何か案ある?」
なんとか他の方法が無いかと頭をフル回転させるが、何も思いつかない。おまけに兄の方は完全にやる気になっている。
『…やります』
結局雰囲気に負け、了承してしまった。
彰「よろしくね、陽ちゃん」
笑顔で差し出された大きな右手に渋々自分の手を重ねると、包み込むように優しく握られる。不本意だが、少し顔が熱くなるのを感じた。
こうして私には、仙道彰という初カレ?が出来たのだった。
ー.
「陽ちゃーん、今帰り?遊び行かない?」
『行きません。彼氏いるので。』
「またまた〜」
『本当です。名前は彰くん、他校の先輩です。ほら』
「……まじ?」
半信半疑だった茜の作戦は意外にも効果てきめんで、写真を見せるとどの先輩達も引いて行った。
茜の完全プロデュースによって撮られたこの写真に写るふたりはまさにカップルそのもの。経緯を知らなければ誰でも勘違いしてしまうだろう。お陰でハルに他校の彼氏が出来たという噂はあっという間に広まってしまったが。
いちいち弁解していたらキリがないし、嘘だという事が知られれば元も子もない。騙すつもりのない子には申し訳ないと思いつつも、"偽装彼氏計画"は続けられたのだった。
茜「いや〜大成功だったね」
『ほんと、ここまで効果があるとは…』
芽衣「きっとお兄さんがかっこいいからよ、この人には勝てないって皆思うんじゃない?」
茜「実物はそうでもないよ」
茜が首を傾げるのは妹だからだろう。確かに彰くん(そう呼べと言われた)はとてもかっこいし、バスケをしているらしくスポーツマン。まぁプレイボーイな感じはするがモテるのは確かだろう。
芽衣「フリじゃなくて本当に付き合ったりはしないの?」
『!?…ゴホッ』
想定外の言葉に危うく飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。
茜「確かに〜お兄ちゃん絶対陽のこと気に入ってたよ」
『なっ茜まで!ないよない!』
芽衣「どうして言い切れるの?友達の兄弟とはいえ、ひとりの男の子なんだから好きになるかもでしょう」
『そもそも彰くんと会ったの1回だけだし、よく知らないし』
芽衣「じゃあ何回か会って知っていけば可能性が出てくるわけだ」
『そういう事を言ってるんじゃない!』
この芽衣という子は大人しそうな顔をして、意外と痛いところをついてくる。高校生というのは何故こうも何から何まで恋愛に結びつけたがるのか。私のように興味のない人だっているのに。
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