約束は、今も
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ピピピピッ ピピピピッ ガチャッ
いつものように布団から手だけを出して目覚ましを止める。瞼を開くと目に入るのは見慣れない天井。慌てて飛び起き辺りを見回したあと、あぁそうか…と項垂れた。
6年住んだ土地を離れ、ここへ越してきてもう1週間が経つ。が、私は未だ新しい部屋に慣れずにいた。重い体を起こしリビングの扉を開けると、一緒に住むユリちゃんが慌ただしく何かを探している。
『おはようユリちゃん』
ユリ「あっおはよう陽!よく寝れた?」
『まあまあかな…』
ユリ「あれぇ、どこ入れたかな〜」
質問したはいいが答えは聞いていないらしく、部屋中の引き出しを開けて探し物を続けている。
ユリ「あっ!見つけた!良かったぁ」
どうやら探していたのはネックレスらしい。何年も前に元彼に貰ったプレゼントだけど、ものに罪はない!と大事にしているそれ。首の後ろで器用に付けると玄関に向かった。
ユリ「じゃあ陽、私出るね」
『はーい』
ドアノブに手をかけたその時、あっと私の方へ向き直った。
ユリ「今日の入学式行けなくてごめんね。新しい環境で慣れないこともあるだろうけど、何かあったらすぐに言ってね、飛んで帰ってくるから」
『ありがとうユリちゃん、気をつけて』
いってきますと手を振るユリちゃんを見送り、用意してもらった朝食に手をつけた。
ユリちゃんは母の姉で両親が亡くなった6年前からずっと面倒を見てくれている。家では慌ただしい彼女も、1歩外に出れば余裕のある大人の女性に早変わり。どんな仕事をしているのかよく知らないが、きっととてもできる人なのだろう。ちなみにおばさんと呼ぶと無視されるので、ユリちゃんと呼ぶようにしている。
朝食を終えると部屋に戻り準備を始めた。クローゼットから取り出した新品のブレザーに袖を通す。鏡に写る自分の制服姿に、少し胸が高鳴った。荷物をまとめながら夢の事を考える。
数年前から時々見るあの夢はここへ戻ってきてからは毎日になった。何年も変わらず、いつも同じそれにどんな意味があるのかは分からない。ただ、この街と何か関係ある気がしていた。
準備を終え、無難なスクールバックを肩に提げまだ硬いローファーを履くと、高校生という実感が湧いてくる。よし、と気合を入れドアを開けた。
