朝
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瞼の向こうに暖かな眩しさを感じて目覚めの時はやっくる。
瞼を震わせ、ゆっくり目を開ける。瞬きを数回。
「………」
意識がはっきりしてくるとアクアブルーのカーテンの向こうから、明るい光りが差し込んでいた。
強い日差しから察するに、だいぶ日が高くなっている時間なんだろうなとぼんやり思う。
昨日は空が白々と明るくなっていくまで起きていたから……。
そう。眠りについたのは、今朝早い時間だった。
それでもまだ起きたくなくて、気だるさを感じながらしばらくぼうっとしていると、少しずつ体が覚醒していく。
自分の部屋ではない場所で迎えた朝。
ただの朝じゃない。
特別な朝。
視線だけを動かし、住み慣れた自分の部屋と違う室内を改めて見渡す。
イメージカラーでもあるアクアブルーを基調とした室内は、チョコミントの置物や、3 Majestyのぬいぐるみがあったり所々遊び心があって彼らしかった。
ここでわたしたちは初めてひとつになったんだ。
昨日の記憶がよみがえる。
慎之介さんの指が触れた肌。
慎之介さんのぬくもり。
慎之介さんと絡み合った手の熱さ。
慎之介さんとひとつになった喜び。
慎之介さんの重みを思い出して、幸せに満たされる。
わたしの首の下に伸びるのは、ほどよく鍛えられた腕。ゆっくり頭を動かしてその腕の主を見るとこちらを向いたまま、目を閉じて穏やかに寝息をたてていた。
チャンスとばかりに彼を観察する。
ミルクティー色の髪は普段見ているセットされたものとは違い、いまはあちこち思い思いに毛先が跳ねている。その無防備な感じがまた愛しい。
きりっとした形のよい眉毛はシャープなラインを描き、血色のいい肌は、傷もニキビもひとつもない。
普段生き生きと輝くスモーキークオーツの瞳を覆い隠している生え揃った長い睫毛は、扇状に広がり頬に影を落としていた。
スッと通った鼻筋、優しい声を紡ぐ形のよい唇。
すっきりした顎のラインから、男らしいがっしりとした首筋が続く。
肌掛けから見えている、まだなにも身に付けていない上半身は、鎖骨から引き締まった胸元まで見えてドキドキするほどセクシーだ。
アイドルの彼はキラキラな笑顔で女の子たちを虜にするのに、アイドルじゃないときの彼は男らしくもあってーーー。
どちらの彼も魅力的で目が離せなくなる。
慎之介さんの寝顔なら何時間でも飽きることなく見つめていられるだろう。
いま、この時間だけはわたしだけのものなんだと思うと自然と笑みが浮かんだ。
肩がゆっくりと上下に揺れ、一定の呼吸を繰り返す慎之介さんはまだ起きる気配がない。
疲れているんだろうな。
無防備に寝ている彼の寝顔は少し幼く見えて、心の内側がくすぐったい。
「………っ」
じっと見つめていると、慎之介さんの眉がピクリと動いた。
あ、起きるのかな?
動いた眉はだんだんと寄って、八の字になる。
「うーん……」
「‼」
目を閉じたまま険しい表情を浮かべる慎之介さんに、不安になったわたしは肌掛けで胸元を隠しながら上半身を起こして彼を覗き込んだ。
「慎之介さん……?」
そっと声をかけてみる。
「うー……んんん」
ますます険しくなる表情。
不安で胸がドキドキしてきた。
悪い夢でも見ているの?
揺り起こすつもりで、むき出しの肩にそっと触れてみる。
「慎之介さん? だいじょーーー」
「んん…………ふふふっ」
漏れ聞こえてきたのは、我慢できないといった苦し気な声ではなく……笑み???
「ハハッ」
次の瞬間には、楽しそうに弾むような笑い声。
「し、慎之介さん!?」
え?
ええっ?
寝ていた彼が苦しげにしていたと思った次の瞬間には楽しそうに笑ってる。
「ねえ、そんなに見つめられると穴が空いちゃうよ」
くすっと笑って澄んだスモーキークオーツの瞳が現れた。
寝起きの少し掠れた低い声にドキリとする。
そんなに見つめられると……ってことは、寝てなかった?
「い、いつから起きてたの?」
「君が目覚める前、かな?」
「あー! 分かってて寝たふりしてたのね!?」
頬を膨らませ、彼の肩に触れていた手を離そうとした手首が掴まれる。
バランスを崩しそうになって、前のめりになったわたしの目の前に慎之介さんの整った顔が迫る。
ドキリとして至近距離で静止してしまった。
「………」
黙り込んだままじっと見つめていると、スモーキークオーツの澄んだ瞳もじっと見つめ返してきた。
昨日体を重ねたこともあって、どこか照れくさい。
だけど、わたしはいま、寝たフリをされたことに怒っているのだ。今さら先に目を反らすのも負けたような気がしてなんか悔しい。
「………」
完全にタイミングを見失ってしまった。
わたしが本当に怒っているわけではないのが伝わっているのだろう。慎之介さんの口元がピクリと動いた。
つられて笑ってしまいそうになる。
これは膨れたフリも長く続けるのは難しそうだ。
それを察してか、
「ごめんね?」
キラキラの笑顔で謝る破壊力に、わたしもとうとう我慢できなくなってしまった。
「……ぷっ」
「アハハハッ!」
声を上げて笑い合っていると腕を引っ張られて胸に引き寄せられた。
そのぬくもりが嬉しくて、わたしも引き締まったその背中に腕を回し、ぎゅっと抱きつく。
ふたりでしばらくベッドの上を転がりながら無邪気に笑い合った。
ひとしきり笑い合い、力尽きたわたしは慎之介さんの裸の胸に、直接頬を埋める形のまま寛ぐ。
すぐ側に大好きな人がいる、なんて幸せな朝なんだろう。
トクントクン。
聞こえてくるのは、慎之介さんの心音。
初めは早かった鼓動が次第に落ち着いていく。
耳に心地好い響きに、わたしの鼓動もいつしか寄り添う形で同じ早さに並びかけーーーやがて、重なる。
同じリズムを刻む心音がただただ嬉しくて、喜びに満たされた。
衣擦れの音と同時にベッドが揺れ、くっついている慎之介さんが動く。
しばらくして手のひらが髪に触れる感覚と、同時にチュッと小さな音。
頭をもたげた彼がわたしの頭にキスをしたようだ。
胸に埋めていた顔を上げると、それを待っていた慎之介さんと目が合い、スモーキークオーツの瞳が細められる。
「おはよう、レス子」
穏やかな眼差しに、どことなく照れ臭さが混じった笑顔。ほんのりと頬が染まる。
「お、おはよう」
起きて交わした挨拶はいつもと同じ言葉なのに、特別な意味を含んでいてどこか優しい。
慎之介さんの大きな手のひらが愛しげに頬を撫でる。
その仕草に胸が一杯になったわたしは、甘えるように頬を預けた。
そして慎之介さんが近付き、わたしはキスの予感に目を閉じる。
おしまい。
瞼を震わせ、ゆっくり目を開ける。瞬きを数回。
「………」
意識がはっきりしてくるとアクアブルーのカーテンの向こうから、明るい光りが差し込んでいた。
強い日差しから察するに、だいぶ日が高くなっている時間なんだろうなとぼんやり思う。
昨日は空が白々と明るくなっていくまで起きていたから……。
そう。眠りについたのは、今朝早い時間だった。
それでもまだ起きたくなくて、気だるさを感じながらしばらくぼうっとしていると、少しずつ体が覚醒していく。
自分の部屋ではない場所で迎えた朝。
ただの朝じゃない。
特別な朝。
視線だけを動かし、住み慣れた自分の部屋と違う室内を改めて見渡す。
イメージカラーでもあるアクアブルーを基調とした室内は、チョコミントの置物や、3 Majestyのぬいぐるみがあったり所々遊び心があって彼らしかった。
ここでわたしたちは初めてひとつになったんだ。
昨日の記憶がよみがえる。
慎之介さんの指が触れた肌。
慎之介さんのぬくもり。
慎之介さんと絡み合った手の熱さ。
慎之介さんとひとつになった喜び。
慎之介さんの重みを思い出して、幸せに満たされる。
わたしの首の下に伸びるのは、ほどよく鍛えられた腕。ゆっくり頭を動かしてその腕の主を見るとこちらを向いたまま、目を閉じて穏やかに寝息をたてていた。
チャンスとばかりに彼を観察する。
ミルクティー色の髪は普段見ているセットされたものとは違い、いまはあちこち思い思いに毛先が跳ねている。その無防備な感じがまた愛しい。
きりっとした形のよい眉毛はシャープなラインを描き、血色のいい肌は、傷もニキビもひとつもない。
普段生き生きと輝くスモーキークオーツの瞳を覆い隠している生え揃った長い睫毛は、扇状に広がり頬に影を落としていた。
スッと通った鼻筋、優しい声を紡ぐ形のよい唇。
すっきりした顎のラインから、男らしいがっしりとした首筋が続く。
肌掛けから見えている、まだなにも身に付けていない上半身は、鎖骨から引き締まった胸元まで見えてドキドキするほどセクシーだ。
アイドルの彼はキラキラな笑顔で女の子たちを虜にするのに、アイドルじゃないときの彼は男らしくもあってーーー。
どちらの彼も魅力的で目が離せなくなる。
慎之介さんの寝顔なら何時間でも飽きることなく見つめていられるだろう。
いま、この時間だけはわたしだけのものなんだと思うと自然と笑みが浮かんだ。
肩がゆっくりと上下に揺れ、一定の呼吸を繰り返す慎之介さんはまだ起きる気配がない。
疲れているんだろうな。
無防備に寝ている彼の寝顔は少し幼く見えて、心の内側がくすぐったい。
「………っ」
じっと見つめていると、慎之介さんの眉がピクリと動いた。
あ、起きるのかな?
動いた眉はだんだんと寄って、八の字になる。
「うーん……」
「‼」
目を閉じたまま険しい表情を浮かべる慎之介さんに、不安になったわたしは肌掛けで胸元を隠しながら上半身を起こして彼を覗き込んだ。
「慎之介さん……?」
そっと声をかけてみる。
「うー……んんん」
ますます険しくなる表情。
不安で胸がドキドキしてきた。
悪い夢でも見ているの?
揺り起こすつもりで、むき出しの肩にそっと触れてみる。
「慎之介さん? だいじょーーー」
「んん…………ふふふっ」
漏れ聞こえてきたのは、我慢できないといった苦し気な声ではなく……笑み???
「ハハッ」
次の瞬間には、楽しそうに弾むような笑い声。
「し、慎之介さん!?」
え?
ええっ?
寝ていた彼が苦しげにしていたと思った次の瞬間には楽しそうに笑ってる。
「ねえ、そんなに見つめられると穴が空いちゃうよ」
くすっと笑って澄んだスモーキークオーツの瞳が現れた。
寝起きの少し掠れた低い声にドキリとする。
そんなに見つめられると……ってことは、寝てなかった?
「い、いつから起きてたの?」
「君が目覚める前、かな?」
「あー! 分かってて寝たふりしてたのね!?」
頬を膨らませ、彼の肩に触れていた手を離そうとした手首が掴まれる。
バランスを崩しそうになって、前のめりになったわたしの目の前に慎之介さんの整った顔が迫る。
ドキリとして至近距離で静止してしまった。
「………」
黙り込んだままじっと見つめていると、スモーキークオーツの澄んだ瞳もじっと見つめ返してきた。
昨日体を重ねたこともあって、どこか照れくさい。
だけど、わたしはいま、寝たフリをされたことに怒っているのだ。今さら先に目を反らすのも負けたような気がしてなんか悔しい。
「………」
完全にタイミングを見失ってしまった。
わたしが本当に怒っているわけではないのが伝わっているのだろう。慎之介さんの口元がピクリと動いた。
つられて笑ってしまいそうになる。
これは膨れたフリも長く続けるのは難しそうだ。
それを察してか、
「ごめんね?」
キラキラの笑顔で謝る破壊力に、わたしもとうとう我慢できなくなってしまった。
「……ぷっ」
「アハハハッ!」
声を上げて笑い合っていると腕を引っ張られて胸に引き寄せられた。
そのぬくもりが嬉しくて、わたしも引き締まったその背中に腕を回し、ぎゅっと抱きつく。
ふたりでしばらくベッドの上を転がりながら無邪気に笑い合った。
ひとしきり笑い合い、力尽きたわたしは慎之介さんの裸の胸に、直接頬を埋める形のまま寛ぐ。
すぐ側に大好きな人がいる、なんて幸せな朝なんだろう。
トクントクン。
聞こえてくるのは、慎之介さんの心音。
初めは早かった鼓動が次第に落ち着いていく。
耳に心地好い響きに、わたしの鼓動もいつしか寄り添う形で同じ早さに並びかけーーーやがて、重なる。
同じリズムを刻む心音がただただ嬉しくて、喜びに満たされた。
衣擦れの音と同時にベッドが揺れ、くっついている慎之介さんが動く。
しばらくして手のひらが髪に触れる感覚と、同時にチュッと小さな音。
頭をもたげた彼がわたしの頭にキスをしたようだ。
胸に埋めていた顔を上げると、それを待っていた慎之介さんと目が合い、スモーキークオーツの瞳が細められる。
「おはよう、レス子」
穏やかな眼差しに、どことなく照れ臭さが混じった笑顔。ほんのりと頬が染まる。
「お、おはよう」
起きて交わした挨拶はいつもと同じ言葉なのに、特別な意味を含んでいてどこか優しい。
慎之介さんの大きな手のひらが愛しげに頬を撫でる。
その仕草に胸が一杯になったわたしは、甘えるように頬を預けた。
そして慎之介さんが近付き、わたしはキスの予感に目を閉じる。
おしまい。
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