お前と、ずっと
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焼けつくような強い視線を感じる。
ぼやける視界に震える瞼で瞬きを数回。
整理整頓された居心地のいい部屋に、電気の明かりを隠し身を乗り出すように覆う影……。
「あっ」
しまった、という焦りの呟きが、ぼんやりと泳いでいた視線をそちらに向かわせる。
「ごめん、起こした」
わたしを覗き込んでいたピジョンブラットの瞳が気まずそうに歪む。
漆黒の黒い髪、誰が見ても目を奪われるハイクラスクオリティクラスのルビーの瞳。
「魁斗さん……」
待っていた人の帰宅に、寝起きの顔に安堵の笑みが浮かぶ。
日中の疲れもあり、彼のベッドにもたれながらウトウトしてしまっていたようだ。
目を擦りながら体を起こす。
「お帰りなさい」
胸の上に乗っていたものが膝に落ち、
「ただいまーーー……?」
わたしの視線と、魁斗さんの視線がそれを追いかけた。
「えっ俺の部屋着?」
「ご、ごめんなさい」
謝りながらくしゃくしゃになってしまった魁斗さんの部屋着を広げ、綺麗に畳む。
「なんで部屋着なんか」
「あの、なんか、寂しくて。魁斗さんが着てる上着、ぎゅってしたら魁斗さんの匂いがしてまるで側にいるみたいで嬉しくなっちゃって……そのまま寝ちゃったみたい」
「なんだよそれ」
嬉しいのか、顔を真っ赤にして頭を乱暴に掻きながら魁斗さんが目を反らす。
俺の服、抱いて寝てたのか。
俺が側にいるみたいで……って、なんでそんなに可愛いんだよ?
「お前のそういうとこ……っ」
魁斗さんの腕が伸びてきて肩に回り、ぐいっと引き寄せられ、顔が彼の胸に押し付けられる。
「いまはもう本物がいるだろ」
自分の行動に照れが入っているのか、いつもより魁斗さんは早口だった。けれど、声音は優しくて、肩に回された腕も離さないといった感じで離れていく様子がない。
そのまま体をあずけ寄りかかる。引き締まった硬い胸からぬくもりと心音が伝わってきた。
トクントクンと一定のリズムが心地よい。
外気をまとった体から次第に馴染みのある落ち着く魁斗さんの匂いを感じるようになり、わたしの体から力が抜けていく。
「………」
この腕の中では守られている感じがして、安心して身を任せることが出来た。
ぼんやりと思考が霞み、再びまどろみの世界へ意識を手離す。
「……おい?」
「…………」
辻の呼び掛けに寝息が返ってくる。
「寝てるし……」
腕の中のレス子を起こさないようにそっと移動してベッドにもたれ、帰宅後の恋人同士の触れ合いがしたかった辻はため息をついた。
それでも恋人の体温を腕の中に感じ、疲れた心が柔らかくなっていくのを感じる。
長引くミーティングに、予定より帰るのが遅くなった。
先に寝てもいいってメールを送ったけど、疲れてるはずなのに寂しさと戦いながらベッドに入らないで待っててくれたんだよな。
住み慣れた寮の一室。
部屋着を着た彼女がいる現実。
「………」
カチカチという時計の秒針が動く音にレス子の寝息が重なり、微妙なリズムを醸し出している。
優しい気持ちで腕のなかで眠る彼女に改めて視線を滑らせると、今度は心穏やかでいられなくなった。
白のタンクトップにピンク色のパーカー。この淡いピンクのモコモコした素材の服は目のやり場に困るほどズボンの丈が短くて、ほどよく引き締まったふくらはぎ、柔らかそうな太ももが、見ないようにしていても目に飛び込んでくる……。
すべすべの滑らかな肌だって知っているからこそ余計、触れたい触りたいといった沸き上がる感情を押さえるのが大変だった。
ようやくの思いでそこから視線を引き剥がし、肩を抱いていない方の手で艶やかな髪を撫で、頭を下げて無防備に眠るレス子の頭にそっとキスをする。
2人の関係に名前が欲しいと伝えて数ヶ月。
好きな気持ちは収まるどころか、想いは強くなる一方だった。
一生懸命で、キラキラしてて、離せなくて。
今は俺に甘えてくれる愛しい存在。
俺にだけ笑って、俺にだけ甘えてくれたらいいのに。
ワガママだろって思うけど、彼女を好きな気持ちは止まらなくてその分欲張りになっていくのが自分でも分かる。
「魁斗さん……」
「うん?」
呼び掛けに答える声が、自分でも驚くほど優しい。
恋人がいることで、いままで知らなかった自分にも気づくことが出来ている。
「………」
再び寝息。
「寝言かよ」
思わず口元が緩む。ちょうどそのとき、ブルッと体を震わせたレス子が無意識に俺の胸に頭をぐりぐりと押し付けて小さく体を丸めた。
寒いのか?
ベッドにちらりと視線を投げ、彼女がバランスを崩さないよう肩を抱いたままベッドに手を伸ばし、肌掛をめくる。そこに抱き上げたレス子を寝かせ、自分も外着を脱いで部屋着に着替えると隣に入った。
くの字に横向きに寝る彼女を温めるようにその細い腰に腕を回し、ピタリとくっつく。
柔らかな体。うなじに鼻を押し付けたら甘いレス子らしい匂いに鼻腔を擽られ、ちょっと困ったことになった。
更に、無意識にレス子の足がすり寄ってきて、その肌の味も感触もよみがえる。彼女の柔らかく濡れた場所に自分が入っていく光景が頭に浮かんだ。
ーーー抱きたい。
違う。
やめろ。
今は眠るときだろ。
レス子の下腹部を抱く動きそうになる手を、意思の力で必死に押さえ込む。
自分の欲求に、彼女を振り回すなんて最低だ。
違うことを考えろ。
霧島くんとシンくんは、こんな柔らかな足じゃない。
ふたりとも足は長いけど、硬い。
いま硬くなってるのは俺のとある部分……いや、そうじゃなくて!
魁斗は心のなかで頭を抱えた。
「か、かいとさん……?」
腕のなかで眠っているはずのレス子にそっと呼び掛けられて驚いた。
「なっ……なんだよ」
慌てた分、返す言葉がぶっきらぼうになってしまう。
「あの、眠れない……」
「は? 今までちゃんと寝てただろ」
「あ、あの……魁斗さんのがあたって、その、硬いーーー」
「あーーー!! それ以上いわなくていいから」
レス子の言葉を遮る。
耳元で大声をあげる俺に、びっくりしたのか飛び上がる。
「わ、悪い。とにかく、ソレのことは気にしなくていいから」
「………う、うん」
静かにベッドに寝かせたはずのレス子が起きててこっちもマジでびっくりした。
レス子が気にしないように少し離れた方がいいのか?
でも、離れたくない。
離れないと、俺とレス子の間で起きてる分身が落ち着かない状態のままだ。
困っているとレス子の可愛いお尻が、起きているそれに押し付けるように身を寄せてきた。
敏感になってる部分が刺激され、一層慌てる。
「ちょ、おい……っ!」
「あの、その状態のままだと魁斗さん辛いんじゃ……」
「くそ、それ以上なにもいうな。いったら口塞ぐからな……キスで」
どういうわけか脅すみたいになってるけど、こっちもこの緊急事態で思いやれる余裕がなくなっていた。
「……うん」
そのうんは、否定なのか肯定なのか?
俺の聞き方が悪かったのか?
どっちにしてもこれ以上、偶然でもなんでも刺激されるようなことがあったら眠らせてやれなくなる。
キスで口塞ぐとかなにいってんだよ。
こっちからキスなんてしたらその先の自分に自信がなくなるだろ。
「いや、やっぱりやめる。キスなんてしたら止まれないし」
心の声が出ていたらしい。
「止まらなくて大丈夫、だから……」
おずおずと体をひねってこちらを向いたレス子が頬を染めながら上目遣いに覗き込んでくる。
もう、眠そうには見えなかった。
「い、いいのか?」
この先の展開に期待した声が勝手に上ずる。
「……うん」
小さく頷くレス子に、片方の肘を付いて俺は上半身を起こし顔を近づける。
ヤバイ。
気持ちが急いて体が震える。
「優しくしてやれないかも」
「魁斗さんいつも優しいから大丈夫」
「このタイミングでそーゆことゆーのかよ……」
ガクリと頭を落とす俺の呟きに、はみかむ笑顔のレス子。
守りたい。ずっと側にいたい。急いていた気持ちが柔らかいもので満たされる。
レス子の手が励ますように頬に触れ、俺はそこに指を絡めた。
間近で見つめ合う2人を取り巻く空気が変わっていく。
今まで何度も重ねた唇が、俺を迎えるようにうっすらと小さく開き、瞼が閉じる。柔らかなそれに唇を重ね、体が燃え上がった。
今夜はもう眠らせてやれないかもしれない。
おわり。
ぼやける視界に震える瞼で瞬きを数回。
整理整頓された居心地のいい部屋に、電気の明かりを隠し身を乗り出すように覆う影……。
「あっ」
しまった、という焦りの呟きが、ぼんやりと泳いでいた視線をそちらに向かわせる。
「ごめん、起こした」
わたしを覗き込んでいたピジョンブラットの瞳が気まずそうに歪む。
漆黒の黒い髪、誰が見ても目を奪われるハイクラスクオリティクラスのルビーの瞳。
「魁斗さん……」
待っていた人の帰宅に、寝起きの顔に安堵の笑みが浮かぶ。
日中の疲れもあり、彼のベッドにもたれながらウトウトしてしまっていたようだ。
目を擦りながら体を起こす。
「お帰りなさい」
胸の上に乗っていたものが膝に落ち、
「ただいまーーー……?」
わたしの視線と、魁斗さんの視線がそれを追いかけた。
「えっ俺の部屋着?」
「ご、ごめんなさい」
謝りながらくしゃくしゃになってしまった魁斗さんの部屋着を広げ、綺麗に畳む。
「なんで部屋着なんか」
「あの、なんか、寂しくて。魁斗さんが着てる上着、ぎゅってしたら魁斗さんの匂いがしてまるで側にいるみたいで嬉しくなっちゃって……そのまま寝ちゃったみたい」
「なんだよそれ」
嬉しいのか、顔を真っ赤にして頭を乱暴に掻きながら魁斗さんが目を反らす。
俺の服、抱いて寝てたのか。
俺が側にいるみたいで……って、なんでそんなに可愛いんだよ?
「お前のそういうとこ……っ」
魁斗さんの腕が伸びてきて肩に回り、ぐいっと引き寄せられ、顔が彼の胸に押し付けられる。
「いまはもう本物がいるだろ」
自分の行動に照れが入っているのか、いつもより魁斗さんは早口だった。けれど、声音は優しくて、肩に回された腕も離さないといった感じで離れていく様子がない。
そのまま体をあずけ寄りかかる。引き締まった硬い胸からぬくもりと心音が伝わってきた。
トクントクンと一定のリズムが心地よい。
外気をまとった体から次第に馴染みのある落ち着く魁斗さんの匂いを感じるようになり、わたしの体から力が抜けていく。
「………」
この腕の中では守られている感じがして、安心して身を任せることが出来た。
ぼんやりと思考が霞み、再びまどろみの世界へ意識を手離す。
「……おい?」
「…………」
辻の呼び掛けに寝息が返ってくる。
「寝てるし……」
腕の中のレス子を起こさないようにそっと移動してベッドにもたれ、帰宅後の恋人同士の触れ合いがしたかった辻はため息をついた。
それでも恋人の体温を腕の中に感じ、疲れた心が柔らかくなっていくのを感じる。
長引くミーティングに、予定より帰るのが遅くなった。
先に寝てもいいってメールを送ったけど、疲れてるはずなのに寂しさと戦いながらベッドに入らないで待っててくれたんだよな。
住み慣れた寮の一室。
部屋着を着た彼女がいる現実。
「………」
カチカチという時計の秒針が動く音にレス子の寝息が重なり、微妙なリズムを醸し出している。
優しい気持ちで腕のなかで眠る彼女に改めて視線を滑らせると、今度は心穏やかでいられなくなった。
白のタンクトップにピンク色のパーカー。この淡いピンクのモコモコした素材の服は目のやり場に困るほどズボンの丈が短くて、ほどよく引き締まったふくらはぎ、柔らかそうな太ももが、見ないようにしていても目に飛び込んでくる……。
すべすべの滑らかな肌だって知っているからこそ余計、触れたい触りたいといった沸き上がる感情を押さえるのが大変だった。
ようやくの思いでそこから視線を引き剥がし、肩を抱いていない方の手で艶やかな髪を撫で、頭を下げて無防備に眠るレス子の頭にそっとキスをする。
2人の関係に名前が欲しいと伝えて数ヶ月。
好きな気持ちは収まるどころか、想いは強くなる一方だった。
一生懸命で、キラキラしてて、離せなくて。
今は俺に甘えてくれる愛しい存在。
俺にだけ笑って、俺にだけ甘えてくれたらいいのに。
ワガママだろって思うけど、彼女を好きな気持ちは止まらなくてその分欲張りになっていくのが自分でも分かる。
「魁斗さん……」
「うん?」
呼び掛けに答える声が、自分でも驚くほど優しい。
恋人がいることで、いままで知らなかった自分にも気づくことが出来ている。
「………」
再び寝息。
「寝言かよ」
思わず口元が緩む。ちょうどそのとき、ブルッと体を震わせたレス子が無意識に俺の胸に頭をぐりぐりと押し付けて小さく体を丸めた。
寒いのか?
ベッドにちらりと視線を投げ、彼女がバランスを崩さないよう肩を抱いたままベッドに手を伸ばし、肌掛をめくる。そこに抱き上げたレス子を寝かせ、自分も外着を脱いで部屋着に着替えると隣に入った。
くの字に横向きに寝る彼女を温めるようにその細い腰に腕を回し、ピタリとくっつく。
柔らかな体。うなじに鼻を押し付けたら甘いレス子らしい匂いに鼻腔を擽られ、ちょっと困ったことになった。
更に、無意識にレス子の足がすり寄ってきて、その肌の味も感触もよみがえる。彼女の柔らかく濡れた場所に自分が入っていく光景が頭に浮かんだ。
ーーー抱きたい。
違う。
やめろ。
今は眠るときだろ。
レス子の下腹部を抱く動きそうになる手を、意思の力で必死に押さえ込む。
自分の欲求に、彼女を振り回すなんて最低だ。
違うことを考えろ。
霧島くんとシンくんは、こんな柔らかな足じゃない。
ふたりとも足は長いけど、硬い。
いま硬くなってるのは俺のとある部分……いや、そうじゃなくて!
魁斗は心のなかで頭を抱えた。
「か、かいとさん……?」
腕のなかで眠っているはずのレス子にそっと呼び掛けられて驚いた。
「なっ……なんだよ」
慌てた分、返す言葉がぶっきらぼうになってしまう。
「あの、眠れない……」
「は? 今までちゃんと寝てただろ」
「あ、あの……魁斗さんのがあたって、その、硬いーーー」
「あーーー!! それ以上いわなくていいから」
レス子の言葉を遮る。
耳元で大声をあげる俺に、びっくりしたのか飛び上がる。
「わ、悪い。とにかく、ソレのことは気にしなくていいから」
「………う、うん」
静かにベッドに寝かせたはずのレス子が起きててこっちもマジでびっくりした。
レス子が気にしないように少し離れた方がいいのか?
でも、離れたくない。
離れないと、俺とレス子の間で起きてる分身が落ち着かない状態のままだ。
困っているとレス子の可愛いお尻が、起きているそれに押し付けるように身を寄せてきた。
敏感になってる部分が刺激され、一層慌てる。
「ちょ、おい……っ!」
「あの、その状態のままだと魁斗さん辛いんじゃ……」
「くそ、それ以上なにもいうな。いったら口塞ぐからな……キスで」
どういうわけか脅すみたいになってるけど、こっちもこの緊急事態で思いやれる余裕がなくなっていた。
「……うん」
そのうんは、否定なのか肯定なのか?
俺の聞き方が悪かったのか?
どっちにしてもこれ以上、偶然でもなんでも刺激されるようなことがあったら眠らせてやれなくなる。
キスで口塞ぐとかなにいってんだよ。
こっちからキスなんてしたらその先の自分に自信がなくなるだろ。
「いや、やっぱりやめる。キスなんてしたら止まれないし」
心の声が出ていたらしい。
「止まらなくて大丈夫、だから……」
おずおずと体をひねってこちらを向いたレス子が頬を染めながら上目遣いに覗き込んでくる。
もう、眠そうには見えなかった。
「い、いいのか?」
この先の展開に期待した声が勝手に上ずる。
「……うん」
小さく頷くレス子に、片方の肘を付いて俺は上半身を起こし顔を近づける。
ヤバイ。
気持ちが急いて体が震える。
「優しくしてやれないかも」
「魁斗さんいつも優しいから大丈夫」
「このタイミングでそーゆことゆーのかよ……」
ガクリと頭を落とす俺の呟きに、はみかむ笑顔のレス子。
守りたい。ずっと側にいたい。急いていた気持ちが柔らかいもので満たされる。
レス子の手が励ますように頬に触れ、俺はそこに指を絡めた。
間近で見つめ合う2人を取り巻く空気が変わっていく。
今まで何度も重ねた唇が、俺を迎えるようにうっすらと小さく開き、瞼が閉じる。柔らかなそれに唇を重ね、体が燃え上がった。
今夜はもう眠らせてやれないかもしれない。
おわり。
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