happy new year!
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大晦日。
早めに店仕舞いをして、3 Majestyの皆と新年を迎えるために魁斗さんの部屋にお邪魔している。
予め用意してきた料理を並べていると、ウキウキと待ちきれない様子の慎之介さんが手元を覗き込んできたので、
「マカロンも作ってきたよ」
「やった!」
スモーキークオーツの瞳を細めて喜ぶ慎之介さんに、思わずつられ笑い。
野菜が多めのお料理、冷めても美味しいチーズたっぷりのグラタン、たくさん食べてもいいように程よい甘さに抑えたスイーツ。持ってきたお料理を慎之介さんに手伝ってもらいながら並べていたら、テーブルの上がたちまちいっぱいになった。
そこへお盆に飲み物を乗せた司さん、お箸や取り分け皿を持った魁斗さんがキッチンから戻ってくる。
「君の料理はいつ見ても美味しそうだ」
席について、テーブルに並ぶお料理にロイヤルブルーの瞳を細め、表情を綻ばせる司さんに嬉しくなる。
「早く食べようぜ」
お腹減った、と待ちきれない様子の魁斗さん。
「早く早く」
慎之介さんが急き立てる。
飲み物を配り終え、
「今年もお疲れ様でした!」
グラスを合わせ、乾杯。
作ってきた料理を突っつきつつ、楽しい時間は進みーーー。
「ねえ、マカロン食べたい」
隣に座る慎之介さんが呟いた。
「ちょっと待ってて」
魁斗さんの部屋に来たとき、テーブルに乗らなかったマカロンを入れた水色のボックスを慎之介さんに渡す。
「ありがとう」
ボックスを開くと、可愛いレースペーパーの中にカラフルなマカロンたち。
慎之介さんが幸せそうに微笑んだ。
「君が選んだの、食べたい」
「ん?」
「食べさせて。ね?」
口を開け、マカロンが放り込まれるのを待つ慎之介さん。ふたりでいるときもお願いされてたまに「あーん」はするけど、ここには司さんと魁斗さんもいる。
そのふたりはいまテレビに夢中みたいだ。
お酒も程よく飲んでいるし、そんな敏捷な動きはしない……かな?
一瞬。
素早くなら、大丈夫かも。
「ひ、ひとつだけだよ?」
コクンと頷く慎之介さんに、ピンクのストロベリーマカロンをつまむ。
このヒリヒリとした緊張感はなんだろう。
別に悪いことしているわけじゃないのに、いけないことしているみたいな。
ドキドキしつつ、マカロンを慎之介さんの口元へ持っていき、形のよい唇に運んだとき、息を飲むような声が聞こえた。
「なっなにやってんだよ……! シンくん」
魁斗さんに一番タイミングの良いところを見られてしまったようだ。
「……シン」
司さんの冷たい声に場の空気が凍える。
「………」
細められた氷のような眼差し。
どんな怒りが飛んでくるやら。固唾を飲んで見守った。
「………」
「………」
「………」
司さん以外の三人で顔を見合わす。
「隊長ー?」
慎之介さんが無邪気なテンションで問いかける。
「………」
司さんに顔を近づけた慎之介さんがプッと吹き出した。
「寝てる。起きたまま寝てる!」
「うそだろ?」
皆で顔を近づけ様子を窺う。
目を開けたまま微動だにしない司さんから聞こえてくるのは寝息だった。
ひとしきり周りが笑った後も起きる気配はなく、疲れているんだろうねと、司さんはそのまま放置されることに。
しばらくして。
席を外した魁斗さんをふと視線で追いかけた慎之介さん。
直ぐに戻ってこないのを見届け、
「レス子にもマカロンを食べさせてあげたいな」
想定外の呟きに心臓が跳ね上がる。
「でも、また見つかったら大変なんじゃ」
思わず司さんを見ると、背中をピンと伸ばした綺麗な姿勢で座り、いまだ目を開けて寝ている。
眼球乾かないのかな?
これはこれでちょっと心配だ。
「大丈夫だよ。カイトが戻ってくる前に、早く早く」
急かされ、
「わ、分かりました。それじゃ頂きます」
慎之介さんの勢いに乗せられてしまう。
「口開けて?」
頷くと、口にマカロンをくわえた慎之介さんが甘い微笑みを浮かべ、身を乗り出してきた。
「待って。その、こうやって食べなきゃダメですか?」
「うん」
気恥ずかしさから緊張したまま小さく口を開けて待っていると、口にマカロンが優しく押し付けられた。それを食べるために大きく口を開くと、マカロンと一緒に柔らかい何かが触れる。
慎之介さんの唇だ!
驚きに目を見開くと綺麗な顔が間近に、扇状の長いまつげがとても近いところにあって驚いた。
慎之介さんを押し退けるわけにもいかず、だからといってこの状態を受け入れてもいいものか。
どうすることもできず、ドキドキしていると慎之介さんの唇は離れていく。と同時に魁斗さんが戻ってきた。
わたしは俯いて火照る顔をひたすら隠し、慌てて口の中のマカロンを噛み砕いた。
味なんて分かるはずもなかった。
「君の魔法で幸せいっぱい。ふふ……」
「あ、シンくん……!」
慎之介さんが笑ったと思ったらそのまま眠っている司さんの方に体が傾き、重なるように寝てしまった。口角は幸せそうに持ち上がったまま。
「はぁ……ふたりともなにやってんだよ」
目覚める気配のないふたりに魁斗さんが飽きれ顔だ。
「お前さ、さっき、シンくんともしかして……」
燃えるようなピジョンブラッドの瞳が向けられる。まるで、心の奥まで見透かされそうな真っ直ぐな瞳にたじろいだ。
顔、赤いのばれてたのかな。
慎之介さんの唇の感触を思い出し、わたしがなにもいえないでいると、
「いや、やっぱ……なんでもない」
魁斗さんは自分で切り出した話を自分で締めくくる。
ちょうどそのとき、除夜の鐘がごーん、と聞こえてきた。
年明けも近いみたい。
「年越し蕎麦の準備しようぜ」
「はい!」
振り返ることなく立ち上がる魁斗さんを慌てて追いかける。
魁斗さんのキッチンで、ネギを切ったりつけ汁を作ったり、蕎麦を茹でる準備を分担して進め、お蕎麦が茹で上がるまでキッチンに立ったまま待つふたりの間に沈黙が訪れた。
真冬の静かな夜に、除夜の鐘の音だけが時々聞こえてくる。
「………」
魁斗さんは何か考えているのか、一点を見つめたまま微動だにしなかった。
「クリスマスは霧島くんがエスコートしたし、今日はシンくんがレス子にマカロン食べさせてもらってるし、なんかズルい……」
「え?」
「あっ! 違っ俺は別にっ……なんでもないし」
するっと出た独り言は本心なのか、顔を真っ赤にして否定している。
「はー……本当はなんでもなくない。お前とふたりっきりの時間過ごせて羨ましいって思ってる」
「いま、魁斗さんとふたりきりだよ?」
「あっ……そいえば」
あーもう、なにボケてんだよと自分を罵り、魁斗さんは乱暴に頭をかく。
「霧島くんもシンくんも、お前のこと大事に想ってるの知ってる。でも俺だってレス子、お前のことが大事だ」
ハッキリとした言葉で伝える魁斗さんは、頭に手をやったまま、腕に隠れた顔が赤い。
「魁斗さん」
呼び掛けると顔を上げた魁斗さんが、鍋の中の蕎麦の存在を忘れたまま、いてもたってもいられないという風にわたしに手を伸ばし抱き寄せた。
「霧島くんにも、シンくんにも負けないくらいお前が好きだから……!」
ーーーー
「新年あけましておめでとー!」
「おめでとうございます」
気持ち良さそうに寝ていた二人をお越し、4人で新しい年を迎え少し遅めの蕎麦を頂く。
「ん……?」
「あれ? 蕎麦、茹ですぎた? 緩くない?」
司さんと慎之介さんの蕎麦をすする箸が止まる。
「しっ知らねーし」
魁斗さんがしらばっくれる。
「ねぇ、カイト、顔赤くない? 何かあった?」
「な、なんもねーし‼」
「んー、年越し蕎麦なのに、年越してるよ?」
「うっ……細かいこと気にすんなって!」
「シン、カイト、話している場合じゃない。彼女がせっかく用意してくれた蕎麦がこれ以上どうにかならない内に早く食べよう」
慎之介さんが魁斗さんに絡んで、それを諌める司さん。
3人のやり取りが微笑ましくて自然と笑顔が浮かぶ。
たまに巻き込まれたりもするけど、それもまた楽しくて、わたしの胸は暖かな気持ちに包まれる。
そして、今年もまた皆と過ごす日々が始まるーーー。
Happy New year!
早めに店仕舞いをして、3 Majestyの皆と新年を迎えるために魁斗さんの部屋にお邪魔している。
予め用意してきた料理を並べていると、ウキウキと待ちきれない様子の慎之介さんが手元を覗き込んできたので、
「マカロンも作ってきたよ」
「やった!」
スモーキークオーツの瞳を細めて喜ぶ慎之介さんに、思わずつられ笑い。
野菜が多めのお料理、冷めても美味しいチーズたっぷりのグラタン、たくさん食べてもいいように程よい甘さに抑えたスイーツ。持ってきたお料理を慎之介さんに手伝ってもらいながら並べていたら、テーブルの上がたちまちいっぱいになった。
そこへお盆に飲み物を乗せた司さん、お箸や取り分け皿を持った魁斗さんがキッチンから戻ってくる。
「君の料理はいつ見ても美味しそうだ」
席について、テーブルに並ぶお料理にロイヤルブルーの瞳を細め、表情を綻ばせる司さんに嬉しくなる。
「早く食べようぜ」
お腹減った、と待ちきれない様子の魁斗さん。
「早く早く」
慎之介さんが急き立てる。
飲み物を配り終え、
「今年もお疲れ様でした!」
グラスを合わせ、乾杯。
作ってきた料理を突っつきつつ、楽しい時間は進みーーー。
「ねえ、マカロン食べたい」
隣に座る慎之介さんが呟いた。
「ちょっと待ってて」
魁斗さんの部屋に来たとき、テーブルに乗らなかったマカロンを入れた水色のボックスを慎之介さんに渡す。
「ありがとう」
ボックスを開くと、可愛いレースペーパーの中にカラフルなマカロンたち。
慎之介さんが幸せそうに微笑んだ。
「君が選んだの、食べたい」
「ん?」
「食べさせて。ね?」
口を開け、マカロンが放り込まれるのを待つ慎之介さん。ふたりでいるときもお願いされてたまに「あーん」はするけど、ここには司さんと魁斗さんもいる。
そのふたりはいまテレビに夢中みたいだ。
お酒も程よく飲んでいるし、そんな敏捷な動きはしない……かな?
一瞬。
素早くなら、大丈夫かも。
「ひ、ひとつだけだよ?」
コクンと頷く慎之介さんに、ピンクのストロベリーマカロンをつまむ。
このヒリヒリとした緊張感はなんだろう。
別に悪いことしているわけじゃないのに、いけないことしているみたいな。
ドキドキしつつ、マカロンを慎之介さんの口元へ持っていき、形のよい唇に運んだとき、息を飲むような声が聞こえた。
「なっなにやってんだよ……! シンくん」
魁斗さんに一番タイミングの良いところを見られてしまったようだ。
「……シン」
司さんの冷たい声に場の空気が凍える。
「………」
細められた氷のような眼差し。
どんな怒りが飛んでくるやら。固唾を飲んで見守った。
「………」
「………」
「………」
司さん以外の三人で顔を見合わす。
「隊長ー?」
慎之介さんが無邪気なテンションで問いかける。
「………」
司さんに顔を近づけた慎之介さんがプッと吹き出した。
「寝てる。起きたまま寝てる!」
「うそだろ?」
皆で顔を近づけ様子を窺う。
目を開けたまま微動だにしない司さんから聞こえてくるのは寝息だった。
ひとしきり周りが笑った後も起きる気配はなく、疲れているんだろうねと、司さんはそのまま放置されることに。
しばらくして。
席を外した魁斗さんをふと視線で追いかけた慎之介さん。
直ぐに戻ってこないのを見届け、
「レス子にもマカロンを食べさせてあげたいな」
想定外の呟きに心臓が跳ね上がる。
「でも、また見つかったら大変なんじゃ」
思わず司さんを見ると、背中をピンと伸ばした綺麗な姿勢で座り、いまだ目を開けて寝ている。
眼球乾かないのかな?
これはこれでちょっと心配だ。
「大丈夫だよ。カイトが戻ってくる前に、早く早く」
急かされ、
「わ、分かりました。それじゃ頂きます」
慎之介さんの勢いに乗せられてしまう。
「口開けて?」
頷くと、口にマカロンをくわえた慎之介さんが甘い微笑みを浮かべ、身を乗り出してきた。
「待って。その、こうやって食べなきゃダメですか?」
「うん」
気恥ずかしさから緊張したまま小さく口を開けて待っていると、口にマカロンが優しく押し付けられた。それを食べるために大きく口を開くと、マカロンと一緒に柔らかい何かが触れる。
慎之介さんの唇だ!
驚きに目を見開くと綺麗な顔が間近に、扇状の長いまつげがとても近いところにあって驚いた。
慎之介さんを押し退けるわけにもいかず、だからといってこの状態を受け入れてもいいものか。
どうすることもできず、ドキドキしていると慎之介さんの唇は離れていく。と同時に魁斗さんが戻ってきた。
わたしは俯いて火照る顔をひたすら隠し、慌てて口の中のマカロンを噛み砕いた。
味なんて分かるはずもなかった。
「君の魔法で幸せいっぱい。ふふ……」
「あ、シンくん……!」
慎之介さんが笑ったと思ったらそのまま眠っている司さんの方に体が傾き、重なるように寝てしまった。口角は幸せそうに持ち上がったまま。
「はぁ……ふたりともなにやってんだよ」
目覚める気配のないふたりに魁斗さんが飽きれ顔だ。
「お前さ、さっき、シンくんともしかして……」
燃えるようなピジョンブラッドの瞳が向けられる。まるで、心の奥まで見透かされそうな真っ直ぐな瞳にたじろいだ。
顔、赤いのばれてたのかな。
慎之介さんの唇の感触を思い出し、わたしがなにもいえないでいると、
「いや、やっぱ……なんでもない」
魁斗さんは自分で切り出した話を自分で締めくくる。
ちょうどそのとき、除夜の鐘がごーん、と聞こえてきた。
年明けも近いみたい。
「年越し蕎麦の準備しようぜ」
「はい!」
振り返ることなく立ち上がる魁斗さんを慌てて追いかける。
魁斗さんのキッチンで、ネギを切ったりつけ汁を作ったり、蕎麦を茹でる準備を分担して進め、お蕎麦が茹で上がるまでキッチンに立ったまま待つふたりの間に沈黙が訪れた。
真冬の静かな夜に、除夜の鐘の音だけが時々聞こえてくる。
「………」
魁斗さんは何か考えているのか、一点を見つめたまま微動だにしなかった。
「クリスマスは霧島くんがエスコートしたし、今日はシンくんがレス子にマカロン食べさせてもらってるし、なんかズルい……」
「え?」
「あっ! 違っ俺は別にっ……なんでもないし」
するっと出た独り言は本心なのか、顔を真っ赤にして否定している。
「はー……本当はなんでもなくない。お前とふたりっきりの時間過ごせて羨ましいって思ってる」
「いま、魁斗さんとふたりきりだよ?」
「あっ……そいえば」
あーもう、なにボケてんだよと自分を罵り、魁斗さんは乱暴に頭をかく。
「霧島くんもシンくんも、お前のこと大事に想ってるの知ってる。でも俺だってレス子、お前のことが大事だ」
ハッキリとした言葉で伝える魁斗さんは、頭に手をやったまま、腕に隠れた顔が赤い。
「魁斗さん」
呼び掛けると顔を上げた魁斗さんが、鍋の中の蕎麦の存在を忘れたまま、いてもたってもいられないという風にわたしに手を伸ばし抱き寄せた。
「霧島くんにも、シンくんにも負けないくらいお前が好きだから……!」
ーーーー
「新年あけましておめでとー!」
「おめでとうございます」
気持ち良さそうに寝ていた二人をお越し、4人で新しい年を迎え少し遅めの蕎麦を頂く。
「ん……?」
「あれ? 蕎麦、茹ですぎた? 緩くない?」
司さんと慎之介さんの蕎麦をすする箸が止まる。
「しっ知らねーし」
魁斗さんがしらばっくれる。
「ねぇ、カイト、顔赤くない? 何かあった?」
「な、なんもねーし‼」
「んー、年越し蕎麦なのに、年越してるよ?」
「うっ……細かいこと気にすんなって!」
「シン、カイト、話している場合じゃない。彼女がせっかく用意してくれた蕎麦がこれ以上どうにかならない内に早く食べよう」
慎之介さんが魁斗さんに絡んで、それを諌める司さん。
3人のやり取りが微笑ましくて自然と笑顔が浮かぶ。
たまに巻き込まれたりもするけど、それもまた楽しくて、わたしの胸は暖かな気持ちに包まれる。
そして、今年もまた皆と過ごす日々が始まるーーー。
Happy New year!
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