何処か遠くへ行きたいのですが
なんて誘ってみれば勿論断られるのは想定内。

『渋滞ばかりの狭い日本で何処へ行けるか教えてほしいな。』

否定的に話を終わらせようとするのはもう限界でしたから無力な反発をしてしまいました。

『バージルさん！せっかくだから』

『観光に来たつもりはない。』

愛刀の歴史を調べるためにやってきただけだと私の言葉を遮り呆れる彼は
良い意味では仕事熱心、悪い意味では付き合い悪い。
誰がどう見てもバージルという男には己の目的しかないのでしょうか。

『ドライブがダメならツーリング行こう！？』

『… アヤ、お前みたいな落ち着きのない女は面倒臭いぞ。』

『ダンテさんは結構バイク乗ってるよ？？』

『愚弟と一緒にするな。』

車の助手席やバイクのタンデムで運転するあなたの姿が見たい。
そんな夢なんてこの男に語っても語らなくても無駄のようです。


『バージルさん温泉は！？西伊豆はどう？？』

『大衆浴場ならアヤの近所のその辺にたくさんあるだろ。』

『え…銭湯のこと言ってるの………？』

『汗を流すには自宅の浴室で事足りるんだがな。』

『…もういい。奢ってあげるから付き合って。』


これはもう入浴習慣という生活文化の違いの話ではない。

これは……

彼自身の問題なのでしょう。


『じゃ、私のZ750貸してあげる！』




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バージルさんはSSバイクより高級セダンが似合う気がします。