自称・天才くん
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ピッチに響くホイッスル音が好き
ベンチでしか感じられない息遣い、汗の匂いがして好き
夢中でボールを追いかける横顔が好き
風のように芝生を走る姿が好き
前線に上がっていく背番号付きの、頼もしい背中が好き
私はサッカーが好き
サッカーをする彼が、好き
「絵心さん…!規格外の2人を見つけました!」
私は興奮気味に携帯を耳に当てる。
今日は青森県強豪校の駄々田高校が練習試合をすると聞きつけ視察にきた。つもりが、すっかり対戦相手の白宝高校の天才的なプレーに見入ってしまっていた。
引き込まれるような2人のプレーは一目で私を魅了した。
御影玲王
凪 誠士郎
この2人なら、私の夢を叶えてくれる
私は、夢を叶えたい。
その為には、有能な天才が必要。
だからこうして、各高校に足を運び
私ーー桜木美織の夢は、世界一のサッカーチームを作ること。
昔からサッカーが大好きだった。
サッカーが大好きで、この伸び悩んでいる日本サッカー会を変えたい!なんて大きな
絵心さんは一言鼻につくことも多いけれど、サッカーに対する考えには大きく賛同するし、内に秘めたサッカーへの情熱も感じる。だから私は絵心さんについて行くと決めた。
《強化指定選手一覧》と書かれたタブレット画面を見つめ、ぐっと力が入る。
「やったぜー!凪ー!」
華麗にドリブル、パス、トラップからシュートを決め喜んでいる2人の天才プレーヤーに見惚れていると、薄いグレー髪の高身長の7番と目が合った。
「………!」
不思議そうにこちらを見つめる視線から目が逸せないでいると、その目線を追ってきた紫髪の10番もこちらを見て駆け寄ってきた。
「おねーさん取材?」
「えー、あ、うん!そんなところかな」
1人スーツだったから浮いていて、そう思ったのかな。誤魔化すように笑うと「凪ー!」と手招きして7番の子を呼んだ。
「ふふっ、2人ともサッカー何歳からやってるの?」
「俺らは半年前から。これが初試合だったんだぜ」
「半年…!?」
何かの間違い?あのコンビプレーがサッカー歴半年?
ニカっと笑う紫の瞳を見つめる。
まだ17歳だというのに瞳の奥に感じる。
圧倒的な自信と
サッカーへの熱と
時折垣間見える狂気と
夢への期待と
私の胸に雪崩れ込むように、感じる。
「2人の夢はなに?」
その目を見つめていたら、思わずそんなことを質問していた。
「夢?」と首を傾げてから、そんなの決まってんじゃんと隣にきた子を“宝物”のように見つめて肩を組んだ。
「2人で世界一!な、凪」
「えー、めんどくさ…」
“世界一”
その言葉は、そう言って笑う笑顔は、凄く眩しくて、今でもずっと忘れられない。
これが、初めての出会いだった。
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