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3 × 6




「お腹空いたあ」

ダンスレッスンが終わり楽屋に戻るなり、ユースケは大きな声で言った。

「レッスン始まる前も食ってたじゃねーかよ」

「動くとお腹減るの!リョウガはねー、もっと食べた方が良いよ!」

俺だって人並みには食べるさ、そりゃ。でも太れねーんだよ。肉が付かねーんだよ。
こんな体型だからあまり食べてないって思われるけど食べてんだよ。

「あ!ねえリョウガー!この近くにパン屋さんできたんだって!行こー!」

ユースケのスマホ画面には、最近出来たばっからしい、綺麗で小さなパン屋さんの写真が映し出されていた。

他のメンバーが帰り、俺たちも楽屋を後にする。

「そのパン屋までどのくらいかかんの?」

「んーとねー、5分くらいだって。割と近い!」

「へー。パン屋ができたなんて全然知らなかったな」

「こっちの道あんま通らないしねー。
てかさ!人いないし、手、繋ごうよ〜」

はい出た、ユースケお得意の甘え攻撃。
満面の笑みで、キラキラした瞳で、しかも上目遣いで見られたら、ね。

「ん」

「わ、やった!」

ポーカーフェイスを保ちながらユースケの手をぎゅっと握ると、嬉しそうに笑った。
ほんといつも楽しそうで一緒にいてこっちまで楽しくなる。表情がコロコロ変わるから見ていて飽きないし、もっと見てみたいって思ってしまう。

って俺かなり恥ずかしい。
こんなの絶対誰にも言えねーし。

「あー幸せだなあ。リョウガとこうして手繋いでパン屋さん行くの、なんか良いね!」

でもこいつは言うんだよな。思った事を恥ずかしがらずに素直に言えるユースケが羨ましいし何よりとても愛おしい。

脚を止め、ユースケの唇にそっと自分の唇を重ねた。

「え、え、どうしたの急に!」

「別に。したくなったからじゃん?」

ユースケが可愛いから、とは言えず、でもキスしたかったからっていうのは本当だし、急にキスして驚くのも見たかったっていうのと、なんか身体が勝手に動いたっていうか、

…まあとりあえずユースケ可愛いからキスしたかったって事ね!




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