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意識を取り戻したあの夜から暫くして…
体調はみるみる良くなっていった。
侑士はあれから毎日病室に来てくれる。
朝に顔を出し夜には病室から出ていく。
どこに行くの?って聞いたこともあったけど…「野暮用が色々な。」と言われてしまった。
病室に居るときは他愛もない会話をしたり読書をしたり。
私だけに見える姿ではなく、他の人にも見える姿で居てくれている。
それでも両親や友達と会うのはまだ恥ずかしいのか姿を消してしまう。
先生や看護師さんの時はベットの脇の椅子に座って普通にしてるから…
「カッコイイ彼氏ね?」
なんて、からかわれることもあった。
「そんなに褒められたら照れるわー」
なんて言って侑士は否定もしない。
…そ、そんなんじゃないんだからね!
そんな日々が続いていたある日…
「愛音、今日の調子はどうや?」
「うん!なんだかすごく調子がいいんだよ。先生も驚いてたくらい」
「調子えぇなら外とか行けたりせぇへんの?愛音と外デートしたいわ」
「と、突然!デ、デートって…!」
「愛音はデートは嫌なん?先生もこの前、近くまでなら外に出てたまには遊んで来たらえぇゆうてたやん」
「い…い…嫌じゃないけどっ…」
「ほなえぇやんか。決定な。」
「そんな勝手に~…」
「先に病院のロビーで待ってるわ。愛音と初の外デートやし、急がんでえぇからお洒落してきてや?…じゃあな?」
椅子から立ち上がると私の返事を待たず背を向けて手をひらひらと振って部屋を出て行ってしまった。
…。
……。
………。
デート!
ちょっと待ってっ!!
私デートってしたことないっ
どうしたら…
えと、お洒落してきてって言ってたよね。
可愛い服…可愛い服…
あ~…もう、こんなことがあるならもっと可愛い私服病院に持ってきてもらうんだった!!
メイクはした方がいい?簡単なメイクが出来るメイク道具しか持ち合わせてないけどっ
髪型は?侑士はおろしてるのが好き?結んだ方が好き?
ここが病室だってことも忘れて唯一持ってきてたシンプルなワンピースとメイクはナチュラルに。
髪は…褒められる程度には自信があるからおろしたままにした。
鏡で自分の姿を見つめる。
変じゃ…ないかな。
今自分にできる精一杯のお洒落をして部屋を出た。
どきどきが止まらない。
病院だから走れないけど…勝手に早足になる。
早く、早く、侑士に会いたい。
侑士とどこにいこう。
侑士と何をしよう。
エレベーターを降りてロビーで侑士の姿を見つけた。
「侑士っ。お待たせ!」
「愛音。…めっちゃ可愛ぇやんかー!」
人目があるにも関わらず頭をポンポンと撫でられる。
「ワンピも似合ってるし、メイクもしてくれてるんやね。髪もめっちゃさらさらや」
そんなに褒められたことなく免疫のない私には刺激が強すぎてただ赤面して俯いてしまったから…とびきり嬉しそうに笑う侑士の顔を見逃してしまった。
隣に並んでロビーを出る。
久しぶりに院内から出た私には少し眩しすぎた。
くらり…
と足元がふらつく。
侑士が肩を持って支えてくれた。
「…大丈夫か?」
「うん。ごめん。平気。久しぶりの外だから眩しくてふらついちゃっただけ」
「そうか?それならえぇんやけど。ほんま?」
「ほんま!」
侑士の口調を真似して返事をしてみせると侑士が笑って私も釣られて笑顔になる。
出会った時からそうだった。
どちらかが笑顔になると釣られてしまう。
「ほなら…愛音が転んだら危ないさかい、せめて…な」
そう言って私の手を握り手を繋ぐ。
指と指を絡めて…
あったかくて大きくて…安心できる手だ。
顔が熱くなる。
私がきゅっと握り返すと「愛音の手は小っこいなぁ」と侑士が呟いた。
「侑士の手が大きいんだよ」と返して歩きだす。
「愛音がしたい事、リクエスト聞いたるで?」
「んーーー…じゃあ…この近くにね、公園があるの。そこに行きたいっ」
「公園な。りょーかい。そんな遠くでもないから大丈夫やろ。言うてたもんな。初めて会った日に。」
「行きたいって言ったの覚えてくれてたんだ。あったかくなると咲く一面の花畑があるんだって。最近温かいから…もう咲いてるかもって思ったの!」
「あれしたい、これもしたいっていっぱい言うてたもんな」
「まだまだあるんだからー!全部…侑士と一緒にできたら…いいな」
「一緒に、叶えてこ?急がんでも、一個づつな」
「うんっ」
ゆっくり、ゆっくり隣に並んで歩いてくれる。
私に…合わせてくれてる、のかな?
ちらりと私が隣を歩く侑士を見上げるとその視線に気づいて侑士の視線より少し下にいる私に視線を向けてくれ微笑んでくれる。
私から侑士を見ていたはずなのに自分に視線が向けられるとパッと逸らしてしまう。
照れちゃう…んだけど…
私が照れているのがわかるからか…隣で侑士がくすくすと楽しそうに笑った。
「照れんのも可愛えぇけど…逸らされると寂しいわぁ…」
「え…ご、ごめんっ!そういうつもりじゃ…!」
侑士の寂しそうな声に急いで逸らした顔を向けると…
額に…一瞬だけど柔らかな唇…の……感触。…正確には前髪に…かな。
「っ!?………な、今…何し…」
「さぁ?なんやろね~」
「あー!はぐらかしたっ~!」
はぐらかされて…私の体温が上昇する。
ずっとこの時間が続けばいいのに。
侑士と笑って、手を繋いで。
「…そ、そんなぁ~…」
「咲いて…へんね。」
楽しみにして来た公園の中の人が少ないひっそりと奥にある花畑。
最近温かったし、咲いてると思ったから侑士と見たいと思ってきたのに…
咲いてないだなんて~…
がっくりと肩を落とす私と、繋いでいた手を解いてぽんぽんと頭を撫でてくれる侑士。
花畑の傍に行きスカートを地面につけないようにしてしゃがみ花の蕾を見つめる。
その隣に同じように侑士もしゃがんでくれた。
「まだ蕾かぁ…」
「せやね。もう少しで咲きそうやねんけどな」
「残念だなぁ…。せっかくここまで侑士と来たのに」
「…また、いつでも来れるやんか」
「それも…そうなんだけど、見たかったなー…」
「蕾の姿の花も…なんやえぇな。」
「え?」
「今から綺麗な綺麗な花が咲くんやろ?
あったかいこの世界で土から芽を出して成長して。
…生命力振り絞って美しい花を咲かせる。
なんや、愛音みたいや。」
侑士の指先が花の蕾を優しく撫でた。
愛しそうな表情でとても穏やかな微笑みで。
「そんなに褒められてもなにも出せないよ…」
撫でながら蕾を見つめる侑士を私が見つめる。
…まただ。胸の奥のあったかい気持ち。ぽかぽかしてくすぐったくて。
あぁ…わたし…
私、侑士が好きなんだ…
意識を取り戻したあの夜から暫くして…
体調はみるみる良くなっていった。
侑士はあれから毎日病室に来てくれる。
朝に顔を出し夜には病室から出ていく。
どこに行くの?って聞いたこともあったけど…「野暮用が色々な。」と言われてしまった。
病室に居るときは他愛もない会話をしたり読書をしたり。
私だけに見える姿ではなく、他の人にも見える姿で居てくれている。
それでも両親や友達と会うのはまだ恥ずかしいのか姿を消してしまう。
先生や看護師さんの時はベットの脇の椅子に座って普通にしてるから…
「カッコイイ彼氏ね?」
なんて、からかわれることもあった。
「そんなに褒められたら照れるわー」
なんて言って侑士は否定もしない。
…そ、そんなんじゃないんだからね!
そんな日々が続いていたある日…
「愛音、今日の調子はどうや?」
「うん!なんだかすごく調子がいいんだよ。先生も驚いてたくらい」
「調子えぇなら外とか行けたりせぇへんの?愛音と外デートしたいわ」
「と、突然!デ、デートって…!」
「愛音はデートは嫌なん?先生もこの前、近くまでなら外に出てたまには遊んで来たらえぇゆうてたやん」
「い…い…嫌じゃないけどっ…」
「ほなえぇやんか。決定な。」
「そんな勝手に~…」
「先に病院のロビーで待ってるわ。愛音と初の外デートやし、急がんでえぇからお洒落してきてや?…じゃあな?」
椅子から立ち上がると私の返事を待たず背を向けて手をひらひらと振って部屋を出て行ってしまった。
…。
……。
………。
デート!
ちょっと待ってっ!!
私デートってしたことないっ
どうしたら…
えと、お洒落してきてって言ってたよね。
可愛い服…可愛い服…
あ~…もう、こんなことがあるならもっと可愛い私服病院に持ってきてもらうんだった!!
メイクはした方がいい?簡単なメイクが出来るメイク道具しか持ち合わせてないけどっ
髪型は?侑士はおろしてるのが好き?結んだ方が好き?
ここが病室だってことも忘れて唯一持ってきてたシンプルなワンピースとメイクはナチュラルに。
髪は…褒められる程度には自信があるからおろしたままにした。
鏡で自分の姿を見つめる。
変じゃ…ないかな。
今自分にできる精一杯のお洒落をして部屋を出た。
どきどきが止まらない。
病院だから走れないけど…勝手に早足になる。
早く、早く、侑士に会いたい。
侑士とどこにいこう。
侑士と何をしよう。
エレベーターを降りてロビーで侑士の姿を見つけた。
「侑士っ。お待たせ!」
「愛音。…めっちゃ可愛ぇやんかー!」
人目があるにも関わらず頭をポンポンと撫でられる。
「ワンピも似合ってるし、メイクもしてくれてるんやね。髪もめっちゃさらさらや」
そんなに褒められたことなく免疫のない私には刺激が強すぎてただ赤面して俯いてしまったから…とびきり嬉しそうに笑う侑士の顔を見逃してしまった。
隣に並んでロビーを出る。
久しぶりに院内から出た私には少し眩しすぎた。
くらり…
と足元がふらつく。
侑士が肩を持って支えてくれた。
「…大丈夫か?」
「うん。ごめん。平気。久しぶりの外だから眩しくてふらついちゃっただけ」
「そうか?それならえぇんやけど。ほんま?」
「ほんま!」
侑士の口調を真似して返事をしてみせると侑士が笑って私も釣られて笑顔になる。
出会った時からそうだった。
どちらかが笑顔になると釣られてしまう。
「ほなら…愛音が転んだら危ないさかい、せめて…な」
そう言って私の手を握り手を繋ぐ。
指と指を絡めて…
あったかくて大きくて…安心できる手だ。
顔が熱くなる。
私がきゅっと握り返すと「愛音の手は小っこいなぁ」と侑士が呟いた。
「侑士の手が大きいんだよ」と返して歩きだす。
「愛音がしたい事、リクエスト聞いたるで?」
「んーーー…じゃあ…この近くにね、公園があるの。そこに行きたいっ」
「公園な。りょーかい。そんな遠くでもないから大丈夫やろ。言うてたもんな。初めて会った日に。」
「行きたいって言ったの覚えてくれてたんだ。あったかくなると咲く一面の花畑があるんだって。最近温かいから…もう咲いてるかもって思ったの!」
「あれしたい、これもしたいっていっぱい言うてたもんな」
「まだまだあるんだからー!全部…侑士と一緒にできたら…いいな」
「一緒に、叶えてこ?急がんでも、一個づつな」
「うんっ」
ゆっくり、ゆっくり隣に並んで歩いてくれる。
私に…合わせてくれてる、のかな?
ちらりと私が隣を歩く侑士を見上げるとその視線に気づいて侑士の視線より少し下にいる私に視線を向けてくれ微笑んでくれる。
私から侑士を見ていたはずなのに自分に視線が向けられるとパッと逸らしてしまう。
照れちゃう…んだけど…
私が照れているのがわかるからか…隣で侑士がくすくすと楽しそうに笑った。
「照れんのも可愛えぇけど…逸らされると寂しいわぁ…」
「え…ご、ごめんっ!そういうつもりじゃ…!」
侑士の寂しそうな声に急いで逸らした顔を向けると…
額に…一瞬だけど柔らかな唇…の……感触。…正確には前髪に…かな。
「っ!?………な、今…何し…」
「さぁ?なんやろね~」
「あー!はぐらかしたっ~!」
はぐらかされて…私の体温が上昇する。
ずっとこの時間が続けばいいのに。
侑士と笑って、手を繋いで。
「…そ、そんなぁ~…」
「咲いて…へんね。」
楽しみにして来た公園の中の人が少ないひっそりと奥にある花畑。
最近温かったし、咲いてると思ったから侑士と見たいと思ってきたのに…
咲いてないだなんて~…
がっくりと肩を落とす私と、繋いでいた手を解いてぽんぽんと頭を撫でてくれる侑士。
花畑の傍に行きスカートを地面につけないようにしてしゃがみ花の蕾を見つめる。
その隣に同じように侑士もしゃがんでくれた。
「まだ蕾かぁ…」
「せやね。もう少しで咲きそうやねんけどな」
「残念だなぁ…。せっかくここまで侑士と来たのに」
「…また、いつでも来れるやんか」
「それも…そうなんだけど、見たかったなー…」
「蕾の姿の花も…なんやえぇな。」
「え?」
「今から綺麗な綺麗な花が咲くんやろ?
あったかいこの世界で土から芽を出して成長して。
…生命力振り絞って美しい花を咲かせる。
なんや、愛音みたいや。」
侑士の指先が花の蕾を優しく撫でた。
愛しそうな表情でとても穏やかな微笑みで。
「そんなに褒められてもなにも出せないよ…」
撫でながら蕾を見つめる侑士を私が見つめる。
…まただ。胸の奥のあったかい気持ち。ぽかぽかしてくすぐったくて。
あぁ…わたし…
私、侑士が好きなんだ…