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これ以上の感情移入はあかんと思った俺は近くから見守ることをやめた。
愛音とは「また来るな。」と言って出てきたけど会うこともしてへん。
病院の立ち入り禁止の屋上で佇む。
瞳を閉じれば愛音がどうしてるかなんて簡単に見ることもできる。朝飯前や。…飯、食わんけど。
体調を崩し気味になってきてなんとなく、あぁ、もうすぐかもしれない。
と思うことが多くなった。
今まで看取ってきてもこんな気持ちになることなんてなかった。
言葉を交わしたからやろか。
林檎があまりにも美味しかったからやろか。
愛音の笑顔があまりにも俺には眩しかったからやろか。
あの笑顔があまりにも頭から離れへん。
林檎を一緒に食べていた時のことをいつものように思い出しながら愛音を見守っていると瞳を閉じて脳裏に入って来たのは…
愛音の意識が遠のいていく瞬間。
生気の灯がみるみる消えていく瞬間やった。
ちょぉ、待ちぃや!!
あかん!!!あかんで、愛音!!!!!
背中の翼を羽ばたかせて急ぎ愛音の病室へ向かう。
飛ぼうが何しようが俺の今の姿は誰にも見えへん。
病室へ着くとナースコールを何度も何度も何度も鳴らす。
早よぉしや!!愛音がっ!!
早く来てくれっ!!!
すぐに看護師が慌ただしく立ち代わり入れ替わり何人も出入りする。
俺はただただ部屋の隅っこで出来ることがあるはずもなくただ呆然と立ち尽くしとった。
なんにも出来へんやん。俺。
なんで何も出来へんねんっ……
ははっ…なに、熱くなってもうてんの…
ってか…俺の役目は天界に連れてくだけやんか。
これでお役目終了や。
次や次。
…林檎、また食いたかったな。
あっという間に愛音は手術室へ連れていかれて…
俺と会ってからは愛音がリクエストし欠かさず置かれるようになった見舞い品の林檎を見て笑みが零れた。
「愛音っ…目を覚ましたのね」
「よかった…心配したんだぞ」
私が目を覚ました時最初に見たのは両親の安堵した表情だった。
お母さんは涙目になっていて、お父さんも凄く疲れているみたいだった。
酸素マスクをつけている私は「大丈夫だよ」と小さな声で言う。
…私、生きてるんだ。
目を覚ましてから先生や看護師さんに会って…体も怠かったから一人にして欲しいとお願いした。
それを聞いてゆっくり休むように言われ部屋に一人になる。
もう、夜だ。
雨も止んで雲もなくて月明りが綺麗だった。
灯りも消されて月明りだけが部屋を照らす。
今日は月が…妙に明るかった。
「侑士…そんなに悲しそうな顔しないで?」
「愛音…俺がおるん気づいとったんか…」
「ずっと気づいてたよ。泣きそうな顔で…見てるんだもん。こっち、来て?」
私のベットから遠くにいるから…部屋の隅に。
笑いながら言うとこっちに来てくれて…私のすぐ隣に立ってくれる。
私の前髪を侑士がさらりと指で撫でてくれた。
「…翼、見えないんだね。助けてくれた時の、綺麗だったんだけどな」
「室内で広げたらそんなもん…邪魔になるやんか」
「あはは…それもそうだね」
「無事でよかった…」
「うん。…助けてくれたんだ…侑士が。」
「俺が?」
「そう。夢、だったのかな…私の手を掴んで助けてくれたの」
「さよか…」
前髪を撫でていた手を滑らせて頭を優しく撫でてくれる。
「ねぇ、侑士…羽根、見たいな…。真っ白な侑士の翼。」
「邪魔になるゆうたやんか。観覧料取るで?」
「観覧料ー!?……出世払いでお願いします」
「出世せぇへんかったら払ってもらえへんやんかー。踏み倒されるわー…」
「「あはははっ…」」
同時に笑う。
侑士が傍に居てくれるなら私は生きたいと思った。
こんな風に冗談言って、笑って。
この時感じた気持ち…
胸の奥からあったかい気持ちが溢れて止まらない。
「約束、してや?…生きることを、あきらめんこと。それが条件や」
侑士が真剣な表情をした。
その瞬間…侑士の背中に、私が朧げな記憶で見た時と同じ純白の翼。
眩しかった。
きらきら光って輝いてた。
でも、その翼に見惚れるより…侑士がとても優しそうな柔らかな表情で微笑むから…
翼よりもその整った綺麗な表情に釘付けになってしまった。
見惚れていると侑士から付け足された台詞に…2人で笑う。
「出世払いも…忘れたらあかんで?」
「もぅっ…。何年も…何十年も先なんだから…気長に、待っててね?」
これ以上の感情移入はあかんと思った俺は近くから見守ることをやめた。
愛音とは「また来るな。」と言って出てきたけど会うこともしてへん。
病院の立ち入り禁止の屋上で佇む。
瞳を閉じれば愛音がどうしてるかなんて簡単に見ることもできる。朝飯前や。…飯、食わんけど。
体調を崩し気味になってきてなんとなく、あぁ、もうすぐかもしれない。
と思うことが多くなった。
今まで看取ってきてもこんな気持ちになることなんてなかった。
言葉を交わしたからやろか。
林檎があまりにも美味しかったからやろか。
愛音の笑顔があまりにも俺には眩しかったからやろか。
あの笑顔があまりにも頭から離れへん。
林檎を一緒に食べていた時のことをいつものように思い出しながら愛音を見守っていると瞳を閉じて脳裏に入って来たのは…
愛音の意識が遠のいていく瞬間。
生気の灯がみるみる消えていく瞬間やった。
ちょぉ、待ちぃや!!
あかん!!!あかんで、愛音!!!!!
背中の翼を羽ばたかせて急ぎ愛音の病室へ向かう。
飛ぼうが何しようが俺の今の姿は誰にも見えへん。
病室へ着くとナースコールを何度も何度も何度も鳴らす。
早よぉしや!!愛音がっ!!
早く来てくれっ!!!
すぐに看護師が慌ただしく立ち代わり入れ替わり何人も出入りする。
俺はただただ部屋の隅っこで出来ることがあるはずもなくただ呆然と立ち尽くしとった。
なんにも出来へんやん。俺。
なんで何も出来へんねんっ……
ははっ…なに、熱くなってもうてんの…
ってか…俺の役目は天界に連れてくだけやんか。
これでお役目終了や。
次や次。
…林檎、また食いたかったな。
あっという間に愛音は手術室へ連れていかれて…
俺と会ってからは愛音がリクエストし欠かさず置かれるようになった見舞い品の林檎を見て笑みが零れた。
「愛音っ…目を覚ましたのね」
「よかった…心配したんだぞ」
私が目を覚ました時最初に見たのは両親の安堵した表情だった。
お母さんは涙目になっていて、お父さんも凄く疲れているみたいだった。
酸素マスクをつけている私は「大丈夫だよ」と小さな声で言う。
…私、生きてるんだ。
目を覚ましてから先生や看護師さんに会って…体も怠かったから一人にして欲しいとお願いした。
それを聞いてゆっくり休むように言われ部屋に一人になる。
もう、夜だ。
雨も止んで雲もなくて月明りが綺麗だった。
灯りも消されて月明りだけが部屋を照らす。
今日は月が…妙に明るかった。
「侑士…そんなに悲しそうな顔しないで?」
「愛音…俺がおるん気づいとったんか…」
「ずっと気づいてたよ。泣きそうな顔で…見てるんだもん。こっち、来て?」
私のベットから遠くにいるから…部屋の隅に。
笑いながら言うとこっちに来てくれて…私のすぐ隣に立ってくれる。
私の前髪を侑士がさらりと指で撫でてくれた。
「…翼、見えないんだね。助けてくれた時の、綺麗だったんだけどな」
「室内で広げたらそんなもん…邪魔になるやんか」
「あはは…それもそうだね」
「無事でよかった…」
「うん。…助けてくれたんだ…侑士が。」
「俺が?」
「そう。夢、だったのかな…私の手を掴んで助けてくれたの」
「さよか…」
前髪を撫でていた手を滑らせて頭を優しく撫でてくれる。
「ねぇ、侑士…羽根、見たいな…。真っ白な侑士の翼。」
「邪魔になるゆうたやんか。観覧料取るで?」
「観覧料ー!?……出世払いでお願いします」
「出世せぇへんかったら払ってもらえへんやんかー。踏み倒されるわー…」
「「あはははっ…」」
同時に笑う。
侑士が傍に居てくれるなら私は生きたいと思った。
こんな風に冗談言って、笑って。
この時感じた気持ち…
胸の奥からあったかい気持ちが溢れて止まらない。
「約束、してや?…生きることを、あきらめんこと。それが条件や」
侑士が真剣な表情をした。
その瞬間…侑士の背中に、私が朧げな記憶で見た時と同じ純白の翼。
眩しかった。
きらきら光って輝いてた。
でも、その翼に見惚れるより…侑士がとても優しそうな柔らかな表情で微笑むから…
翼よりもその整った綺麗な表情に釘付けになってしまった。
見惚れていると侑士から付け足された台詞に…2人で笑う。
「出世払いも…忘れたらあかんで?」
「もぅっ…。何年も…何十年も先なんだから…気長に、待っててね?」