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どういうことや…!
俺が見えてたってことやろ?
そんなん今までなかったやんか。
現に他のやつには見えてへんかったはずや。
彼女にだけ…?
とりあえずは冷静になるんや。
頭の中をフル回転させながら病室の前へたどり着いて扉の前で立ち止まり深呼吸を1回。
すーーー…はーーー…。よし。
意を決してドアをスライドさせて初めて俺は彼女の病室へと入った。
「邪魔…すんで…?」
「今林檎剥いてる最中だから…少し椅子に座って待っててね?」
林檎と果物ナイフを持っている彼女は両手が塞がっとって視線で座る椅子を促して俺は大人しく腰を下ろす。
ベットの脇にある小さなテーブルをはさんで向かい合わせに座る俺と…新堂愛音。
「自分、器用やねんな」
「そうかなー。でも果物持ってきてくれて自分で剥いたりするから、慣れてるのかも」
くすくすと笑いながら剥いて切り終え皿に置かれた林檎を見ているとフォークを差し出された。
「これ、あげるね?…はい。うさぎさんっ」
「…お、おおきに…」
林檎の皮でうさぎの長い耳を表現した可愛らしいものを渡されてあまりに無邪気に笑うから素直に受け取った。
この一切れだけしかうさぎになってへん。特別に作ってくれたんやろか。
この子、いつまで元気なんやろ…
こんなにえぇ笑顔でおんのに。
シャクッ…と歯応え良く水分量も甘さもある。
「…美味い。」
「よかった。まだまだあるからいっぱい食べてね?私はいつも食べてるから遠慮しないで?」
俺らは基本食料を必要とせん。人間界で言う腹が減る…っちゅー感覚がない。
だから初めて口にした林檎に素直に感想を漏らす。
…大げさかもしれんけど、ちょっとした感動すら覚えた。
彼女の言葉通り俺はそれから何個も林檎を口に運んだ。
食べとる最中はただただ美味い。こんなの食べたことないわ。と林檎の感想しか言ってへんかった。
「あ~…めっちゃ美味かったわ。ご馳走さん。ありがとうな。」
「そんなに気にいってくれたなら剥いた甲斐があるから、私もありがとう」
お互いにお礼を言い合って顔を見合わせて笑ってしまった。
「…えと、俺の名前は…侑士。ゆうんやけど…」
「私は新堂愛音です。」
「愛音…ちゃんやね。…なんで、俺を誘ってくれたん…?」
「いつも…私の事見ててくれたから。少し前から気付くといつもあの木の上に座って。他の人にそれとなく聞いたこともあるんだ。「あそこに、誰かいない?」って。でも、みんないないっていうから…あぁ、きっと私だけに見えてるのかもって」
「そう、なんか…」
「だからね、きっとあなたは天使なんじゃないかって思ってるの。私が勝手にね」
「…は?」
彼女…愛音の台詞をただ聞いていた俺はドキッとして顔を上げた。
そこで見つけた愛音の胸元に光る小さな彼女のような…小ぶりでも光り輝くロザリオを見つけた。
愛音が指先でロザリオに触れる。
「時々優しい顔して私の事見守っててくれてたから悪魔とか…死神とかそういう感じはしなくて。だから私の中で貴方…侑士は天使なんだって。私のもとに来てくれたならもしかしたら…私の病気を治しに来てくれたのかもって思ってたの。最近ね、なんだか調子の良い日も多いの!」
「天使て…そんなんちゃうよ。……でも、天使って言われて悪い気はせぇへんな。そういうことにしといてや」
あまりにも眩しい笑顔で俺を見つめるから…
あまりにも疑いのないはしゃぐ声で笑うから…
俺は愛音に笑いながらも机の下に置いている膝の上の見えない位置で拳をきゅっと固く握りしめる。
上手く…俺は笑顔作れとる?
天使は天使でも愛音が思っとるんとちゃうねん。
愛音は…もうすぐ…俺はそれを迎えに来てんねん…
言えへんかった。
愛音は天使やと思ってる俺と話せたことがよほど嬉しかったのか、あそこに行きたい。これが食べてみたい。これがしてみたい。と、珍しく自分の事を話していた。
俺が見ていた愛音は聞き役をしていたことが多かったから…こんなに自分の事を楽しそうに話す姿が新鮮でしゃあなかった。
それから愛音はそろそろ点滴の時間だと言ったから、「また来るな?」なんて約束をして部屋を出た。
部屋から出た俺は…人気のない場所で人間の姿から天使の姿へ変わり羽根を広げた。
それでも愛音を見守る病室近くの木のいつもの場所にはいく気になれなくて…
小高い丘に降り立った。
病院からほど近い場所にある丘の上から見えた夕日。
いつの間にか曇っていた空はここにはなくて。
遠くに見えるキラキラと輝く水平線とオレンジ色に染められた世界。
愛音はこれを見たことあるんかな…
見たことないなら…これを見ることはこの先あるんかな…
これだけじゃない。
今日嬉しそうに話しとったこと、全部出来たらえぇな…
叶えてやりたい。
俺が愛音の言う…病気を治せる天使やったらよかったのに。
なんでちゃうんやろ…
なんで…
なんで…
どういうことや…!
俺が見えてたってことやろ?
そんなん今までなかったやんか。
現に他のやつには見えてへんかったはずや。
彼女にだけ…?
とりあえずは冷静になるんや。
頭の中をフル回転させながら病室の前へたどり着いて扉の前で立ち止まり深呼吸を1回。
すーーー…はーーー…。よし。
意を決してドアをスライドさせて初めて俺は彼女の病室へと入った。
「邪魔…すんで…?」
「今林檎剥いてる最中だから…少し椅子に座って待っててね?」
林檎と果物ナイフを持っている彼女は両手が塞がっとって視線で座る椅子を促して俺は大人しく腰を下ろす。
ベットの脇にある小さなテーブルをはさんで向かい合わせに座る俺と…新堂愛音。
「自分、器用やねんな」
「そうかなー。でも果物持ってきてくれて自分で剥いたりするから、慣れてるのかも」
くすくすと笑いながら剥いて切り終え皿に置かれた林檎を見ているとフォークを差し出された。
「これ、あげるね?…はい。うさぎさんっ」
「…お、おおきに…」
林檎の皮でうさぎの長い耳を表現した可愛らしいものを渡されてあまりに無邪気に笑うから素直に受け取った。
この一切れだけしかうさぎになってへん。特別に作ってくれたんやろか。
この子、いつまで元気なんやろ…
こんなにえぇ笑顔でおんのに。
シャクッ…と歯応え良く水分量も甘さもある。
「…美味い。」
「よかった。まだまだあるからいっぱい食べてね?私はいつも食べてるから遠慮しないで?」
俺らは基本食料を必要とせん。人間界で言う腹が減る…っちゅー感覚がない。
だから初めて口にした林檎に素直に感想を漏らす。
…大げさかもしれんけど、ちょっとした感動すら覚えた。
彼女の言葉通り俺はそれから何個も林檎を口に運んだ。
食べとる最中はただただ美味い。こんなの食べたことないわ。と林檎の感想しか言ってへんかった。
「あ~…めっちゃ美味かったわ。ご馳走さん。ありがとうな。」
「そんなに気にいってくれたなら剥いた甲斐があるから、私もありがとう」
お互いにお礼を言い合って顔を見合わせて笑ってしまった。
「…えと、俺の名前は…侑士。ゆうんやけど…」
「私は新堂愛音です。」
「愛音…ちゃんやね。…なんで、俺を誘ってくれたん…?」
「いつも…私の事見ててくれたから。少し前から気付くといつもあの木の上に座って。他の人にそれとなく聞いたこともあるんだ。「あそこに、誰かいない?」って。でも、みんないないっていうから…あぁ、きっと私だけに見えてるのかもって」
「そう、なんか…」
「だからね、きっとあなたは天使なんじゃないかって思ってるの。私が勝手にね」
「…は?」
彼女…愛音の台詞をただ聞いていた俺はドキッとして顔を上げた。
そこで見つけた愛音の胸元に光る小さな彼女のような…小ぶりでも光り輝くロザリオを見つけた。
愛音が指先でロザリオに触れる。
「時々優しい顔して私の事見守っててくれてたから悪魔とか…死神とかそういう感じはしなくて。だから私の中で貴方…侑士は天使なんだって。私のもとに来てくれたならもしかしたら…私の病気を治しに来てくれたのかもって思ってたの。最近ね、なんだか調子の良い日も多いの!」
「天使て…そんなんちゃうよ。……でも、天使って言われて悪い気はせぇへんな。そういうことにしといてや」
あまりにも眩しい笑顔で俺を見つめるから…
あまりにも疑いのないはしゃぐ声で笑うから…
俺は愛音に笑いながらも机の下に置いている膝の上の見えない位置で拳をきゅっと固く握りしめる。
上手く…俺は笑顔作れとる?
天使は天使でも愛音が思っとるんとちゃうねん。
愛音は…もうすぐ…俺はそれを迎えに来てんねん…
言えへんかった。
愛音は天使やと思ってる俺と話せたことがよほど嬉しかったのか、あそこに行きたい。これが食べてみたい。これがしてみたい。と、珍しく自分の事を話していた。
俺が見ていた愛音は聞き役をしていたことが多かったから…こんなに自分の事を楽しそうに話す姿が新鮮でしゃあなかった。
それから愛音はそろそろ点滴の時間だと言ったから、「また来るな?」なんて約束をして部屋を出た。
部屋から出た俺は…人気のない場所で人間の姿から天使の姿へ変わり羽根を広げた。
それでも愛音を見守る病室近くの木のいつもの場所にはいく気になれなくて…
小高い丘に降り立った。
病院からほど近い場所にある丘の上から見えた夕日。
いつの間にか曇っていた空はここにはなくて。
遠くに見えるキラキラと輝く水平線とオレンジ色に染められた世界。
愛音はこれを見たことあるんかな…
見たことないなら…これを見ることはこの先あるんかな…
これだけじゃない。
今日嬉しそうに話しとったこと、全部出来たらえぇな…
叶えてやりたい。
俺が愛音の言う…病気を治せる天使やったらよかったのに。
なんでちゃうんやろ…
なんで…
なんで…