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侑士が消えてしまった夜。
夢だって思って…思いたくて…落ちたロザリオを拾って眠ろうとしたけど…
眠れなかった…
涙が止まらなくて…
体中の水分が抜けて枯れ果ててしまうんじゃないかっていうくらい泣いて…
人ってこんなに泣けるんだなってくらいに
泣いて
泣いて…
泣いて……
朝日が見えたのを覚えてる。
一生私は泣いて過ごせるんじゃないかと思ったけど、泣きつかれて寝てしまって起きたら涙は止まってて。
人って…ちゃんと出来てるんだな。なんて思った。
こんなに心が苦しくて悲しくてしかたないのに…
消えてしまったものがあまりにも大きいと自分でもわかっているのに…
それでも涙は止まっていつもと同じ日常が始まっていた。
手術後のリハビリ、体力の回復…退院するまでに少しかかってしまったけど…
私は侑士と出会ったこの場所から今日退院する。
「愛音、お父さんが車近くまで持ってきてくれてるから来なさいね」
「うん。忘れ物ないか…確認したらすぐにいくから」
お母さんに微笑んで先に行ってもらうように見送ると病室に一人になる。
「愛音…はよ行かな、お母さんもお父さんも待ってんで?」
なんて…侑士の声が聞こえることを期待して目を閉じてみる。
目を開けた先にもしかしたら侑士が立っていてちょっと困った表情できっと言うに違いない。
ゆっくりと目を開けた。…けれど望んだ声が聞こえることはなかった。
聞けないんだ。侑士の声。
繋げないんだ。侑士の手。
一緒に食べられないの?侑士林檎好きでしょ?
会えないの?愛音って呼んでくれないの?
侑士の願いは私が助かる事だって言ってた。
じゃあ…私の願いはどうなるの?
侑士の願いだけ叶ってズルイじゃない…
私の願い事は叶ってないんだよ?
まただ…視界が滲む。涙が溢れる。
侑士の事を思うたびにこうして涙が止まらなくなる。
この思いが何なのか…自分でも気付いてる。
初めて、恋…したんだもん。
病室を見つめて思い出す。
初めて侑士の姿を見つけた窓の外の木。
一緒に林檎を食べたテーブル。
手術後、泣きそうな表情で立っていた部屋の片隅。
おやすみを最初で最後、一度だけ言ってくれたベット。
消えてしまう前に侑士が私に見せてくれた優しい笑顔。
全部全部好きだった。
せっかく好きだって気づいたのに…
侑士の事が…本当に大好きだったんだよ…?
言えなかった気持ちをこの部屋に置いて行こうとして言葉を飲み込んだ。
「……。侑士が目の前に居てくれないのに…私の気持ちは教えてあげないんだからね…」
荷物を持って病室を出る。涙を拭って。
「いってきまーす!」
今日は始業式。私の高校生活が始まった。
あれから…侑士に会うことはなくて…空を見上げてはどこかで侑士が見守ってくれてるんじゃないかな。なんて思う。
今はそんな風に思うけど…時が経てば…侑士の事を考えることもなくなっていくのかな…
1人首をぶんぶんと横に振る。
「忘れない。侑士の事、忘れることなんて絶対にないんだから」
心の中で呟いて制服のシャツの中に隠しているロザリオを制服の上から触れる。
なんとなく侑士の事を近くに感じられる、侑士との思い出の品だから、私は肌身離さず身に着けていた。
靴を履いて玄関にある鏡で身なりをチェックする。
よし。大丈夫。
家を出て学校へ向かう。
またこうして新しい日が始まる。
今日も侑士の事を想って1日1日…時間は過ぎて去っていく。
ねぇ、侑士。
退院して家に戻ってきたら侑士からの手紙、ポストに入ってたからびっくりしたんだよ?
直接渡してくれたらよかったのに手紙だなんて侑士っぽくないんだから。
白い…私が持ってた便せんを見て真っ先に思ったのは、想像してたよりも繊細で綺麗な字だな。って。
便せん1枚にあまりにも短い一言しか書かれてなくて…直接聞きたかったって思ったんだから。
手紙、封筒から開ける時、どきどきしたんだよ?
どんなことが書いてあるんだろう、侑士の気持ち聞けるのかな。そんな風に思って封筒を開けて便せんを見たのに。
『愛音、生まれ変わったその時は…また、会おな?』
便せんの真ん中に一言だけ。
「なにこれ…短すぎるよ…」
って呟いて涙が頬を伝って流れてるのに笑えてきて何度も繰り返し一言だけの手紙を見た。
…私は、その一言をずっと信じてるの。
侑士を思わない日は、1日だってないんだよ。
学校に付いて新しいクラス替え発表が張り出されている掲示板を見る。
仲良い子と一緒がいいな。
楽しい高校生活が送れますように。
期待と少しの不安を胸に抱いて自分の名前を探して…そして見つけた。
「愛音とおんなじクラスやんか。よろしゅう」
…え?
今…隣から声が…
よく知ってる声。
身体が硬直する。
胸の鼓動が早くなって生唾を飲み込んだ。
私の隣には背の高い男子制服の人。
ゆっくりと隣の人を確認するように視界を上げ顔を見る。
そこにあったのは、大好きな人の優しい微笑みだった。
私の願い…やっと、叶ったんだ……
「また、会おな。って言うたやろ?
もう、ずっと愛音の傍におるから。
離さへん…好きやで。
愛音。」
侑士が消えてしまった夜。
夢だって思って…思いたくて…落ちたロザリオを拾って眠ろうとしたけど…
眠れなかった…
涙が止まらなくて…
体中の水分が抜けて枯れ果ててしまうんじゃないかっていうくらい泣いて…
人ってこんなに泣けるんだなってくらいに
泣いて
泣いて…
泣いて……
朝日が見えたのを覚えてる。
一生私は泣いて過ごせるんじゃないかと思ったけど、泣きつかれて寝てしまって起きたら涙は止まってて。
人って…ちゃんと出来てるんだな。なんて思った。
こんなに心が苦しくて悲しくてしかたないのに…
消えてしまったものがあまりにも大きいと自分でもわかっているのに…
それでも涙は止まっていつもと同じ日常が始まっていた。
手術後のリハビリ、体力の回復…退院するまでに少しかかってしまったけど…
私は侑士と出会ったこの場所から今日退院する。
「愛音、お父さんが車近くまで持ってきてくれてるから来なさいね」
「うん。忘れ物ないか…確認したらすぐにいくから」
お母さんに微笑んで先に行ってもらうように見送ると病室に一人になる。
「愛音…はよ行かな、お母さんもお父さんも待ってんで?」
なんて…侑士の声が聞こえることを期待して目を閉じてみる。
目を開けた先にもしかしたら侑士が立っていてちょっと困った表情できっと言うに違いない。
ゆっくりと目を開けた。…けれど望んだ声が聞こえることはなかった。
聞けないんだ。侑士の声。
繋げないんだ。侑士の手。
一緒に食べられないの?侑士林檎好きでしょ?
会えないの?愛音って呼んでくれないの?
侑士の願いは私が助かる事だって言ってた。
じゃあ…私の願いはどうなるの?
侑士の願いだけ叶ってズルイじゃない…
私の願い事は叶ってないんだよ?
まただ…視界が滲む。涙が溢れる。
侑士の事を思うたびにこうして涙が止まらなくなる。
この思いが何なのか…自分でも気付いてる。
初めて、恋…したんだもん。
病室を見つめて思い出す。
初めて侑士の姿を見つけた窓の外の木。
一緒に林檎を食べたテーブル。
手術後、泣きそうな表情で立っていた部屋の片隅。
おやすみを最初で最後、一度だけ言ってくれたベット。
消えてしまう前に侑士が私に見せてくれた優しい笑顔。
全部全部好きだった。
せっかく好きだって気づいたのに…
侑士の事が…本当に大好きだったんだよ…?
言えなかった気持ちをこの部屋に置いて行こうとして言葉を飲み込んだ。
「……。侑士が目の前に居てくれないのに…私の気持ちは教えてあげないんだからね…」
荷物を持って病室を出る。涙を拭って。
「いってきまーす!」
今日は始業式。私の高校生活が始まった。
あれから…侑士に会うことはなくて…空を見上げてはどこかで侑士が見守ってくれてるんじゃないかな。なんて思う。
今はそんな風に思うけど…時が経てば…侑士の事を考えることもなくなっていくのかな…
1人首をぶんぶんと横に振る。
「忘れない。侑士の事、忘れることなんて絶対にないんだから」
心の中で呟いて制服のシャツの中に隠しているロザリオを制服の上から触れる。
なんとなく侑士の事を近くに感じられる、侑士との思い出の品だから、私は肌身離さず身に着けていた。
靴を履いて玄関にある鏡で身なりをチェックする。
よし。大丈夫。
家を出て学校へ向かう。
またこうして新しい日が始まる。
今日も侑士の事を想って1日1日…時間は過ぎて去っていく。
ねぇ、侑士。
退院して家に戻ってきたら侑士からの手紙、ポストに入ってたからびっくりしたんだよ?
直接渡してくれたらよかったのに手紙だなんて侑士っぽくないんだから。
白い…私が持ってた便せんを見て真っ先に思ったのは、想像してたよりも繊細で綺麗な字だな。って。
便せん1枚にあまりにも短い一言しか書かれてなくて…直接聞きたかったって思ったんだから。
手紙、封筒から開ける時、どきどきしたんだよ?
どんなことが書いてあるんだろう、侑士の気持ち聞けるのかな。そんな風に思って封筒を開けて便せんを見たのに。
『愛音、生まれ変わったその時は…また、会おな?』
便せんの真ん中に一言だけ。
「なにこれ…短すぎるよ…」
って呟いて涙が頬を伝って流れてるのに笑えてきて何度も繰り返し一言だけの手紙を見た。
…私は、その一言をずっと信じてるの。
侑士を思わない日は、1日だってないんだよ。
学校に付いて新しいクラス替え発表が張り出されている掲示板を見る。
仲良い子と一緒がいいな。
楽しい高校生活が送れますように。
期待と少しの不安を胸に抱いて自分の名前を探して…そして見つけた。
「愛音とおんなじクラスやんか。よろしゅう」
…え?
今…隣から声が…
よく知ってる声。
身体が硬直する。
胸の鼓動が早くなって生唾を飲み込んだ。
私の隣には背の高い男子制服の人。
ゆっくりと隣の人を確認するように視界を上げ顔を見る。
そこにあったのは、大好きな人の優しい微笑みだった。
私の願い…やっと、叶ったんだ……
「また、会おな。って言うたやろ?
もう、ずっと愛音の傍におるから。
離さへん…好きやで。
愛音。」
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