【Dom/Subユニバースパロ】dom社会人赤葦×sub社会人夢主
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
お店の前で無事に合流できたところで、二人とも会釈をしてもう一度、初めましての挨拶をした。
赤葦さんの第一印象は背が高くて、眼鏡をしているのと丁寧な敬語から優しそうな雰囲気を感じた。モスグリーンの瞳に不釣り合いな隈は多忙を極めているせいで出来たのかもしれない。
それでも端正な顔立ちをしていることがわかる。
「黒尾さんから普段は居酒屋で飲むことが多いって聞いたんですけど、今回はこちらのお店にしてみました。」
「わぁ、素敵なお店ですね!」
お店はなんと赤葦さんが忙しい合間に予約してくれていたすき焼き屋。女子会やデートに来ているお客さんから数人の団体様まで幅広くいる。この前、黒尾と行った和食メインの個室居酒屋とはまた違った雰囲気だ。
店内は蛍光灯ではなく、かと言って暗すぎず暖色のライトに照らされほんのりとした暗がりで心地良い。流れている音楽は最近流行りのポップスではなくジャズなのもさらに雰囲気を良くしている。
こんなにオシャレなお店を知っているのは作家さんと打ち合わせしたりオフレコな打ち上げがあったのかもしれない。
完全個室ではなく半個室なのはきっと、赤葦さんなりの初対面の私に対する配慮なんだと思う。
「実はこの前、仕事の打ち合わせで来たんです。美味しかったのでぜひ、□□さんにも食べてほしくて。」
「予約から、何から何までお任せしてすみません。」
注文はメインのすき焼きセット二人前と、お酒をそれぞれお願いした。鍋物はこの寒い時期には有り難いし、美味しいものを予約してくれたの気遣いに温かくなる。
「□□さんって黒尾さんと同級生ですよね? 俺の方が年下ですし敬語じゃなくていいですよ。」
「その、実は、緊張してまして。飲み始めたら敬語じゃなくなると思うので。」
「緊張してるんですか?」
「はい、ちょっと人見知りでして。」
「そんな気にしなくてもいいのに。」
背も高く、黒縁眼鏡が似合う塩顔に、仕事も出来る編集者ならば実際はかなりモテるはず。ただ時間だけが足りなくて今回、たまたま黒尾によって選ばれたのが私なだけあって。
時間さえあればきっとあっという間にパートナーは見つかるだろう。そんな相手と食事なんてどうしても身体は硬くなるし敬語も外れない。
注文したお酒が届き、すき焼きはセットされ後は食べ頃になるまで少し時間を置くが話しているとあっという間に出来上がる。
グラスとジョッキをくっつけ早速、乾杯の挨拶をしてからお酒を口に運ぶ。
「お仕事お疲れ様です。」
「赤葦さんもお疲れ様です。」
お互い食べ飲み進めていくと、仕事の話や、あのお店行きましたよ、これ美味しいですね、など当たり障りない話から本題の第二性についてもぽつぽつと話すようになっていた。
「なぜパートナーを解消されたんですか。」
「お互い傾向が合わなくて解消しちゃいました。半年ほど頑張ってみたんですけど続かなくて。」
「□□さんはsubでしたっけ? 合わないと思ったらご自身の為にも、懸命な判断だったのでは。」
実際は「ごめん。やっぱり、無理。」とむしろ解消された方なので懸命な判断をしたのは相手のほうになる。自分の小さなプライドの為にもいちいち訂正はしないので赤葦さんは私から解消したと思っている。
飲みの席でも相手を立てることを忘れないのは、もはや職業病なのか彼本来の性格なのか。
「赤葦さんはどのくらい前に解消されたんですか。」
「もう一年ほど前になりますね。」
この情報はこの前、黒尾から聞いていたから知っている。が、他人からの又聞きより自分で聞いて話してもらえたほうが嬉しいので知っていることをあえて聞いてみることにした。
二人ともグラスが空っぽになりそうなところで、店員さんが追加したお酒を持って来てくれた。ナイスタイミング。これからの内容次第では飲まないと聞いてられないかもしれない。
「……あの、失礼ですがどれくらいplayしてないんですか?」
「それが、最後の記憶がパートナーがいた時のことでして。」
「え?! もしかして、一年前ですか……。」
「ははっ、そうかもしれませんね。良くないですけど最近、慣れてきたような気がします。」
こんなの素面で聞いていい話じゃない。
それに、慣れてきたなんて私に悟られないための嘘なんじゃないか。一年もplayしていないなんて普通じゃ考えられないだろうし。
仕事が忙しいだけでも心身共に負担がかかる、それなのにplay出来ていないことで彼の身体や精神面にとっくに限界が来ていてもおかしくはない……。それこそ黒尾が見てられないと心配するほどに。
初対面の私だって真っ先に心配の二文字が浮かんだ。
「……もし、もしですよ。赤葦さんが良ければ私に出来ることありますか?」
「ありがたいですけど、俺、そんなつもりで食事に誘った訳じゃないです。」
そういう赤葦さんは優しい言い方をしたけど、どこか悲しそうに見える気がする。なんで悲しんで見えるのかはわからない。playのために誘ったと誤解されたことが嫌だったのかもしれない。
でも、誤解されて嫌なのは私だって同じだ。
「私だって、そのつもりで来た訳じゃないです。ただ、心配になって……。差し出がましいこと言ってすみません。」
「こちらこそすみません。……もし、□□さんが良ければ、お言葉に甘えて簡単なcommandだけでもお願いしてもいいですか。」
「もちろんです。それで元気になったらまたご飯行きましょう。今度は私が予約しますから!」
「ありがとう。」
赤葦さんは一度、私の様子を確かめるように視線を落とした。それから、静かに息を整える。
「……commandを使いますね。」
事前に告げてから、低く落ち着いた声で。
「□□さん、"Say" 名前を教えてください。」
心臓が跳ねた。分かっているのに、身体の方が先に反応してしまう。
「……◯◯です。□□◯◯。」
「Good」
言い終えた瞬間。短く、けれどはっきりと聞こえた。
「教えてくれて、ありがとうございます。」
ただこれだけのやり取りなのに、胸の奥がじんわりと温かくなる。
私の名前なんて、最初のメッセージでのやり取りで伝えてあるから知っているはず。それなのに言いやすいことをわざわざcommandで聞いて私にも負担がかからないようにしてくれている。
「……◯◯さん、"Look"こっち見て。」
「は、い。」
「……よくできました。」
赤葦さんは、少しだけ目を細めた。それから一呼吸置いて今度は囁くような声で褒めた。
「Goodgirl」
わざわざ名前呼びして、command聞けたらこんな風に甘く褒めてくれて下手したら勘違いしそうになる。
それではいけない。赤葦さんが心配でcommandを出してもらっただけなのだから。
「……あの、どうですか。少しはマシになりましたか?」
「おかげさまで、少し楽になりました。□□さんは辛くないですか?」
やっぱり赤葦さんは優しい人だ。こんな優しいcommandで辛くなるはずがない。前のパートナーとは傾向が合わなかったにしても、こんなに優しいdomにsubが居ないなんて本当なのか信じられない……。
「全然、あの、むしろ心地よかったです。」
「そう言ってもらえるとdom冥利に尽きますね。」
「赤葦さんのcommandが優しかったので。」
これは本心だ。赤葦さんのcommandは私には全く負担にならなかったし、むしろもっとplayしたいと私の中のsubの本能が言っている。
黒尾が言うだけあって、人のことをきっとよく見て辛くないようにしてくれたんだろう。
「□□さんは前のパートナーとは傾向が合わなかったそうですが、具体的に聞いても?」
「あ〜、ありがちなんですけど、その人はハードなcommandを好むdomで私はそういうのが苦手なのでその点が合わず、って感じですね。」
「……なるほど。」
それからも赤葦さんとはほどほどに飲んでそろそろお会計になり、問題が一つ。
「私も払いますよ!」
「いえ、さっき助けてもらったので気にしないでください。」
そう、私がお手洗い行っているときに赤葦さんがお会計を済ませてしまったのだ。いくら出すと言っても聞かない。
こうなったら、
「じゃ、次は私が奢りますので。赤葦さんは大人しく奢られてくださいね!」
これしかない。
「次もあるんですか、嬉しいなぁ。」
なんて、お酒で顔色がほんのり赤みがかった赤葦さんにこんなこと言われれば胸がぎゅってなる。私から、次はって言ってしまったから赤葦さんも断れないだけかもしれないのに。
お会計も終えて外に出るとまさかの土砂降りで。
天気予報では雨なんて言ってなかったのに、なんて内心苛ついていてもしょうがないのでこの先のお天気を調べるとさらに絶望した。
「えっ、今夜はもうこのまま雨?!」
タクシー拾えるかな。
「と、とりあえずタクシー乗り場行きますか?」
「そうですね、捕まるかもしれませんし行きましょう。」
行ったらどうにかなる、そう思って赤葦さんの折りたたみ傘に二人で入った。
「赤葦さん、もっと寄ってください。右側濡れてますよ!」
「この雨じゃどっちにしろ濡れます。□□さんこそもっと傘に入ってください。」
結局お互い気を遣いすぎてずぶ濡れでタクシー乗り場にはなんとか着けた。ついでにすっかり酔いも覚めた。
それにしてもかなりの行列だ。
そうだよね、急な土砂降りだから皆並ぶよね。
一台去って、また一台……、これを何回見送ったかわからないけど、ついにあと一つで順番だ。
あ、やっと順番が回ってきた。
「□□さん、お先にどうぞ。」
「いや、赤葦さんこそお先にどうぞ。」
「酷い雨ですし暗いですから□□さんがお先に。」
「そんな、赤葦さんだって次タクシー来るかわからないのに。」
そう、次がタクシー乗り場に来ていれば私がお先に乗車して帰るのも全然いいのだが、次のタクシーがまだ見えてこないし。後ろももう並んでいないくらいもう真っ暗で時刻も遅い。
明日は二人共休みの土曜日だけど、それでも帰れるなら帰った方がいいに決まっている。
「どうします、乗らないんなら回送しますよ。」
運転手さんにも急かさせれる、こうなったらやっぱり赤葦さんだけでも乗らせないと。
「□□さん、お家はどの辺ですか?」
「あー、ここと逆方向になります。」
「……なるほど、うちとも逆方向か。とりあえず乗ってください。」
「え!? 赤葦さんは?」
「俺も乗ります。」
私が乗ると本当に赤葦さんも乗り行き先を告げる。その行き先ってどこになるんだろう?
乗っている合間も赤葦さんはスマホを操作しながら何かしていて。
着いた先はホテル。と言ってもビジネスホテルだった。
こんなところにあるとは、もしかして、ここに赤葦さん泊まるのかな。なんて見ていたらタクシー代を払ってくれて、「□□さんも降りてください。」
「俺達の家が逆方向なので、とりあえず中間のビジネスホテルとりました。」
「そうだったんですね、本当にありがとうございます!」
「ただですね、空きが一つしか無かったので一部屋になります。」
ん? それってもしかして、今夜は相部屋?
「すみません、初対面の俺と同室は嫌だと思うのですが……。」
「全然気にしないでください。私、床でも寝られるんで大丈夫です!」
「そんなことさせるわけにはいきません。」
チェックインして、いざ部屋を開けるとそれはダブルベッド仕様で部屋にはかろうじてテレビと簡易冷蔵庫があって、あとはベッド一つで部屋が埋まるほどのスペースしか無かった。
「……。」
「……。」
「とりあえず、赤葦さんシャワーどうぞ。」
「いや、□□さんお先どうぞ。このままだと風邪引きます。」
ここでも一悶着あったけど、ここは素直にシャワーをお先に浴びて、着替えはホテル備え付けの寝間着があったのでそれをお借りした。濡れて気持ち悪いけど着ていた下着もそのまま着た。
「あの、お先にありがとうございます。お次どうぞ。」
「俺も行ってきますね。」
待っている間は浴室から、赤葦さんがシャワーを浴びている音が聞こえて変に緊張してくる。いや、ビジホだし、何もないのに一人なに緊張してるんだろう、ベッドどうしよう、一つしかないし、床……も寝られないかもしれない。
「でました。」
「あ、はい。」
赤葦さんもホテルの寝間着だ。私が入っている間にもう一着借りたのかな。背が高いからちょっと丈が足りてなさそう。
「では、□□さんは寝てください。」
「赤葦さんは?」
「俺はロビーに居ます。」
「ダメですよ! それなら私がロビー行くので赤葦さんベッドで寝てください。普段忙しいのも知ってますし。」
「駄目です。女性が一人でロビーは絶対に駄目です。」
「それなら、一緒に寝ましょう。初対面の私にこんなこと言われるのは嫌だと思います。でも、お互い絶対何もないから大丈夫ですよ。」
「…………。」
無言はきついからお願い、何か言ってほしい。
赤葦さんはため息を一つこぼすと、「わかりました。」と言いながらベッドへ腰掛けた。
それから眼鏡を外し、私を見た。
「……すみません。」
そう前置きしてから。
「□□さん、"Come"こちらに来てください。」
拒否の余地はないのに、安心しか感じない声。
身体が勝手にcommandに反応するのはsubの
「「Good」このまま、休みましょうか。」
「は、はい。」
私もベッドへ潜りと向かい合う形になる。自分から一緒に寝ると言い出したのに変に喉が詰まって息の仕方を忘れた。
そもそも、なんで赤葦さんはcommand使ったんだろう。そんな考えを見透かしたようなタイミングで声が頭上から聞こえた。
「すみません。commandじゃないと□□さん、気を遣ってベッドで寝ない気がして使いました。」
「そうだったんですね。ちゃんとベッドで寝ますから大丈夫ですよ。」
「ならよかった。おやすみなさい。」
「おやすみ、なさい。」
彼の顔を見ていると、赤葦さんはきっと優しいだけの人なんかじゃない。
今までplayしないこと、今回commandを使うことを選択したのも、domとしての責任を感じているから。
この日は同じベッドに居ることにいつまで経っても慣れなくて。
ただ赤葦さんのcommandはやはり心地良くて、もしパートナーになれる人は幸せだろうな、なんてことを考えていた。