古森元也
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やっと決意した。
誰に何を言われても関係ない。
これは、私が私の為に決めたことだから。
「□□、おはよー。」
「おはよ、古森。朝練お疲れさま。」
「んー。今度ホームで試合だから□□も見に来る?」
「え〜、いいよ。私バレーわかんないもん。」
半分本当で、半分はウソ。
バレーわからないのは本当、その日は一世一代の勝負の日。だから行けない。
私が自分の顔を気にしだしたのは、何がきっかけかは今でも覚えてる。思い出すたびに辛くなるから思い出さないようにしているけど。
やっと、進める。
ダウンタイムを考慮して年末年始休にプラスして有給をとった。
年が明けて少ししてからきっと新しい自分に会える。
落ち着くまでは有給取っても足りないかもしれない。それでもいい。時間は平等に流れていくから。
***
「やっぱりもう少し有給とれば良かったかな。」
腫れは想像通りまだ引かない、見る人が見たらバレるかも。
変わりたいけど、決してバレたいわけではない。いつもはしない眼鏡とマスクをして出勤する。
「□□、あけおめー。新年早々休み取ってたんだ?」
「あけましておめでとう。ちょっと長めに帰省しててさ。」
「てか、眼鏡珍しくない?」
「帰省中飲みすぎて浮腫んじゃってさ。だからあんまり見ないでね。」
「マスクは……風邪じゃないよな?」
「今朝時間無くて、いつもよりメイク薄くて。」
「……ふ~ん。」
大丈夫。古森が私のことよく見てるわけないし。
眼鏡やマスクもして、浮腫の言い訳も考えてきた。
マスクの言い訳だって。本当は内出血を隠す為にいつも以上に厚塗りだ。きっとバレない。
…………そう思っていた。
新年出社してから日にちが経過する度にわくわくする。少しずつ腫れや内出血が引いてくる。早く完成した顔がみたいな。
あれから暫くは眼鏡とマスクをして出社しているけど、朝挨拶する度に古森からの視線をやたら感じる。
私じゃなくて他に見る人いるでしょ。社内にだって古森ファンやリアコはたくさんいる。
「おはよー、□□。」
「古森、おはよ。」
「また眼鏡にマスクだ。」
「最近、寝坊ばっかりでついメイク薄くなっちゃってさ。」
「へぇ〜。」
またこれだ。理由を聞くだけ聞いては、「ふ~ん。」だの、「へぇ〜。」だの。特に何かを言うわけではない。
ただ、日に日に古森からの視線が顔に向いているのを感じる。
***
それはお昼休憩中に起きた。お手洗いにいる時だった。
「□□さんさ〜、多分いじったよね?」
「あっ、それ私も思った!」
「だよね~。毎日眼鏡とマスクしててもやっぱり分かるよね。」
「古森くんも気づいてるんじゃない?」
「なんでか知らないけど、□□さんに毎朝絡んでるし。」
好き勝手言うだけ言ったら同僚達はお手洗いから去っていった。
なんだ、眼鏡もマスクも意味なかったか……。
……古森も本当は気付いてて言わなかったんだ。
お手洗いから出ると自然と涙が溢れてきた。
自分で決めたはずなのに。誰に何を言われても関係ないって。
「…………□□?」
「こ、古森……。」
「泣いてんの。」
「ち、違うの、これは、」
「ちょっと来て。」
古森は私の手を取るとどこかへ向かう。意外と体温低いんだな、なんて場違いなこと考えて。
どこへ行くのかわからない、けれどだんだん体育館の方に向かっている気がする。
「ここ、ロッカールームだけど、昼間は人来ないから。」
「…………。」
「思いっ切り泣いたほうがスッキリするんじゃない?」
「なんで、」
「え?」
「なんで、私にばっかり構うの!」
こんなの八つ当たりだ。自分でも分かっている。
でも一度吐き出した言葉は止まらなくて。
「……もう放っておいて。」
ロッカールームから立ち去ろうとすると、また手に体温を感じた。
「ごめん、放っておけない。」
「……なんで。なんで私なの?」
「ずっと見てたから。気付いたら目で追ってた。」
「私じゃなくて他に見る人いるでしょ。」
「……いないよ。俺が気にしてるのはずっと□□だよ。」
「…………。」
「俺の前では気を張らないでいいから。」
だめだ。その言葉で堪えてた涙はどんどん溢れてきて、子どもみたいに泣きじゃくってた。
そんな私の頭を古森は撫で続けてくれた。
「俺はどんな□□でも味方だから。」
「……ありがとう、もう、大丈夫だから。」
「これからは俺には弱音も吐いてよ。」
「…………古森は、どんな私でも味方してくれるの?」
「そうだよ。」
「そっか……。」
事実は変わらないし、これから本当に完成するのか、不安な夜も過ごしてきた。
それでも私は自分の決断を後悔はしてない。
誰に何を言われても関係ない。なんて、それは難しかったけど、もう大丈夫。
私自身が自分のことをもう否定しない。
それに、気付いてそれでも見てくれていた人がいた。
今はそんな人が一人いれば大丈夫。
いつか私のこと、正面から見てほしい。