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やっとの思いで今年の仕事納めができ、さっきまで疲れていてた重い足取りがだんだんと軽くなる。帰宅すれば愛しの恋人が待っているとなると、家に近づくにつれ気分も自然と少しずつ上がってくる。
「ただいま〜。」
扉をガチャと開ければそこには、いつもお出迎えしてくれる恋人、◯◯が居るはずだった。
珍しく今日はお出迎えに来ない。まだ帰ってないのか。でも、靴はある。居るのは居るな。これから帰る事を連絡しても返信無かったし、もしかしたら体調崩して寝ている?
「っう、うぅ、ぐすっ、」
いや、違う、泣いてる。俺の居ない間に何かあった?
急いで玄関から、すすり泣く声が聞こえるリビングへ向かい扉を開ける。
バタンと音がするほど思いっ切り開けてしまったが、それでも◯◯はこちらにも目もくれず床に座り込みながら何か言っている。
「ただいま〜。どうした? 泣いてたらせっかくの可愛い顔が台無しよ?」
「……なさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「ごめんなさいって、どうした?」
何に対してのごめんなさいなのかよくわからないが、ただひたすら泣きながら謝り続ける彼女。
どれだけ泣いていたのか、ソファにも腰掛けずに座り込んでいるカーペットには、ぽたぽたと今も彼女の瞳から落ちてくる涙で染みができていた。
全身をよく見ると掻き毟ったような跡がある。
あ、これ、
今にも壊れてしまいそうな彼女をそっと優しく抱きしめた。
「よしよ〜し、鉄朗くんが帰って来ましたよ。もう大丈夫だからな。俺が今いるのわかる?」
「ごめんなさい……うぅ……ごめんなさい、ごめんなさい」
「一人じゃないからな、◯◯。大丈夫、大丈夫。」
「ごめんなさ……、!! やだっ、は、離して!」
やっと俺の存在に気付いたのか、泣きながらも俺の肩や胸を押してどうにかして俺の腕の中から逃げ出そうとする。もちろん、力で敵うはずもなく、もがき疲れて諦めたのか俺の腕の中でぐったりしていて抵抗するのをやめた。
「俺こそごめん。怖い思いさせて悪かった。一人で辛かったな。」
「うぅ……、ぐすっ、て、てつろう?」
「そうだよ、鉄朗くんですよ。一番そばにいなきゃいけないときにいれなくてごめんな。しんどかったのに耐えてくれてありがとう。」
「わ、私……。」
さっきまで抜け出そうとしていた◯◯は今や腕の中で大人しくなって本来の彼女に戻りつつある。あと少しでも帰ってくるのが、気付くのが遅かったらと思うとゾッとする。
「少し落ち着いてきたか?」
「て、てつろう……ご、こめん。私……。」
「俺のこと見て? "
腕の力を少し弱めて、片手で彼女の頬をやんわりと撫でてやると俺のことを静かに見つめてきた。泣き止んだけど、相変わらず瞳は水分でうるうるしていて今にも零れそうだ。
「そうそう、「
彼女はcommandも聞けて少しずつ落ち着いてきた。俺より一回り以上小さくて震える背中を優しくトントンとあやすかのように撫でてやると、彼女は俺の首に手を回してぎゅっと抱きついてきた。
彼女がこんな風になるのは珍しく、思わず撫でる手が一瞬止まり照れ隠しがつい口から出てしまう。
「◯◯は甘えん坊さんだな。俺のことそんなに好きだっけ? いつもそれくらい甘えていいのに。」
「……鉄朗、ありがと。」
あれからどれくらい経っただろうか。
俺は彼女の背中を撫で続け、彼女は相変わらず俺の首に手を回して抱きついている。もうそろそろ戻ってきたか?
「よかった。元に戻れて。俺、心配したんですよ?」
「ごめん……。」
「謝らなくていいから。……なぁ、◯◯、もし話せそうだったらでいいんだけど、なんでああなったのか言えそ?」
「……職場の先輩に
「は? なんだよそれ。嫌がらせってなにされた?」
「仕事のミスを私のせいにされたり、変な噂流されたり……。」
そんな事する奴にも腹が立ったし、何より気付けなかった俺自身にも腹が立った。なんでそんな目に遭っていた事に気が付けなかったんだ。仕事が忙しいから、なんて言い訳にもならない。俺が気付いてやれたらdropしなかった。
何も言わない俺に心配したのか、今度は彼女が俺の顔を覗き込むようにして声を掛けてきた。
「て、鉄朗?」
「いや、そんなやつ気にするな、ってのは無理だろうから後で詳しく教えて。俺がどうにかする。」
「でも、鉄朗には関係ないのに。」
「関係あるでしょ? 俺が◯◯のこと好きでやっと付き合えたのに、そんな事されるなんて。」
「迷惑かけてごめんね。」
「だーかーら、謝らなくていいの。それに、迷惑ぐらいかけてよ。俺、◯◯の彼氏でしょ。」
「……ありがと。」
彼女はまた泣きそうになっていて、呟くくらい小さい声だったけど俺にはちゃんと聞こえた。
触れると体温はいつもより高く、うとうとしてきたみたいだな。そりゃそうか。drop状態まで追い込まれて、やっとの思いでcommandで少し回復したところにどっと疲れがきたんだ。眠気だってくるよな。
「今日はもう寝ようか。疲れたろ?」
「ねぇ、鉄朗、あのね。」
「なあに?」
「私が眠るまで一緒に居てほしい、な。」
やばい、こんな風に可愛く甘えてこられてニヤけない彼氏っているの。俺、ニヤけそうになるの必死で耐えてるんだけど。
そんな可愛いお願いならもちろん一緒に居るに決まってるでしょ。
彼女の膝と肩周りに手を回してお姫様抱っこして寝室へ向かい、ベッドに下ろすとそっと毛布を掛ける。
「俺は◯◯に何があっても離れないし、愛してるから。」
「ありがと。私も好きだよ。」
「わかったから。ほら、もう寝ちゃいな。」
「ん……。」
日頃の疲れや嫌がらせのストレスも溜まっていたのかもしれない。少し話しているうちに彼女はすぐに寝付いた。
「これからも俺に守らせてちょうだい。」
眠り姫の額にキスを一つ落とした。
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