古森元也
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呼ばれるより先に軽い足音で誰だかわかった。
「古森くーん!」
思わずにやけそうになるのを必死で抑える。
ヒールがオフィスの床を鳴らすような可愛らしい足音と共にやって来たのは、最近俺によく声を掛けてくるこの子。
「ねっ! 見て、古森くんの好きそうなお店見つけたの! 今度行かない?」
「えーっと、ちょっと予定確認してからでもいい?」
嘘をついた。予定なんて確認しなくても答えは決まっているのに。
「うん、わかったら教えて! それじゃ、お疲れ様!」
彼女は去っていったのに、その場にはふんわりと甘い香りがほのかに残っていた。
その香りにほんの少し心が浮き立つのを感じた。
「俺も居るのに、相変わらず古森しか見てないよねー、あの子。」
「角名じゃなくて俺に話しかけに来てるから、それはね。」
多分、好かれてる、とは思う。少なくとも嫌われてはないはず。
あまりにも俺の好きそうなお店や話題を探して話しかけてくる姿が可愛くて、つい意地悪したくなっちゃう。
「誘われた日、試合もないんだから行ってあげたら?」
「ん〜、でも一回行って満足されても困るから。まだまだ追いかけてもらわないと。」
「こわっ……。」
「だって、可愛いじゃん? あんなに必死なの。」
そう、必死で俺の気を引くあの子が可愛くてご飯は未だに行ってない。
自分でも酷いとは思っている、けどやめることはしない。
もっともっと追いかけてくれなくちゃ。
***
今日も古森くんに、話しかけに行けた。胸はぽかぽかするし、足取りは軽くなって、自分自身を褒めてあげたくなるの。
帰り際に少し話しただけ。それだけでもメイクを直してきた甲斐があったし、香水の一振りが勇気をくれた。
せめて香りだけでも記憶に残ってくれたら、これ以上嬉しいことはないよ。
本音は真剣にバレーしている姿も見たいし、内勤してるスーツ姿にときめきたい。オフの日に出かけて一日、いや数時間でいいから彼を一人占めしたいな、なんて。これは私のワガママなお話。
仕事の為に出勤するのはやっぱり気分が重い。
けれど、彼に会えるかもしれない、そう思うとまるでデートに行くかのようにメイクに気合が入る。服装はオフィスカジュアルの範囲でなるべく受けの良さそうな服装、髪型も規定の範囲内でアレンジをした色々な私を見てほしい。
今日こそはお誘いオッケーの返事、もらえるかな?
社員カードをリーダーにかざし、歩いていると見つけた。
彼のことは見間違えるはずない。
「古森くん、おはよう!」
「おっ、□□さん、おはよー。」
「朝練お疲れ様!」
見上げると、いつも朝練したとは思えないくらい爽やかで、どこか清涼感ある香りが鼻先を掠める。それが制汗剤なのか、香水なのか、それとも練習後のシャワーなのかは未だわからない。彼に近づく度、その香りに一瞬くらっとする。
香水や制汗剤ならお揃いにしたいな。……って、ちょっと重いかな。
「ねっ、昨日のお店どうかな?」
彼は身長が高いから見上げると勝手に上目遣いになっちゃう。このために忙しい朝に、キラキラなグリッターを乗せることも忘れてない。
視線が合う度に、彼の瞳に少しでも可愛く映ればいいな。そんな淡い期待を込めるの。
「うーん、ごめんな。その日ちょっと予定あってさ。」
古森くんは特徴的な眉毛を下げて言った。
その言葉に胸はズキンと痛む。
……これだけ断られると、どうしても気になっちゃう。
「……やっぱり彼女、いるんじゃないの?」
「なっはっはっ! 彼女? いないいない!」
なにが面白いのか、彼の瞳からは笑いすぎてちょっと涙が見えている。それがまた、子どもっぽくてかわいくて、口元は緩んでしまう私はきっと重症かもしれない。
「本当、全然違う予定だよ。」
「ごめんね、変なこと聞いて……。」
「いいよ。あ、これあげる。」
……これ、持ってる。
渡されたのはFJP公式グッズのユニフォームアクリルチャーム。
これ、ランダムだから13番出すのにまあまあかかったんだよね。
「くれるの……?」
「うん。もしかしていらなかった?」
「ううん! 欲しい! ください!」
「はい、どーぞ。」
なんでだろう。同じ物持っているはずなのに、彼の手から私の手の中に収まったそれは、全然違って特別なものになった。
チャームにはさっきまで持っていた彼の温もりがほのかに残っていて、それがより特別感を与えるの。
「じゃ、俺こっちだから。□□さんも頑張ってね〜。」
「古森くん、ありがとう! これ、大切にするね!」
手を振る彼を見送ってから、それから私も足早に部署へ向かう。
これから始業なのに、私の足取りは羽が生えたように軽かった。
……脈がないのはわかってる。それでも自分の気持ちは止められない。これが彼の気まぐれなのもわかってる。それでも、
「……期待、しちゃうな。」
アクリルチャームはまだ手の中から離せない。
***
社食でランチしている時だった。
「ここ、空いてる?」
座っている私の頭上の更に上から声が聞こえた。
声の低さから彼じゃないことはわかった。わからないのは他にも空いているのに、相席してきたこと。
「……角名さん?」
「古森じゃなくてごめんね?」
「いえ。……あの、他にも席空いてますよ。」
「一人で食べるのも寂しいじゃん。」
角名さんって、なに考えてるかわからなくて少し近寄りがたいんだよね。同期の女の子はそんなところも格好いいって言っていたけど、私には古森くんのほうがやっぱり格好よく見える。
「ね、古森のどこが好きなの?」
「……ゴホッ、……なんですか急に。」
いきなりで、むせてしまった。食べ物口に入ってなくてよかった。
「いやー、なんとなく? 興味本位?」
「…………。」
「そんなに警戒しないでよ。よかったら関係者席のチケット、俺の名前で取ろうか?」
「えっ?!」
そう言った角名さんは目を細めて口角が上がっている。
もしかしたら、試合に出てる古森くんが見られるかもしれない……!!
「角名さん、チケットの話本当ですか?」
「オッホッホ! □□さんって意外と現金なんだ?」
え、もしかしてからかわれた?
ていうか、なに、その笑い方? クセ強っ、初めて聞いたよ。
私だって試合に行けるものなら行きたいし、角名さんが言うように現金にもなる理由がある。
なぜか古森くんには、試合見に来ないでと言われているから。理由を聞いても、「□□さんいたら緊張するから〜。」とか、「今回はナイトゲームで遅いから駄目。」とかはぐらかされる。
古森くんが高校生の時に、No.1リベロと呼ばれていたことは知っている。そんな彼が今も現役選手で活躍しているんだから、緊張もなにもあったもんじゃないし。仮に私が見に行ってもコートからは見えないくらい遠い距離なのだから問題もない気がする。
ナイトゲームだとしても、私だっていい年した大人だ。夜遅くなってもタクシーなり帰る手段はある。
それなのに見に行ったら駄目って、きっとなにか理由があるんだと思う。やっぱりルールよく知らないのに見に行くのって失礼なのかな。彼の活躍を見たいだけ、っていうのは不純な理由なのかな。
「……角名さん、ルール知らないのに試合見るのってやっぱり失礼かな。」
「俺は別に気にしないけどね。……もしかして、試合の古森見たことないの?」
「…………。」
「……マジ?」
「角名に、□□さんも二人してなんの話してんの?」
にこにこしながら彼はやって来た。
「古森くん……!」
「…………。」
「お隣いいー?」
「う、うん! どうぞ!」
わっ、どうしよ! まさか隣にくるなんて、私、汗臭くないかな? こんなことならメイク直ししてから来るんだった!
こんなに近い距離で心臓はドクドクしていてうるさい。
「で、なに話してたのー? 俺も混ぜてよ。」
彼はトレーを置きながら続けた。
でも、なんて言えばいいのかな。本当は試合見たいって、言ってもいいのかな……?
「えっと、その、」
「□□さんが試合見たことないって言うから。俺の名前で席取るよ、って話。」
「えー、そうなの? でも□□さんが会場いたら、俺、緊張するからさ〜。」
やっぱり……。私なんかに見てほしくないんだ。
身体は一瞬強張り、喉はカサついて食事はもう通りそうにない。
さっきまで彼の隣で感じていたはずの熱は酷く冷えていた。
「そう、だよね。大丈夫、行かないから! ……私、そろそろ戻るから、またね! 角名さんも、失礼します!」
これ以上、ここに居たら惨めな気がして。居ても立ってもいられなかった。
「……別に試合くらいいいんじゃないの?」
「んー? でも、他のやつに目移りされても困るし。何より試合だけで満足して、もう追いかけてこないのは一番困るから。」
「……こわっ。」
「角名はなんで□□さんと相席してたの? 他の席行けよー。」
***
「やっぱり、もうやめようかな。」
自宅で一人呟いた声は、誰にも聞かれることなく静かに消えた。
あんなにはっきりと拒絶されたら、さすがに折れそう。
口調こそはいつも通りだったけど、目は笑っていなかったし、何より来ないでね、の無言の圧を感じた。
――本当はずっと迷惑だったのかな。
彼から貰った13番のチャームはスマホからそっと外し、自宅の引き出しに仕舞った。
貰ったときはあんなに心が躍っていたのに、今では視界に入ると胸が痛むの。
だって古森くんを思い出しちゃうから。彼の気まぐれってわかっているのに、期待するのを止められないから。
この恋をやめようとしても朝日は昇り、仕事はやってくる。
行きたくないな。
どこかで彼に会えるかも、少し話せるかも、と丁寧にしていたメイクは習慣になっていて、今日もいつも通りのメイクが完成した。
職場で見かけても話しかけるのは我慢しよう。なるべく視界にも入れないようにしないと。じゃないと、揺らいじゃうから。
いつものように社員カードをリーダーにかざし、部署へ向かっている時だった。
後ろから聞き間違えるはずのない声が聞こえた。
「□□さん、おはよー。」
「……古森くん、おはよ。」
「あれ、元気ない? どっか具合悪い?」
なんで今日に限って話しかけてくるの?
なんで気を遣うの?
やめるって決意したのに、なんで嬉しくなるの?
「……もう、古森くんに話しかけるのやめるから。今まで迷惑かけてごめんね。」
突っかかった喉元からそれだけ話すと、部署へ一人足早に向かった。
これでよかったんだ。
「…………は?」
「古森の自業自得でしょ。」
その日から古森くんを、徹底的に避けた。
社内で見かけたら遠回りしたり、目線が合いそうになったら逸らして、話しかけられそうになったら逃げていた。
そうしないとこの恋は諦められないから……。
不思議だったのは避けた日から、なぜか古森くんがやたら話しかけてきたこと。
「ねぇ、隣いいー?」
背中に緊張が走る。彼は当たり前みたいに隣に詰めてきた。
「……古森くん。私、食べ終わったから行くね!」
社食ではよく相席していいか聞かれた。
本当は隣で楽しく時間を共有したかったけど我慢する日々。
「おはよ〜。□□さん、なんでスマホのチャーム外したの?」
一瞬言葉に詰まる。なんでそんなこと気が付くの。
「……別に、なんとなくです。」
朝はチャーム外したことに気付かれて。
そこまで見てくれていたことに本当は胸が弾んだ。
「□□さん、退勤したでしょ〜? ちょっといい?」
呼び止められた瞬間、足が止まる。振り向いちゃだめ。
「……すみません! 予定あるので失礼します!」
彼は待ち伏せしていた、らしい。
予定なんてないけど、逃げたくて口からは嘘が出ていた。
以前は少しでも記憶してほしくて、纏っていた香水はもう香らない。
「待って。予定って、なんの?」
「あの、離してください!」
古森くんに掴まれた手首は、そこだけ熱を持っていて。
今でもどうしょうもなくて、心臓はドクドクとうるさい。
「やだ。離したら□□さん、居なくなっちゃうから。」
「もうやめるの! だから離してよ……。」
これ以上、夢中にさせないで。
気を抜くと今にも瞳からは涙こぼれそうで、掴まれていない手に力が入る。
「……やめないでよ。」
「え?」
「やめないで、もっと追いかけてよ。」
なに、言ってるの……?
「どういうこと?」
「ごめん、本当は俺のこと追いかけくれるのが嬉しくてさ。ご飯一回行ったら満足して、もう誘ってこないだろうし。試合見てチームメイトに目移りされるのも嫌だったから。だから……、」
気不味さからか、古森くんの視線は私とは合わなかった。
「だから、全部断ってたの……?」
「……ごめん。」
でも、それって……、
「それって追いかけられているのが、他に行くのか嫌だったんでしょ? 別に私じゃなくてもよかったんでしょ?」
「……違うよ。」
「違わないよ。迷惑ならそう言ってくれればいいのに。……ごめんね。」
古森くんの手をやんわりと解いて帰路についた。
手首の掴まれていた感触がまだ消えないのはなんでだろう。
初めて触れられた温度が忘れられないのはなんでだろう。
仕舞っていたアクリルチャームを眺めても答えは出なかった。
古森くんに呼び止められてから、気付いたら数週間も経っていた。
あれからも香水は減らないし、メイクは相変わらず習慣のままになっていて。こんなに毎日頑張って、もうキラキラを作らなくてもいいのかもしれない。
「あっ……。」
古森くんだ。朝練終わったのかな。彼に見つからないように遠回りするのは、すっかりクセになっていた。
振り返ると、すぐそこには同期の男の子がいて。
足と足が絡まり、転んだ、と思った。
それなのに痛みは襲ってこなくて。
「わっ、大丈夫? 怪我はない?」
「うん。大丈夫……。ごめんね。」
思っていたよりもしっかりとした腕の中に収まっていた。
「受け止めてくれてありがとう、おかげで助かったよ。」
「いいえ〜。転ばなくてよかったよ。」
それから頭を撫でられながら、
「可愛い顔が傷付かなくて安心した。」
なんて。こういう人と恋愛出来てたらよかったのかな。
「そろそろ急がないと遅刻するぞ。」
「あ、うん。行こうか。」
この時、誰かに見られていたなんて考えもしなかった。
社食でも古森くんに会わないように周りを見てから、席に着いた。
「隣、いい?」
「古森く、……あ、ごめん。なんでもないの!」
「古森さんじゃなくて悪かったな。隣座っていい?」
聞いてくる同期は笑いながら、隣に腰掛けてきた。
古森くんの名前を呼び間違えただけなのに、喉の奥がひりつくのがわかる。
「聞いてもいい?」
「なに?」
「なんで最近は古森さんと話さないの?」
「別に……。特に理由はないよ。」
「へぇ。」
そう、特に理由なんてない。相手は誰でもよかったんだから。そう思わないと前へ進めない。
古森くんもそろそろ私のことなんてきっと忘れてるよ。
私も忘れてる、って言いたいけどまだ言えそうにないかも……。
「じゃあさ、俺が立候補してもいい?」
「なにを?」
「□□の彼氏。」
「……はい?」
彼は、なんてことないように定食を食べながら続けた。
「俺は□□のこと、気になってたからさ。まっ、ゆっくり考えてよ。」
それから彼となにを話したのかは覚えてなくて。
ただ、古森くんの笑った顔がなぜか浮かんでは消えていく。
新しい恋愛したほうがいいのかな。
本当はずっと無理していたのかも。
あっという間に退勤時間になっていて、会社のエントランスを出るまであと少し。後ろから呼び止められた。
それは少し前まで、私が胸を高鳴らせて話しかけに行っていた人の声だった。
「古森くん……。」
「□□さん、ごめん。少しだけ時間ちょうだい!」
「でも、」
「お願い。これで最後にするから。」
そう言われたらなにも言えなくなってしまう。
だってまだ彼を忘れられないから。
退勤してから空いている会議室に入るのはなんだか不思議な気分だった。
「あのさ、今更で格好悪いけど、言わせて。」
「なんの話?」
会議室では時計の秒針がやけに響くような気がする。
静けさだけが私達を包んでいて。
私は彼から言葉が発せられるのを身構えた。
「俺、□□さんが好きだよ。誰でもよくない。」
「…………うそ、だぁ。」
声が震える。
身体は強張って、瞳からは温かい雫がぽろぽろとこぼれ落ちていくのを感じた。
「嘘じゃないよ。ずっと言いたかった。でも避けられてたし、……って言い訳したら駄目だな。」
「…………。」
「だから、悪いけど同期のやつとは別れてほしい……。」
ん? 別れる……?
「私、誰とも付き合ってないよ?」
「え、今朝見たんだけど。□□さんとあいつが抱き合ってるの。」
抱き合ってる……?
「違うよ! あれは転びそうになったのを助けてくれたの!」
「でも頭も撫でられてたじゃん。」
「本当に違うの! あれは冗談っていうか。」
どうしたら信じてもらえるんだろう……。
突然のことで涙はとっくに引っ込んでいた。
「……本当に違うんだよな?」
「違うってば。」
「はぁ〜……、俺、めっちゃダサいじゃん。」
古森くんはその場にしゃがみ込んで、両手で顔を覆っている。
それから両手が顔から離れて、いつもなら私が上目遣いになるのに今は彼が上目遣いで見つめている。
「……返事きいてもいい?」
その様子がなんだか少しおかしくて、かわいく思える私はやっぱり重症なのかもしれない。
「私も好きだよ。」
「よかった……。」
古森くんのしっかりとした両腕の中に収まっていて、彼の体温はやっぱり高かった。
それから彼からはいつもの、あの清涼感ある香りがした。
彼の体温と香りにずっと包まれていたい、そう思ったの。
***
「へぇ、よかったね。」
「ありがとうございます?」
「なんで疑問系なの?」
あれから元也くんとは順調にお付き合いしている。
ずっと誘っていたご飯は何度行っても楽しいし、ずっと見たかった試合は何度観てもやっぱり格好良くて……。
13番のアクリルチャームはまたスマホに戻ってきた。
こんなに幸せでいいのかな。
あの宣言の翌朝、彼に直ぐ伝えたら「よかったな。」って同期のままいられた。
「また、角名と相席してるー。」
「うわっ。男の嫉妬は見苦しいよ。」
「ほい、そっちちょい詰めて。」
「うん。」
隣に座るのも当たり前になってきた。
けど、まだ胸のどきどきは慣れない。
「はいはい、ごちそうさま。俺は先行くからごゆっくり。」
「おー。」
「角名さん、またね。」
角名さんが席をたってから少しして、元也くんが私のスマホを指差しながら聞いてきた。
「それ、またつけてくれたんだ。」
「うん。だって元也くんがくれたものだし。」
「もう外さないでね。」
「外さないよ。やっと隣を歩けたから。」
追いかけるのはもう終わり。
これからもキラキラなグリッターをのせて、あの香水を纏って彼の隣を歩くの。