誕生日ネタ
世界が救われた日、彼と彼女は大切なものを喪った。人なのか物なのか――それが何かと問われても答えられない。
答えようも無い。けれども二人は口を揃えて言う。それは何よりも大切だったのだ、大切だったのに、と。
教会にノエルたちが住むようになって半年以上。
最初は何を取っても上手くいかなかったが、ラムダのおかげで料理は任せられるし、ニューはどうにか歩けるくらいにまで回復した。
ラムダがニューを寝かしつけたあと、彼女も布団に入った。それを確認してからノエルはクリスマスプレゼントを用意する。どんなものが良いのかは分からない。今年はお菓子の詰め合わせにしたのだ。
「……あ、ジンにいさま。来てくださったんですか?」
「クリスマスの足しになるかと思ってな。ここでの暮らしもなかなか様になってきたじゃないか」
「……えへへ」
三人ぶんの箱を抱えた彼が訪ねてきた。パキンっと音をたてて薪が燃える。最後の灯火に、ジンは火を起こそうとするが、ノエルに止められる。どうせ眠ってしまうから、と。
遅くに済まなかったな。背を向けた兄に、無言で縋る。彼はいずれまた前線に立つ。確信めいた予感。今日だけは、今日だけは許してください。貴方の で居ることを。
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