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nrt

!割とナルトが黒い。
!割とみんなアホ。
!なんか色々終わって平和的解決した後っていう完全捏造パラレル。二部辺り。
!ナチュラルにホモが受け入れられてる不思議。


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珍しく俺1人だけの簡単な何かの宝珠がついた指輪奪還任務が終わって帰るとき、少し暇だったからちょっと違う視点からいつもの里を見てみようと思った。
ということで里の大門に入る前にお色気の術で女になってみた。いつものよりチャクラも抑え目で、服はちゃんと着てる。
そのまま大門に入れば、監視兼受付のイズモさん達が訝しげな目で見てきた。近寄っていって、俺俺と顔を指さしてみる。
コテツさんが「あ」と言った。


「おっまえ、まさか!」

「そーそー、俺だってばね!ナールートー!」

「お前なあ、なんでまたそんな姿してんだよ」

「気分転換だってばよ。じゃあ俺、このまんま任務報告して来るってばね」

「おー。名前はうずまきナルコってしといてやるよ」


コテツさんが笑いながら本当に俺の名前をそう書いた。イズモさんに「めんどくさくなることするな」って頭を殴られてたけど。

鼻歌を歌いながら奪還した紅珠がついた指輪の入った袋を指でくるりと回しながら歩く。この指輪は古くから木の葉の大名様に受け継がれてる由緒正しい…なんとからしい。興味ねぇけど。
額当てをヒナタみたいに首に下げて、オレンジのパンツは膝上のスカートにしてみた。素足に手裏剣ホルダーがあるのがちょっとくすぐったいし、スカートもヒラヒラするからすげー違和感。
自然といつもより歩くのが遅くなるし、ちょっとだけ女の子らしい感じの歩き方になっていく。サクラちゃんとかいのとかどうやって歩いてたっけなー。

ちょっとだけスキップしてみたら、髪の先がふわってしてからデカい胸の下に降りた。おお、なんかおもしれえ。

ふふんと声に出さずに笑って、周りを見渡しながら歩く。いつもより男と目が合う気がするし、女の子からもよく見られる気がする。
女の子は俺の髪の毛とか指先とか、目とか、胸の辺りとかをじーっと見る。
なんかついてんのか?顔を触ってみても違和感はないし、胸を軽く叩いても特になんともない。髪先に指を絡ませて毛先を見たけどそっちも何もなかった。何をそんなに見てんだろ。女の子はわっかんねーなー。


「はいストップ。ナルトお前何やってんの?」


突然後ろから腰に腕が回った。
少しだけ足の裏が地面から浮いて、髪が前へ浮いた。


「か、カカシせんせぇ!?何ってカカシ先生こそ何やってんだってば!離せー!」

「お前ねぇ、女の子の格好しちゃって。潜入任務って訳でもないのに。それとも女装癖でもあったの?」


ナルトの事知ってる人ならすぐナルトってわかっちゃうヨ、とカカシ先生は笑ってから俺から離れた。
俺は上の服をグイっと引っ張って直して、振り返って頬を膨らませた。


「女装癖じゃねえってばよ!ちょっとした気分転換だってばねー」

「うーん、そう。まァ気をつけなよ。お前今可愛いからね」

「…カカシ先生なんか変態っぽいってば。きもい」

「ちょっと!ナルトヒドい!」


カカシ先生は俺の頭をぐいぐい押してきて、痛い。あーもー!ってカカシ先生の手を横へ払った。
序でに左手にクナイを持って上へ向けて先生に突きつけた。


「ちょーっと、ナルト何やってんのよ危ないでしょ」

「うっせ!変態!痴漢!!クナイ投げてないだけマシだって思うってばね!」

「…お前ね、俺先生よ?手ぇ出すわけないデショ」

「そういうセリフが一々変態臭いってか、おっさんだってば!」


一応クナイを仕舞ってから数歩後ろに下がったら、突然カカシ先生が横に吹っ飛んだ。
砂埃と轟音を立ててカカシ先生は一瞬で見えなくなったかわりに、見慣れたピンク色が現れた。


「さ、サクラちゃ」

「大丈夫!?ナルト!」


吹っ飛んだ原因はサクラちゃんの拳だった。カカシ先生はきっと塵になった。


「だ、大丈夫って何が、え、てかカカシ先生…」

「近く歩いてたら通行人さんからナルトに似た女の子が襲われてるって言われたのよ!銀髪の覆面に抱きつかれてて女の子がクナイ持って応戦してるって」

「な、なんかすげー脚色されてるってば…てか俺別に襲われてはないしサクラちゃん吹っ飛ばすまでしなくっても」


サクラちゃんはさっきカカシ先生が押してた頭の天辺をパタパタと撫でるように払った。
てかなんかサクラちゃんが優しい。いつもならきっと「くだらない術やってないでさっさと任務報告しなさいよ!」とか言ってる。絶対言ってる。
俺は思わず手首に紐を通していた袋を握り込んだ。


「あれ位やっても先生は死なないわよ。現にほら、変わり身じゃない」


吹っ飛ばされた方向を指さしたサクラちゃんに倣ってそっちを見れば、確かに砕けた丸太があった。
え、砕け…た?こわ。


「サクラ、お前もヒドいよ。俺は里のために貢献してるしお前等の先生なのに」

「貢献?なら暗部に戻って仕事してください。オビトとの傷が痛むとかふざけたこと言ってないで。もう完治してますし」

「先生っても下忍時のみだってばよ。実質強くなれたのって、エロ仙人のおかげだしなー。それにカカシ先生が術教えたのだってサスケだけじゃん!俺とサクラちゃんは木登りだけだろー?!」

「そうそう。サスケ君だけ贔屓してたようなもんよね。今となっちゃどうでもいいけど」


ねー、とサクラちゃんと顔を見合わせて頷くと、カカシ先生はデッカい溜息をついてから、俺の背中に一瞬で回り込みのし掛かってきた。御丁寧に肩に腕を乗せて。


「術以外でも…忍の掟も心得も教えてあげたのに…」

「おーもーいー!!はなせってばー!!」

「ちょっとカカシ先生!!」

「それに写輪眼の事もあったからサスケに掛かりっきりだったのは仕方ないよね…俺だってね、ナルト達を見てあげたかった訳よ」

「ならあの時ムッツリスケベに俺のこと渡すなってばよ」


ぐりぐり、と肩にカカシ先生の顎が入る。顎の骨が痛い。ていうかちょっと髪が引っ張られて痛い!
サクラちゃんが見かねてカカシ先生を引っ張り出した。


「あーもー!本当は俺、任務報告しなきゃなんだから離せってば!今回のは指輪だからばあちゃんに直接見せなきゃだし!」

「ほら!ナルトもこう言ってますし!遅くなれば綱手様に迷惑ですし!(ていうかそれを言い訳に執務怠るのよ!)」

「…何でそんなに俺からナルト引き離そうと必死なのかねぇサクラは。今は女の子に変化してるけど中身男なんだから問題ないじゃない」

「それもそれで色々問題あるんです!!もう!駄々こねないでくださいよカカシ先生!」


サクラちゃんがカカシ先生の肩を持って引っ張り、ちょっとだけ俺から離れた瞬間、突然どこからともなく何かが飛んできた。
それは俺の真横を通り、俺の長くなっている髪を数本切ってからカカシ先生とサクラちゃんの足下に刺さった。
その突き刺さったものを見れば、ばちりと電気を纏ったクナイ。
サクラちゃんの顔がさあっと青ざめて、俺とほぼ同時に飛んできた方向を向いた。


「…何をしている、カカシ、サクラ」

「………いや!俺無視すんなってば!!見えてんだろーが!」

「黙れ今はお前じゃない。その格好については後でゆっくり聞いてやる」


電柱の上から瞬身で俺の目の前に現れたそいつは、暗部の服にベージュの外套を羽織ったサスケ。
いや、昼間ってか街中なんだから普通の服着ろってば。お前マジで暗部としての自覚ねえぞ。

サスケはグイっと俺の肩を押してカカシ先生達の前に立った。


「サスケ君、私はカカシ先生の魔の手からナルトを守っただけよ」

「魔の手ってちょっとサクラ?!俺こそ疚しいこと何もないよ!」

「さっきナルトのこと抱き締めてた上に、修行だってサスケ君よりナルトの方が見たかったって言ってましたよね?」

「だいぶ悪意ある感じで縮めたね!修行に関してはサクラだって入ってるからな?!」


サクラちゃんはカカシ先生から離れて、手を横に振りながら少し後退した。
すらり、とサスケが腰の剣を抜いてカカシ先生に向ける。カカシ先生はまたデカい溜息をついた。


「はー。いつからお前はそんなになっちゃったのかね」

「煩い。俺はガキの頃から変わっていない」

「いつからそんなにオープンになったのかなって話だよ。ナルトもだけど。お前がナルトナルトって煩いのは前から知ってるから、ね!」


サスケが問答無用で草薙剣を先生に降り下げた。
先生は飛び退いて近くの家の屋根へ着地し、手をヒラヒラさせて交戦はしないよと伝える。

先生のいたところはヒビが入ってる。先生ってば今日は厄日だな、きっと。


「カカシ先生!俺ってば最近はサスケサスケ言ってないってば!!そこんとこちゃんとしてくれってばよ!」

「あーはいはいそうね。ナルト最近冷たいもんね」


もう俺帰るよ任務あるし面倒くさいし。
言うだけ言って絡むだけ絡んで、カカシ先生は瞬身で逃げた。


「…あ、と。私も医療班に講義があるから行かなきゃ。サスケ君!ナルトのこと泣かせちゃだめよ!」


そしたらいくらサスケ君でもヒビは覚悟しといてね!
サクラちゃんも逃げた。

一瞬で騒々しさがなくなった場には、俺と、剣は仕舞ったけど微妙に影を背負ったサスケだけ。
ゆらり、とサスケが近付く。俺は思わず後退。
まじこいつ綺麗な顔なだけに黙ってると能面みてーでこえー。


「さ、さすけ?」

「…一つ、何故女になっている。一つ、何故簡単にカカシに抱きつかれている。一つ、その袋の中の指輪は誰からのモノだ」

「ちょ、は?なに、おまえ」


ゆらりゆらりと近付きながら無表情で変な質問をしてきたサスケは、がしりと俺の両肩を掴んだ。少し肩が上がって胸がぎゅっと寄る感じがする。
つか何で袋の中身知ってんだってば…ああ写輪眼になってる。ほんと何でもありだってばね。血継限界ってば。


「答えによっては色々と動かなきゃならない。ナルト、お前も覚悟するんだな」


凄まじく真剣な顔だなぁと少しぼんやりする。何か知んねーけど眼だってずっと写輪眼だし。なんなのこいつ。
つーか心底どうでもいい質問な気がする。色々動くってなんだってばよ。
そんなことより掴まれてる両肩が痛い。
どんだけ力入れてんだってば。


「ぃ、たいってば!変化はちょっとした気分転換だし、カカシ先生にのし掛かられてたのは先生が馬鹿みたいに拗ねてたからだし、この指輪は…!」


そこまで言って、ちょっと悪戯心が芽生えた。

何かこいつ必死だし、最近暗部とかで会えなかった分からかってやろう。どんな反応するか気になるし面白そうだってば。

俺は少しだけ口をパクパクさせてから、目を伏せた。少しだけ顔にチャクラを上げるイメージをして、頬を赤くする。写輪眼ならバレるかもって思ったけど、何も言ってこなかった。
ただ肩にある手が強くなり、骨がミシって音がしそうなくらいにはなったけど。

手の中にある袋を少しだけ強く握ってからサスケの目を見てみる。
女になってるせいで、元から少しだけあった身長差が倍になってる気がする。それに若干腹立ったけど、今は無視して出来るだけ上目遣いを心得る。
どうだ、エロ仙人はこの顔で落ちたぞ。


「…こ、の指輪は………貰ったってばよ」


ぱちり。
音が出そうなくらいゆっくりと瞬きを一つした。

サスケの顔は先程の能面から一気に眉間に深い皺が刻まれ、何故か少し口の端が上がってる。何その顔気持ち悪いってばよ。


「…誰にだ」

「えー、と、任務先であった人。名前は知らないってばよ。……想いが届かなくてもいい、是非これだけでも貰ってくれないかーって言われたんだよ。キレーだっから貰っちゃったってば」


にひひ、と笑ってやれば肩から手が離れた。
じんわりと血の通う感じがして、どんだけ強かったんだと舌打ちがしたくなる。

サスケは額を手で支えて肩を震わせてから、俺の首に腕を回して顔を近付けた。そしてにやり。


「なぁ、ナルト。そいつの特徴を教えてくれ。こんなもんくれた礼を言いたい…俺のナルトがどうも世話になったなと」


そこまで言ったサスケに、俺が色々限界だった。
近付いてたのを利用して、そのままサスケの額目掛けて頭突きをかまし、すぐさま顎にアッパーをいれた。よろめいたサスケに追い打ちで腹部に膝蹴りもお見舞いしてやったけど、体格差があって今回は若干股間寄りになったけどまぁ気にしない。
わざとじゃねぇし。


「な、ると…!」

「だーれが誰のもんだってばよ!この大バカヤロー!そう言うとこがウザいから最近サスケの相手したくないんだってばよ!ばーか!」

「…?!」

「じゃ、俺ってばばあちゃんに報告しなきゃなんねぇから行くってばね。またなー」


ひらり、うずくまるサスケをそのままにして、俺は火影邸へゆっくりと向かった。
くるくると指で袋の紐を回しながら。






【今度はお前がおいかけろ!】


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