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ボクが死のうと思ったのはボクがボクであると言う理由だった。
ボクがボクだからという理由のせいでボクは死のうと思って、それを考えたのは七回目の誕生日の時で。
質素な誕生日の中夜叉丸の顔を見ながらなんとなくそう思って、ボクは表情がないらしいから、そんなボクの考えなんて夜叉丸は気付いてなくて、でも死のうって思っても砂が邪魔するし、殺してほしいなんて言ってもやっぱり砂が守ってしまうし、ボクは死のうと思っても死ねなくて、そしたらもうなんでもいいやってなって、ケーキが一つ、お肉が乗ったお皿が一つの誕生日のお祝いの席を投げ捨てるように部屋から逃げて、ブランコに揺られようと思った。
夜叉丸は追いかけてこなかった。
テマリもカンクロウも来なかった。
ボクが嫌いなら二人とも無理してこなくていいのに、なんであんな簡易な誕生日祝いなんかにきたんだろう。父様にでも言われたんだろうなぁ。
キィキィ鳴るブランコの鎖、一月なのに暖かい砂漠。
夜になると砂の上に霜が降りるけど、今は暖かい。
ボクの心は普通。死のうと思っても死ねないことを考えると寒い。
誕生日祝いを質素で簡素だけどしようと思ってくれた夜叉丸達を考えると暖かい。
あれ、あれれ、そう言えば、綾はどこ??
普段から一緒に遊んでくれたりお話ししてくれたりするのに、何で今日は居ないんだろう?
綾、綾、綾、綾、綾はどこ?
ブランコをガチャリと音をさせて立ち上がり、里外れの門まで来てみた。
ここは綾がいつもいるところ。
誰もいない。
歩いて歩いて、やっと見つけた綾の姿。
「綾!」
駆け寄れば真っ白なお花に囲まれていて、綾は赤黒い。その顔はひどく不細工で、凄く凄く怖いものを見たって顔。
「綾」
じいっと見てから、綾の寝てる側へ座り、唇をなぞる。
ざらりと音がして、その唇からは砂の粒が出て来た。
視線を綾の手へやれば、そこには紙が挟まっている。
抜き取って中を開けば、あまり綺麗とは言えない字で、「お誕生日おめでとう我愛羅、お願いは叶った?」と書いてあった。
「ありがとう、ボク、綾に言われたのが一番うれしい。けど、やっぱりお願いはかなわなかったよ」
綾、綾、やっぱり、ボク、死のうと思うけど死ねなかったみたい。
ああ、折角綾が一緒に死のうと言ってくれたのに、ボクだけやっぱり死ねなかったんだ。
【笑える無理心中のあと】
happy birthday to gara!2015
了