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後どれ程叫べばいいんだろう。
後どれ程許しを請えばいいんだろう。
後どれ程祈りを捧げればいいんだろう。
後どれ程経てば、アナタに逢えるんだろう。
***
「あら、今日も生き残っていたのね」
その言葉と共に姿を現したのはこの牢に私を閉じ込めた張本人、大蛇丸。
「…生き残れば、願いを叶えて下さるんですよね」
「…ええ、そうね。ふふ、約束は守るわ」
そう不適に笑った大蛇丸に僅かに不信感が湧くが、知らないふりをして自分の足先を見つめる。
汚い爪。ボロボロの足。
毎日生死を賭けた殺し合いをするのだから当たり前なのだけれど、何れ此処から出た暁には真っ先にお風呂に入ろう。もう水風呂じゃ堪えられない。
「あなた…そこまでして逢いたい人物って誰だったかしら?」
「…貴方も知っていると思います。…砂の我愛羅ですよ」
「ああ…いたわね、彼。…そう。灼遁使いの一族のあなたがそこまで入れ込むのは何故なのでしょうねぇ?」
クスクスと可笑しそうに笑う大蛇丸に、無性に腹が立つ。足首に纏わり付く鎖が重い。
「…貴方には関係ないです」
「ふふ、聞かなくても大体わかるわ…弾かれ者同士って訳ね」
大蛇丸の言葉に、思わず唇を噛む。
砂は過激派なのだ。良い意味でも悪い意味でも。我愛羅は武力向上の器に、そして私達血継限界の一族は武力の中心に立たされある意味では敬われている。しかし強いものはそれなりの扱いになり、一族は畏れられ爪弾きにされ、そうしてジワジワと孤立していく。
「皮肉なものね。里の為にと力では重宝されているくせに実生活では」
「煩い!もう用は無いはずだ!出ていけ!」
「…ふふ、あら、琴線に触れちゃったかしら?でも、あまり殺気立つもんじゃないわよ」
あなたなんか直ぐに殺せちゃうんだから。
笑いながら言った大蛇丸は、目を細めた。途端に頭が真っ白になり力が抜ける。
「あまり生き急がない方が身のためよ」
楽しそうに笑ったまま大蛇丸が部屋を出ていけば、一気に汗が噴き出してガクガクと手が震える。視界が揺れる。
「…は、っふ……」
息が上手く吸えない。
あんな少しの殺気で此処までだなんて、あいつは本当に化け物なのか。
「我愛羅……」
荒くなった息を整えてぎゅっと目を瞑れば簡単に彼の顔が浮かぶ。
逢いたい。生き抜けば、逢わせて貰えるんだ。
生きてさえいれば。
きっと私は生きて帰るから、だから貴方もそれまできっと、無事でいて。お願いだから。
ああ、でもね。つぎが、こわい。あしたが。ちゃんとくるのか。
また、わらってほしいよ。わらって、があら。
あなたのゆめばかりみるの。
【あの日の残像が揺れる】
お題Aコース
了