op
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私はその日、とある海賊に惚れてしまいました。
出逢いはまさに晴天の霹靂。
その日、いつものように小麦粉やら果物やらお肉類やらの仕入れをして帰るときに、私は初めて輩に絡まれた。
私みたいな小娘でも声をかけられるものなのか、と小躍りした内心は、しかしすぐに打ち崩されることとなる。
「姉ちゃん重そうな荷物じゃねェか」
「持ってやろうかァ?」
「…結構です」
私的にはなるべく穏やかに断ったつもりだった、のに。
見た目的にも頭の悪そうな輩共は気に食わなかったらしく、かなりの怒声をあげられた。
やっぱり道行く女に声をかける人間なんかろくな奴がいない。
さっき喜んだ自分はぶん殴った。
「人の親切は有り難く受け取れや!」
「殺しゃしねェよ、テメェの穴貸すだけでいいんだって!」
馬鹿かこいつら。何が穴だ。死んでくれ、頼むから。
初めっからヤる目的な輩共にドン引きしつつ、ゆっくり距離を取ってみたがそれはすぐに気付かれてしまった。いきなり回り込まれ、手に持った荷物は地面に落ちる。
ああ、私の食材達が。こんなことなら海見て帰ろうとか思わなきゃ良かった。
数分前の自分を殴りたい。
そんなことを考えている間も着実に汚い手は私の体をはいずり回って、力強く引っ張られてヨレヨレになった服は、防具としては全く意味を成していない。
「…ちょ、…まって、いや!だれかっ!」
「うるせェ!助けなんか呼んでも誰も来やしねェよ!」
「やめっ…!!誰かっ!助けて!!」
「黙れって!!暴れんな!」
下着に手をかけられ、両手を拘束される。
処女じゃないから良いとか、そういう問題じゃない。
強姦とか、最低だ。獣のすること変わらない。豚野郎よ。
あ、いやだ。いやだいやだいやだ。
恐怖と嫌悪で涙がボロボロ流れ落ちる。
なにも現実を見たくなくて瞼を強く瞑った。すると視界から男どもがいなくなり、私の世界は真っ暗になる。現実逃避でしかないこの行動も、私の心を保つには大事なことで。
そんな小さな抵抗もつかの間、突然私を抑えつけていた手首の拘束が弱まった。
次いで輩共の呻き声。
恐る恐る瞼を開ければ、そこには存外整った顔の青年がいた。
「大丈夫か?」
「ふ、」
「なんか、お前泣いてたからあいつら殴っといたぞ」
嫌だったんだろ?と笑顔で手を差し伸ばされ、起き上がらされる。
前には、延びた二人の輩共。何をされたのかわからないが泡まで吹いている。
「あ、ありが、とう、ございます」
お礼を言って、未だ繋がれたままの手を辿り、目線を上げれば眩しい笑顔。麦藁帽子がよく似合っている。
あれ、見たことあるよ。
この人。なにかで。
「にしし、おう!怪我とかねェか?あ、これ落ちてた。お前のだろ?」
「…ありがと、ございます」
ほい、と手渡された紙袋は私の食材達で、それからふと考える。
「あの、良かったら、私の店来ませんか?!パイ専門店なんです!お礼…したくて!」
「パイ?!行くぞ!!行こう!あ、お前なんてェんだ?」
ギュッと手を握り締められ、引っ張りながら尋ねられた。
「あ、私、アンナっていいます!」
「そっか!俺、ルフィ!!」
にしし、と眩しい笑顔で自己紹介された。
ていうかそうだ、やっぱり。
懸賞金三億ベリーの。
「海、賊」
ああ、でも。
その笑顔に、ヤラレタ。
【高鳴る心音が煩い】
お題Aコース
了
1/13ページ