女の子と大人達(nrt) 凍
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*本編関係なし。少し成長したif。
少し伸びた髪を右耳の上でハーフサイドテールに括り、その髪先を揺らしながら、瑚咲は飛び跳ねるように簡素な廊下を歩く。
訳の分からない鼻歌を歌いながら、一際大きな扉の前にぴたりと止まり、ジャンプをして取っ手に手を掛け、押し開いた。
「がーらー!あそびにー」
「瑚咲!!良いところにきた!!」
扉を開けながら言った瑚咲の声は、焦った表情のテマリにより途中で遮られた。
それに何も思わず、瑚咲はへらりと笑う。
「あ、テマリちゃんおは、あっわあ!!」
笑って挨拶をしようとした瑚咲の手を、ぐいっと引っ張ったテマリ。
それによって瑚咲の言葉は再び遮られることとなった。
***
「…がーら…??」
瑚咲が連れてこられたのは、隠し扉の奥のこぢんまりとした部屋。丸いカーペットと小さな丸いテーブルがあり、ソファーが二つ置いてあるだけの簡素な部屋だ。
そしてそこにいたのは、瑚咲と同じくらいの身長の、少し肩を上がらせてどことなく自信なさげな表情の小さな男の子、五代目風影の我愛羅だった。
瑚咲が呼びかけたことにより、我愛羅は小さく小さく頷く。
「そうだ…昔のな…原因が解らなくて困ってるんだ。今木ノ葉に医療忍者や薬のスペシャリストを要請したんだが…」
テマリは深い溜息をついて額に手を当てる。
瑚咲はこてりと首を傾げて、テマリを見上げた。
「よーせい?んんー?がーら、へんげじゃないのー?」
「変化でも幻術でもない。私が近付くと固まって動かないし、カンクロウなんか泣かれるんだ」
私らじゃどうしようもない、とテマリは瑚咲の頭へ手を置き、しゃがんで瑚咲の目をのぞき込む。
「木ノ葉の忍が来るまで相手をしてやってくれないか」
「うん!」
華やぐように笑って頷いた瑚咲は、小走りで我愛羅の前へ行き、顔を少し伏せた我愛羅をのぞき込む。
「がーら、瑚咲とおんなじくらいなのねー、かわいいねぇ」
へにゃり、笑うと、我愛羅は伏せていた目を上げ、瑚咲と視線を絡ませた。
「!、き、みは、ボクのこと、こわがらないの…?」
「えー?なんでー?がーら、やさしいのにー」
「っ、ホントに、そうおもう?」
瑚咲は、我愛羅の頭を撫でて笑った。
「うん、だって瑚咲、がーらすきだもんねぇ」
撫でられた我愛羅は、目を丸くしてから、すぐにぶわりと目尻に涙が滲んだ。
「ん?」
瑚咲が我愛羅の頭を撫でていると、ぴたりと止まり、小さな手で我愛羅の前髪をかき分けた。
何かを探しているかのような仕草に、我愛羅も、側で大人しく見ていたテマリも不審に思う。
「瑚咲、どうかしたか?」
テマリが声を掛けると、瑚咲が右手でぐりっと額を押した。
小さく我愛羅が揺れる。
「がーらアイないー。なんでー?」
「アイ…?」
瑚咲の言葉に、我愛羅は首を傾げ、テマリはああと声を出す。
「まだ、我愛羅は…その時、その」
もごもごと口を閉じるテマリを見てから、瑚咲は我愛羅の髪から手を離し、自身の蝦蟇口鞄を漁った。
「んー…ちょっと、あった!」
暫く漁っていた手は止まり、中から紫のペンを取り出した。そしてキュポッと軽い音をさせて蓋を取り、そのまま我愛羅に近づけた。
我愛羅は何を抵抗するでもなく、じっと瑚咲のやることを見ている。
「こーう、でしょ」
「ばっ、瑚咲!!な、なっ、何してんだ!!?」
テマリが声を出して瑚咲たちに近付いたが遅く、瑚咲は我愛羅から手を離した。
「じゃじゃーん!がーら!!」
にぱぁっと花が咲くような笑顔を見せた瑚咲に、テマリは頭を抱えたくなった。
「なに?なにを、かいたの?」
我愛羅が自分の左側の額をゆるゆると触る。
そこには、濃い紫色で「あい」と歪な平仮名で描いてあった。
「がーらのアイ!がーらにはアイがあるのよー。よーし、がーら、ブランコいこー!」
「う、うん!」
いつでも突拍子な瑚咲は、蝦蟇口鞄にペンを仕舞い、呼び止めるテマリの声も無視して、駆け出した。
そんな瑚咲の手を、衝動的に我愛羅はぎゅっと握った。
びくっと瑚咲が揺れて止まる。
「!、…うへへへ」
しかしそれは直ぐに変わり、へらりとした瑚咲に、我愛羅は首を傾けた。
「…瑚咲、ちゃん?なんで、わらってるの?」
「なーんでもなーい!」
へへへっと幸せそうに笑ったままの瑚咲は、自分から我愛羅の柔らかい手を握り直し、再び勢いよく駆けだした。
公園に着くと、貸し切り状態であり、二人は並んでブランコに乗る。
ギィ、キィ、と錆た高い音を出して揺れるブランコを漕ぎながら、瑚咲は我愛羅を見る。
立ち漕ぎをしている瑚咲とは違い、地面に足をついてゆらりゆらりと漕ぐ我愛羅に、瑚咲は一旦漕ぐのを止めた。
「がーらー」
「…うん?」
ブランコから、がしゃりと音を立てて瑚咲が飛び降りた。
我愛羅の目の前へ立ち、腰に手を当てて我愛羅を見下ろした。ぽかり、と我愛羅は口を半開きにして瑚咲を見上げる。
「がーら、たんじょう日、おめでとう!」
ふんっと鼻息荒くして言い切った瑚咲。
少しだけ風が吹いて、瑚咲の髪と我愛羅の髪を揺らし、下手くそなアイがふわりと見える。
そして瑚咲は腰から手を外し、未だ見上げてくる我愛羅の額を手のひらで押しつけるように撫でた。
「ほんとうはねぇ、よるまでいっちゃダメなのよーっていわれてたんだけどねぇ、いっちゃったー!」
にしし、と笑う瑚咲に、やっと我愛羅も反応して、笑った。
「あ、あっありがとう!!瑚咲ちゃん、ボクうれしい!!」
顔を真っ赤にしながら、勢い良く、珍しく大きな声で言った我愛羅に、瑚咲も少しだけ顔を赤くした。
そして一瞬の間のあと、2人で小さく吹き出し、小さな公園の中には、快活な子供の笑い声が響いた。
(よるにはもどるかなー?)
(よる?)
(よる!みんなでがーらのたんじょう日パーティーするのよー?)
happy birthday to Gara!!! 2014,19/1
少し伸びた髪を右耳の上でハーフサイドテールに括り、その髪先を揺らしながら、瑚咲は飛び跳ねるように簡素な廊下を歩く。
訳の分からない鼻歌を歌いながら、一際大きな扉の前にぴたりと止まり、ジャンプをして取っ手に手を掛け、押し開いた。
「がーらー!あそびにー」
「瑚咲!!良いところにきた!!」
扉を開けながら言った瑚咲の声は、焦った表情のテマリにより途中で遮られた。
それに何も思わず、瑚咲はへらりと笑う。
「あ、テマリちゃんおは、あっわあ!!」
笑って挨拶をしようとした瑚咲の手を、ぐいっと引っ張ったテマリ。
それによって瑚咲の言葉は再び遮られることとなった。
***
「…がーら…??」
瑚咲が連れてこられたのは、隠し扉の奥のこぢんまりとした部屋。丸いカーペットと小さな丸いテーブルがあり、ソファーが二つ置いてあるだけの簡素な部屋だ。
そしてそこにいたのは、瑚咲と同じくらいの身長の、少し肩を上がらせてどことなく自信なさげな表情の小さな男の子、五代目風影の我愛羅だった。
瑚咲が呼びかけたことにより、我愛羅は小さく小さく頷く。
「そうだ…昔のな…原因が解らなくて困ってるんだ。今木ノ葉に医療忍者や薬のスペシャリストを要請したんだが…」
テマリは深い溜息をついて額に手を当てる。
瑚咲はこてりと首を傾げて、テマリを見上げた。
「よーせい?んんー?がーら、へんげじゃないのー?」
「変化でも幻術でもない。私が近付くと固まって動かないし、カンクロウなんか泣かれるんだ」
私らじゃどうしようもない、とテマリは瑚咲の頭へ手を置き、しゃがんで瑚咲の目をのぞき込む。
「木ノ葉の忍が来るまで相手をしてやってくれないか」
「うん!」
華やぐように笑って頷いた瑚咲は、小走りで我愛羅の前へ行き、顔を少し伏せた我愛羅をのぞき込む。
「がーら、瑚咲とおんなじくらいなのねー、かわいいねぇ」
へにゃり、笑うと、我愛羅は伏せていた目を上げ、瑚咲と視線を絡ませた。
「!、き、みは、ボクのこと、こわがらないの…?」
「えー?なんでー?がーら、やさしいのにー」
「っ、ホントに、そうおもう?」
瑚咲は、我愛羅の頭を撫でて笑った。
「うん、だって瑚咲、がーらすきだもんねぇ」
撫でられた我愛羅は、目を丸くしてから、すぐにぶわりと目尻に涙が滲んだ。
「ん?」
瑚咲が我愛羅の頭を撫でていると、ぴたりと止まり、小さな手で我愛羅の前髪をかき分けた。
何かを探しているかのような仕草に、我愛羅も、側で大人しく見ていたテマリも不審に思う。
「瑚咲、どうかしたか?」
テマリが声を掛けると、瑚咲が右手でぐりっと額を押した。
小さく我愛羅が揺れる。
「がーらアイないー。なんでー?」
「アイ…?」
瑚咲の言葉に、我愛羅は首を傾げ、テマリはああと声を出す。
「まだ、我愛羅は…その時、その」
もごもごと口を閉じるテマリを見てから、瑚咲は我愛羅の髪から手を離し、自身の蝦蟇口鞄を漁った。
「んー…ちょっと、あった!」
暫く漁っていた手は止まり、中から紫のペンを取り出した。そしてキュポッと軽い音をさせて蓋を取り、そのまま我愛羅に近づけた。
我愛羅は何を抵抗するでもなく、じっと瑚咲のやることを見ている。
「こーう、でしょ」
「ばっ、瑚咲!!な、なっ、何してんだ!!?」
テマリが声を出して瑚咲たちに近付いたが遅く、瑚咲は我愛羅から手を離した。
「じゃじゃーん!がーら!!」
にぱぁっと花が咲くような笑顔を見せた瑚咲に、テマリは頭を抱えたくなった。
「なに?なにを、かいたの?」
我愛羅が自分の左側の額をゆるゆると触る。
そこには、濃い紫色で「あい」と歪な平仮名で描いてあった。
「がーらのアイ!がーらにはアイがあるのよー。よーし、がーら、ブランコいこー!」
「う、うん!」
いつでも突拍子な瑚咲は、蝦蟇口鞄にペンを仕舞い、呼び止めるテマリの声も無視して、駆け出した。
そんな瑚咲の手を、衝動的に我愛羅はぎゅっと握った。
びくっと瑚咲が揺れて止まる。
「!、…うへへへ」
しかしそれは直ぐに変わり、へらりとした瑚咲に、我愛羅は首を傾けた。
「…瑚咲、ちゃん?なんで、わらってるの?」
「なーんでもなーい!」
へへへっと幸せそうに笑ったままの瑚咲は、自分から我愛羅の柔らかい手を握り直し、再び勢いよく駆けだした。
公園に着くと、貸し切り状態であり、二人は並んでブランコに乗る。
ギィ、キィ、と錆た高い音を出して揺れるブランコを漕ぎながら、瑚咲は我愛羅を見る。
立ち漕ぎをしている瑚咲とは違い、地面に足をついてゆらりゆらりと漕ぐ我愛羅に、瑚咲は一旦漕ぐのを止めた。
「がーらー」
「…うん?」
ブランコから、がしゃりと音を立てて瑚咲が飛び降りた。
我愛羅の目の前へ立ち、腰に手を当てて我愛羅を見下ろした。ぽかり、と我愛羅は口を半開きにして瑚咲を見上げる。
「がーら、たんじょう日、おめでとう!」
ふんっと鼻息荒くして言い切った瑚咲。
少しだけ風が吹いて、瑚咲の髪と我愛羅の髪を揺らし、下手くそなアイがふわりと見える。
そして瑚咲は腰から手を外し、未だ見上げてくる我愛羅の額を手のひらで押しつけるように撫でた。
「ほんとうはねぇ、よるまでいっちゃダメなのよーっていわれてたんだけどねぇ、いっちゃったー!」
にしし、と笑う瑚咲に、やっと我愛羅も反応して、笑った。
「あ、あっありがとう!!瑚咲ちゃん、ボクうれしい!!」
顔を真っ赤にしながら、勢い良く、珍しく大きな声で言った我愛羅に、瑚咲も少しだけ顔を赤くした。
そして一瞬の間のあと、2人で小さく吹き出し、小さな公園の中には、快活な子供の笑い声が響いた。
(よるにはもどるかなー?)
(よる?)
(よる!みんなでがーらのたんじょう日パーティーするのよー?)
happy birthday to Gara!!! 2014,19/1