女の子と大人達(nrt) 凍

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あさから、瑚咲はおべんきょうだ。
きょうは、かん字じゃなくて、にんじゃとしてのおべんきょう。

かりんちゃんが、つくえの上に、いっぱいのお花と草をおいてくれた。これを、やく草とどく草にわけるんだって。白いお花やきいろいお花、ピンクとか、はっぱだけのもある。いろがいっぱいで、すごくきれい。
かりんちゃんがならべおわったら、こほんっとせきをした。瑚咲も、ピシッてせなかをのばしてイスにすわりなおした。


「よし、じゃあとりあえず、瑚咲が好きなものを指さしてみろ」

「んー、これ!」


ぴってさしたのは、大きなふわふわっとしたとってもきれいでかわいいお花。うすーいピンクいろ。
かりんちゃんは、うすいゴムの手ぶくろをした手で、そのお花をもった。そしてそれを、左においた。


「これは芍薬。薬草として使える。根が鎮痛、抗菌作用、飲み薬として止血作用もある」

「へーえ、すごいねぇしゃくやくー。じゃあこれは?」


つぎは、小さくってかわいい、むらさきいろのお花。それも左におかれた。


「これは菫。薬草だ。干乾したものは解毒、抗炎症作用だ。生の葉はすり潰して布に伸ばして患部…傷口に貼れば、膿が出てくる」

「うみってなにー?」

「炎症の………要するに、体の悪い物の塊だ。化膿…傷が酷くならないから、とりあえず傷薬がなければ菫の葉を使えばいい」

「はーい」


すみれは、すごくいっぱいのことにつかえるってことだ。かわいくて小さいお花なのにすごーいねぇ。


「かりんちゃん、これはー?」


ピンクのほそながいお花がいっぱいくっついたやつをゆびさした。
かりんちゃんはそのお花を右においた。


「これは毒草のジギタリス。花にも茎にも葉にも根にも毒があるが、特に葉が一番強いな。飲めば、頭痛、下痢、吐き気から視覚異常に、中枢神経麻痺、心臓麻痺と摂取する量によって変わってくる。忍びとしては必ず押さえておく花だな」

「んー、しんじゃうってことなのー?」

「そうだ。ああ、そうだ、この似た形の花があるだろ、暗い紫色の。これはハシリドコロって言うんだけど、触った手で目をこすると失明…見えなくなるかもしれないから気をつけな」


かりんちゃんはハシリドコロも右へおいた。


「さわるとだめなのー?たべるとしんじゃう?」

「死にはしないが、幻覚や喚きながら走り回ったりする。チャクラを使わない幻術みたいなもんだな」

「へーえ、すごーい!」


かりんちゃんは、あとのお花や草も左と右にぽいぽいわけてった。瑚咲がすきな、すずらんのお花もどく草だった。しかもしんじゃうって。ちょっとだけ、すずらんがこわくなった。

つぎは、かみに、Aってかかれた人がいて、その人をたおすのはどうしたらいいかってもんだいだった。

つかえるものは、手りけん10まいと、クナイ5本、にんじゅつはふうとんとかとん、かわりみがいっかいだけ。夕がたの林の中だって。
かりんちゃんは瑚咲にえんぴつをわたして「好きなように考えろ」っていった。

うーん、っていろんなことをかんがえてたら、とつぜんかたがズシッておもくなった。びっくりして左かたを見たら、水ちゃん!


「水ちゃんだー!」

「やあ瑚咲。お勉強?香燐、キミにそんなの教えられるの?精々拳の打ち方くらいでしょ?」


やれやれって水ちゃんがかたを上げて、瑚咲からはなれた。
かりんちゃんはつくえをぴょいってこえて、水ちゃんのおようふくをガシってつかんだ。

きょうは水ちゃん、ちゃんとおようふくをきてる。はじめてあったときはなんでこしにぬのだけだったのかなー。


「んだとテメェゴルァ!!口挟むな!ウチだって忍びの端くれなんだから体術以外も出来るし!!」

「自分で端くれって言っちゃってるじゃん!」

「黙れ!!」


かりんちゃんにつかまれながらアッハハハって、わらった水ちゃんが、かりんちゃんにずつきをされた。
でもすぐに水ちゃんのあたまはパシャってお水になった。


「ぁぁああー!!腹立つ!水月てめぇすげえ腹立つぅ!!」

「アッハッハッハッー、ぜーんぜん痛くないしねー。香燐が疲れるだけだよ馬鹿じゃない」


とうとう、かりんちゃんは水ちゃんにまたがって、水ちゃんのおかおばかりなぐりはじめた。けどぜんぶお水になるからパシャパシャってあそんでるみたい。

そんなことより、瑚咲はこのおべんきょうなんとかしなきゃいけないのよー。むずかしいなぁー。きらいだなー。

えんぴつで、Aにんじゃさんのまわりにお花をいっぱいかいて、上の木のえだにクナイをくくっておいた。お空には手りけんをぜーんぶかいた。おーほーしーさまー。キラキラさせとく。
Aにんじゃさんはお花でいっぱいだからかわいいねえ。

ぽいってえんぴつをおいて、かみをもってイスからおりた。まだなぐりつづけてたかりんちゃんを、ちょっと大きいこえでよんで、見せる。
かりんちゃんは、はーはーっていってて、くいってめがねのまん中を上げた。かりんちゃんが立ち上がって、かみをちゃんと見る。
瑚咲はちょっとドキドキしてきた。そしたら下から「どいてどいて、瑚咲踏んでるからね」ってこえがしたから、見たら瑚咲の足の下にお水があった。
あ、これ水ちゃんだ。


「わー、ごめんねぇ、いたい?」


あわててちょっとだけ、左にずれた。
水ちゃんはもとの人のかたちにもどって、くびをよこにふって、ポキポキならした。


「痛くないよ。あーもー、香燐は加減を知らないから困るよ、本当」

「あのね、かりんちゃんあんまりおこらせたらだめなのよー?…こわいから」


ぽしょり、といったら、水ちゃんはブハってわらった。そしたらかりんちゃんが大きなこえで瑚咲をよんだ。
ひって、からだがびっくりする。


「な、なにー?」

「なんだこれ!ちゃんと考えろ!手裏剣は星じゃないし花なんて使っていいなんて言わなかっただろ!?」

「ええー、だってわかんないもん!もーやらないー!」


瑚咲はまだわらってる水ちゃんのうしろにかくれた。かりんちゃんがかみをグシャッてした。

や、やられる!つぎは瑚咲のばんだ!ぜったいぜったい、ぜったいそう!!


「す、水ちゃんができたら、瑚咲もちゃんとやる!!」


ぴかーんって、かりんちゃんのめがねがひかった。


「……水月、先に解け」

「はー?!なんでボクが!」

「やれ!!」


かりんちゃんにどなられて、水ちゃんがブツブツいいながら、さっき瑚咲がすわってたイスのとなりにすわって、かりんちゃんからかみをもらった。
瑚咲もとなりにすわってみた。

ちょっとしてから、水ちゃんのさけびごえがひびいた。




(なんでこれ位わかんないんだ!)
(だって任務なんて出たらとりあえず皆殺しの方向でいいじゃん!そもそもボクは水になれるから諜報潜入向きだし!)
(ちょーほーせんにゅー?みなごろし?)
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