キバ(nrt) 2013/10了
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「で、どこ行くの?」
「決めてねぇ」
「…はぁ?」
薄く薄くメイクして、可愛い服を選んで、髪も可愛くアップにして、歩くからなるべくスポーティーに。やんわりと、でもしっかりとキメて出て来た家の外。
頭痛なんてどこ吹く風だ。嘘、やっぱりすこし痛いというか、重い。言わないけど。言ったら絶対に帰れって言われるし。
キバは頭の上の赤丸に、どこに行くかを相談している。
それを見ていた私の頭にあることが過ぎる。
「ね、ねぇキバ、赤丸」
「あ?」
「私あそこ行ってみたい!演習場!いのちゃんから聞いたんだけど、下忍さんがよく練習…じゃないね、ええっと、修行?だっけ、してるんでしょ?」
突然の提案に二人は固まったかと思えば、次第にキバの顔が歪んでいく。
「なんで」
「え、」
「わざわざ演習場なんだよ、丸太と池と林しかねーぞ」
「…行ったことないんだもん。一般人は一人で入っちゃいけないって言われてるし」
予想外に鋭い声のキバに、だめかなぁ、となんだか泣きそうになりながらいえば、キバは頭をガリガリ掻いた後、私を見て頷いた。
それに一気に気分があがり、破顔する。
「わーい!やった!ついでにアカデミーも見ていい?」
「あー…いんじゃね?イルカ先生なら見学くらいさせてくれんだろ」
「わぁ!楽しみー!行こうキバ!」
テンションがあがりきった私に、イマイチ乗り切れてないキバ、そのキバの頭で尻尾を振る赤丸。
三者三様の私達はゆっくり歩き出した。
***
他愛もない話をしながら暫く歩いていたら、突然キバの歩みが止まった。
どうしたのだろう、と不思議そうにキバを見れば、とても怖い顔。
「ちっ、めんどーな奴らがいやがる」
私に向けられたわけではないその言葉に、少しほっとする。
キバが鼻をひくひくさせているため、遠くにいるのだろう。
キバ、と言うか犬塚一族は元来嗅覚が異常発達しているらしい。
上忍にもなればチャクラってモノを鼻に集めれば犬並の嗅覚を持てる様になるらしいけど、チャクラを一転集中させるのは難しいし、そもそも臭いで追尾したいならば忍犬がいるからあまり使わないという。あれば便利なのは確実らしいが。…と言うのが前アンコさんに教えてもらった犬塚一族の特殊性。
だが、忍世界は他にもよくわからない常識で溢れている。
例えば、日向一族の様な血継限界や、キバ達のように少数一族の特殊性、一族ならではの秘伝忍術や、チャクラを使っての桁外れな異常発達、肉体をも傷付けて強固になる体術、はたまた里の禁忌として謂れている器の話など、ネタに尽きないほど富んでいる。
その殆どが私たち民間人には良くわからないものばかりだ。
なんとなく知っている、なんとなくタブーだ、というレベル。
歴史の授業で一応火の国の成り立ちなどは勉強するが、それもさらっと終わる。
「不思議だよねぇ、本当…で、めんどーな奴って?」
「あ?これはシカマル達じゃね」
「え、面倒って…キバ、奈良君と友達なんじゃないの」
「…友達ィ?同期の仲ってだけだろ」
ふん、と鼻を鳴らして不機嫌そうに言ったキバに、匂いと気配の主達が何時の間にかに目の前に来ていて、声を上げた。
「おいおい…言ってくれんじゃねーかキバ」
「アタシはともかくー、あんたらは悪ガキ四人組だったんじゃないのー?」
「僕お菓子食べてただけだよ、キバとナルトは率先して悪戯してたけど」
「あ、いのちゃんだ」
キバが奈良君達って言ったからもしかしてと思ったけど、まさか本当にいるとは思わなかった。
仲がいいんだなぁ。
「のぞみちゃん久しぶり!デー……どっか行くのー?」
思わず言いかけたいのちゃんは、少し考える素振りを見せてから言い直してくれた。
うん、そういう単語言って拒絶されたら悲しすぎる。いのちゃんの機転の良さに感謝だ。
「うん、演習場!とアカデミーにね」
「…はぁ?なんでんなとこ…なんか用事でもあんのか?」
「のぞみちゃん、ちょっと…チョイスがねー…」
奈良くんといのちゃんは、あからさまに呆れた顔をしている。秋道君だけは赤丸と無言の睨み合いっこを続けているけど。
「だって、一般人の私は行ったことないから。キバ達が通ってたとこも見てみたいし」
「まぁ、それはそうなんだけどー…でも折角出掛けんのに」
「あー!うっせーな。どうでもいいだろーがよ!とっととどっか行けよ!」
「ちょっと何よそれー!」
ブツブツ呟くいのちゃんに、ずっと黙っていたキバが怒鳴ると、負けじといのちゃんも熱り立った。
喧嘩っ早いなこの二人。性格が似ているから反発しあうのだろうか。
「ま、まぁまぁ…奈良君達こそ、なんで一緒なの?」
私の言葉に一瞬空気が固まったが、直ぐに溶けて奈良くんが頭を掻いた。
「めんどくせーな、知らなかったのかよ?」
「僕達同じ班なんだ」
班、というと、キバがヒナタちゃんや油女君と一緒にいるやつだ。基本は三人で任務するって言っていた。
「ああ、そうなんだ。あ、じゃあ今から仕事…任務?」
「ううん、もう終わった後だよ」
「でー、今から甘栗甘行こーって言ってたのよー」
いのちゃんの口から飛び出した単語。
甘栗甘、それは木の葉随一とも言える魅惑の甘味所。甘いもの鋤の人々が必ず訪れる甘味の関所でもある。
因みに、私のバイト先も甘味は扱っているが、メインはランチとディナーセットのご飯ものだからあまりライバル店、という存在ではない。
「へー!甘栗甘いいね!後で行こうキバ!」
「…金持ってねーぞ」
「自分の分くらいあるでしょ?アカデミー行った後行こうよ」
あからさまに嫌な顔をしたキバへ、めげずに催促すれば、渋々頷いてくれた。
何故かいのちゃんは頭を振って溜め息をついていたけど。