キバ(nrt) 2013/10了
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お疲れ様でしたー」
カランカラン、とベルを鳴らして店を出た。
もう辺りはだいぶ暗い。
月が出て夜道を照らし、周りの店からは煌々と明かりが漏れている。
結局キバはいなかった。
因みに言うと、後で来た先生達、キバの班はそりゃもう美人な女性の方で変に緊張してしまった。
ああ、キバの目が肥えていく。私泣く。
「んー、」
それにしても、と、夜空へ向かって体を伸ばす。
いのちゃんは鋭かった。あんな少しの顔の変化で見抜くだなんて流石というべきか。ついでに家も教えてもらった。
一日でかなり仲が深まったんじゃないか。
「ついに私も同年代のくの一の友達ができたかー」
独り言をぼそりと呟いて歩きつつあと少しで家の近くの公園へ差し掛かるその時、公園の前の通りから人が歩いて来るのが見えた。
月明かりだけだからか、妙に緊張する。
まあ、この平和な里で変な輩には中々遭遇しないのだけど。
ざり、ざり。
お互い、後数歩で通り過ぎると言うところで、向こうが声を上げた。
「あれ」
声をかけられるとは思っていなかった私は異様に驚き、思わず肩が飛び上がってしまった。
恥ずかしさや不安のなか急いで相手の顔を見ると、向日葵のような笑顔を向けられる。
「あー…アンコさんだ」
「やっだ、のぞみじゃん!なにやってんのこんなとこでー!」
相変わらずいつも飲んでるようなテンションの人だな、と思いながらも久し振りです、と頭を下げる。
アンコさんは、店の常連さんだ。
私の顔と名前を覚えられ、ノリで仲良くなった人。
忍なのはわかるが、階級はイマイチわからない。そもそもそんな話もしないから当たり前なのだけど。
「バイト帰りですよー、アンコさんこそなにやってんですか」
「アタシ今から飲み会!昨日やっと木の葉に帰って来たからさぁ、明日休暇もらったんだよね」
「へー、いーな。どこ行ってたんですか?」
「砂。あー風の国ね、わかる?」
風の国は行ったことはないけど、地理の授業でやったからわかる。
あと歴史の授業でも、外交問題とか様々なところで名前が挙がっていた。
「わかりますよー!砂隠れですかー…お疲れ様です。あ、すみません長引かせて」
「いいわよ、私こそ引き留めてごめんね!じゃ、遅いし気をつけなさいよー」
最近なんだか物騒だから、と不穏な言葉を残してヒラヒラと手を振り、既に若干酔ってる風なアンコさんは繁華街に消えて行った。
「…え、物騒ってなに…?えっ??忍の世界って殆ど毎日物騒なんじゃないの」
私の何度目かの独り言は、月明かりに照らされた道に消えていった。