男子誕生日で花言葉(アカセカ) 2017/07了
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道長様、かの有名な道長様。
貴方をお慕いしております。
貴方の大勢の女御の内の一人にでもなれればと、遠い地よりこの藤原領の花宮に仕官して参りましたが、貴方様にお目見えできましたのはたった一度、鈴藤祭の前霊祭の時。
その時は御簾の向こうに太陽の巫女様もいらっしゃり、なんとも厳かな空気でした。
いつも貴方様のお噂しか聞こえぬこの花宮で、貴方様の影でも見れれば幸せで、太陽の巫女様へ玉串を御運びさせて頂いた折には、この御簾の向こうに貴方様がいらっしゃるのだと思っただけでもう私は此処へ仕官した甲斐があったものだと思いました。
だというのに、もうこれ以上の幸せはないでしょう。
影を見るのも恋い焦がれていた私は今、その影の持ち主である本物の道長様の御手に触れ、そうしてその整った御顔が私へ向き、綺麗な翡翠の目が私を射抜いている。
嗚呼、どうすればいいの。
こんなの、見つめられるだなんてこんなの。
「お…御放し下さいませ…私は端女、道長様の綺麗な眼に触れてはいけぬ汚れた者で御座いますれば」
袖で顔を必死に隠し、道長様の手から逃れようとすれば、道長様がぐい、と私の腕を強く引いた。
「あかんよ。俺から逃げようとすんのは。それになあ…俺の花宮で働いてる子に汚れた子なんておらへんよ。あんたは綺麗や」
「っ…」
道長様に手を引かれ、思わず袖が顔から逸れた。
私の視界に、いつも恋い焦がれて見ていた道長様の御顔が、大きく映る。
「ああ、ほら。めっちゃ綺麗やなあ…いっつも見てたんやで?あんたの事…知らんかったやろ?」
そう呟いて、人好きする笑顔でにんまりと笑った道長様は、そのまま私の頬に手を添えた。
【貴方だけを見つめるのは崇拝ではなくて愛慕だったのだと知った日】