キバ(nrt) 2013/10了
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
とうとう当日だ。
会場近くはお祭り騒ぎで、様々な屋台がでている。
私とイトは屋台に目もくれず、開場と同時に駆け込んだ。
席は中腹辺り、正面上部には火影様が座る場所が見える。
いいところに席を取れたと満足げに笑いながら席に落ち着いて、渡された試合表を眺めているとイトが立ち上がった。
見ると忙しなく視線を動かして周りを見た後、「ちょっと行ってくる。ついでに犬塚見つけてくる」と言って荷物を置いてさっさと歩いていった。
声をかける暇もなく、走り去るイトの背中を眺めてから、諦めてもう一度試合表を見直す。
いのの言ったとおり、本当だ。
間違いなく“奈良 シカマル”と“うずまき ナルト”の文字が入っている。
油女君やうちは君もあったが、彼らは何となく本戦に行くのは解る気がした。
寡黙な人は見た目というかオーラみたいなものが強そうな雰囲気を出していると思う。それで弱かったら残念というか拍子抜けすぎるけれど。
“我愛羅”というのも字面からして強そうだ。
しかしどこかで聞いた名前だなぁ。バイト先で小耳に挟んだのかな。
私の注目は今回紅一点、奈良君のお相手でもある“テマリ”さんだ。
女性で此処まで上り詰めるだなんて格好良すぎる。きっと素敵な人に違いない。
あと、あの赤い髪のお客さんも気になっている。
名前をきちんと聞いておけばよかった。
確か連れの人が名前を呼んでいたと思うのだが、なかなか思い出せない。
しかしどれも見たい試合ばかりで、いつどのタイミングでキバのところへ言って告白しようかと頭を捻る。
それにしてもイトはどこまで探しに行っているんだろう、遅い気がする。
紙から目を離し、だいぶ埋まってきた席を見渡す。
ふと、視界に見知った顔が飛び込んできた。
私が、あ、と思っている間にその人も同じように口を開き、ついで隣のいのに声をかけた。
気付いたいのは、すぐに私の元へ駆けつける。
「のぞみ!」
「いの、おはよ。サクラちゃん、いいの?」
少し奥で、サクラちゃんが席を二つ取って何かの紙を覗いていた。
きっと組み合わせ表だろう。
「サスケ君がどうのとか、ナルトがどうのとか、唸ってて私の話半分だからいーのよー。それより、のぞみ…」
サクラちゃんの話をあっけらかんと言ったと思えば、いのは途端に声を顰めた。
私の肩へ腕を回し、耳元へ口を近付けて小声で話しかけてくる。少しくすぐったい。
「いつ、よ。もうあったの?言ったの?」
「やだなー今来たばかりじゃん。まだだよ。今イトが探しに行ったの」
「…イトちゃん?のぞみの隣にいる、髪の短い子よね?あの子なら出口付近で知らない男と話してたわよー?」
顔を離して、んん?と首を捻ったいの。
いのから知らされた内容に、私は思わず額を支える。
イトの奴、彼氏だ、彼氏と仲良くお喋りしててきっと忘れてる。
溜息を出して、ちらりと闘技場を視界に入れると、数名、横並びに立っていた。
そしてアナウンスが入る。
「やば、もう始まる?い、いの、1人やだ。そっちに行っていい?」
少ない荷物を持って、いのを見ると、快く頷いた。
お言葉に甘えて、いの達の席へ行くと、サクラちゃんもにこやかに席を一つずれてくれた。
お礼を言って席に着いたら、丁度火影様の声が会場に響きわたり、本戦開始の合図があがった。
わぁああ、と大きな歓声が会場を包む。
「サ……ケ、ん…やっ……り……」
「い…………ルト………」
サクラちゃんといのが、ぼそぼそと何か話しているが、煩くて上手く聞こえない。
取り敢えず試合の組み合わせ表を見直して、下にいる人達と交互に見る。
鮮やかな金髪はうずまき君で、その横はきっと奈良君。
そしてもじゃもじゃした黒髪は油女君。
女の人が1人いるから、あれがきっとテマリさんなんだろう。遠くて、顔がよく見えない。大きな長方形のような棒を背負っている。
黒い人は解らない。でも、どこかで見たなぁ。
あとは、誰が“カンクロウ”で“日向 ネジ”なのか。
「あ」
思わず声を出す。
いのがそれに目敏く反応して、どうしたの?と聞いてきた。
それに、紙と試合会場を指さして、伝える。
「我愛羅さん。今思い出した。というかあの子だったのか」
「なーに?あんた、砂漠の我愛羅と知り合いなのー?」
「砂漠の我愛羅?」
ん?と傾げていのを見ると、眉を寄せて試合会場を見ていた。
追いかけるように視線の先を見るが、そこには赤い髪の我愛羅さんしかいない。
何かあったのだろうか、彼と。
「我愛羅さん、砂漠の人なの?」
「砂の里の奴よー。予選で木ノ葉の忍とあたったんだけどー…」
そこでいのは少し言葉を噤んだ。
もごり、と口の中で何かを言ったみたいだが、よくわからない。
「いの?」
呼び掛ければ、少し肩が跳ねて、漸く私と目を合わせてくれた。
「……あいつは残酷で、酷いわ。もう会うことはないと思うけどー…気をつけなさいね」
へらり、と何かを隠すように笑ったいのに、違和感を感じながらも、頷くしかなかった。
だって、忍には忍にしか解らない物があるのだろうから。