キバ(nrt) 2013/10了
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
病院で暫く、うずまき君と試験について話した。
本戦出場おめでとう、私も見に行くよ、と伝えるととても元気に喜んでくれた。
うずまき君から聞いた試験内容は想像を絶する話ばかりだった。
大蛇に飲み込まれたとか、首が伸びる人とか、蟲で腕が爆発したとか、サクラちゃんといののクロスパンチとか、砂を操る瓢箪野郎、とか。
いののダブルノックダウンの話はいの本人から聞いてはいたが、最後がまさかのグーパンチを頬に叩き込んだとかいう熱血漫画も吃驚のノックダウンとは思わなかった。いの達男らしすぎる。忍者はそんなもんなのか。
蟲で爆発とかもよくわからないが、そもそもうずまき君の説明が飛び飛びでよくわからなかったし、本当に物凄くアバウトなダイジェスト版を聞いている気分だった。
いのがサクラちゃんの中に入ったとかもよくわからないし、今度本人に聞くことにする。
キバに噛みついたという話は思わず二度聞きしてしまった。
犬臭かったと言ったうずまき君だが、そもそもキバを噛むこと事態間違ってるというより羨ましい…ことなんてないんだからね!と誰に対してか解らないが憤慨してみる。
時間は大丈夫?と訊ねると、ダイジェスト版を話していたうずまき君はバタバタと慌ただしく仙人さんのところへ戻っていった。
それにバイバイと小さく手を振って見送り、少し息を吐いて、ロビーの椅子に座る。
白い壁に背中を預け、ガーゼが貼られて固定された足首を前へ突きだしてみる。
バカな怪我だなぁ、と思いながら、突きだした足を戻し、チラリとロビーの奥、病室棟へ続く廊下を何気なしに見る。
「ぁ」
キバが立っていた。
いつからいたのかは知らないが、私をじっと見ていた。
久し振りのキバはとても格好良く見える。
それでも、本戦まで会わないと決めていた私は、緩く静かに目線だけをうろっとさせてキバから外す。
本当はずっと見ていたいし、今すぐにでもキバの元へ駆けていって抱き締めてしまいたい。
試験お疲れ様と声をかけたい。
でもそれは、本戦会場まで待つんだ。
でも、もう一度だけ、と目線をキバに戻すが、そこにはもうキバがいなくなっていた。
当たり前のことだがやはり胸をごりっと抉られた気分になる。
いつもは私からキバへ話しかけ、向かっていっていたから気づかなかった。
やっぱり私から動かない限り、キバは私のところへは足を向けてくれない。
本戦まで後数週間。既に私はフられたも同然の心持ちで過ごすことになった。
***
家に帰ると数人の忍者の人がいた。
お母さんと話していた人達は私を見ると話し終わったのか、軽くお辞儀をして帰って行った。
なんだったの、と聞くと訃報だという。
木ノ葉の上忍が何者かに殺害されたらしいその報せは、私達一般人へ行動規制をかけられることとなった。
夜十時を過ぎたら安全のために家を出ないで欲しい、そしてなるべく二人以上で行動をしろとのことだ。
忍が殺されたなら忍を狙った犯行か、それとも乱闘の末というのも考えられるが、やはり力のない私達はそれに無言で頷くしかなかった。
それに、本戦出場予定だった音の忍も殺害されていたということから、警戒態勢が敷かれ、どことなくぴりぴりした雰囲気だ。
お父さんは暫く飲み会は無しだなぁとのんびりと言い、私にも一人で歩くなよとのんびり告げた。
親よりもイトの方が私に対して口酸っぱく言い続けてきたため、そろそろ耳タコである。
上忍のイトパパはその件の事件について飛び回っており、数日家に帰ってきていないという。
忍犬や素晴らしい嗅覚を持つ犬塚一族も数人駆り出されているらしく、はーちゃんによるとツメさんも中々帰ってこないらしい。
私は全く持って蚊帳の外のような気分で慌ただしい周りを眺めるだけだ。
結局一般人はあまり忍世界には密接していないから、警告されたところでいまいち実感がわかないものも仕方がない。
そんな中、イトが「本戦のチケットとれたよ」と持ってきてくれた。
席は決まっていないらしく、早めに行けば好きな席に座れるということだ。なるべく見易いところを取りたいため、朝早くから出掛けることにする。
前日からイトが私の家へ泊まりに来ることに決まった。
本戦はうずまき君達も戦いだが、私にとっても決戦なのだ、前日の夜はイトとともに入念に段取りをチェックすることになる。
そのためイトと共に女の子らしい勝負服を買いに行くことになった。
そこまでしなくてもとは思ったが、何故かイトが私より張り切っていたためそんなことを言い出せず渋々頷いて、私なりに可愛いと思う服を買ってしまった。
アウターとキュロットスカートだけで八千両と少しを超えたことにバイト代が飛んでいってしまったのは、目を瞑ることにする。