キバ(nrt) 2013/10了
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棒付きアイスを食べながら歩いていたら、知らない間に温泉街に来ていた。
あまり一人では来ない場所だから、方向がいまいち解らない。
まだお日様は高いし、ゆっくり帰ればいいのだけれど、温泉街に来て棒付きアイスだけ食べてぶらつくのは忍びない。
適当に小物屋さんに入って小さな犬のマスコットストラップを二つ買った。
赤丸みたいな犬と、ふわふわの毛の塊のような犬の二つだ。赤丸に似ているし、本戦の時にでもキバにあげよう。
いらないと突っ返されても、私が持っていたらいいや。
途中で食べ終わったアイスの代わりにヨモギ入りのスティックチョコを買って食べ歩く。
「うげ、やばい、…下手物は下手物だった」
チョコの甘みとヨモギの薬草臭さが何ともいえない。
そしてヨモギの苦さが相殺されていない。口の中が甘苦い気持ち悪い。
若干グロッキーになりながら、歩いていると、ぼふんっと面白い音が聞こえた。
気になって少し離れた壁に駆けより、ギリギリまで背伸びをして中を覗いてみると、金髪美女が全裸で立っていた。
その前には白髪の大柄な男性がにやけまくった顔をして鼻血を出している。
なにこれやばい現場を見てしまったかしら?そういう逢い引きとか言う場面?ちっくしょー歳の差リア充かよ。
思わずギリッと手をかけていた木の壁を握り込み、金髪美女を当てつけのように一睨みしてすぐに壁から離れようとした。
しかし、離れる際に不意にこちらを向いた金髪美女とばっちりと目があってしまった。
「ぎゃっ」
驚いた私は、思わず焦って後ろに下がろうとした際、背伸びをしていた足首を捻って地面に転ぶ。
「え!」
壁の向こうから驚いたような高い声が聞こえ、足音もする。
驚くのも無理はないか、向こうからすれば私が下に落ちたように見えたことだろう。
「ぃったー…」
自業自得か。勝手に覗いて僻んだ私が悪い。
涙目になりながら上を見上げると、金髪美女が壁の上から手をかけて覗いていた。
金の眉を顰めて、さも自分が痛そうな顔をしている。
「だ、大丈夫かってば?」
「あ、はい。大丈夫です…すみません覗いてしまって」
「?、そんなん別に気にしないってばよ」
どこかで聞いたことのあるような特徴的な喋り方も気になるが、金髪美女の不思議そうな顔も気になる。
リア充は覗かれることにさして気にしない心の余裕を持っているからリア充になるのか。
私との差にちくしょうと心の中で悪態をつきつつも、立ち上がろうとすればやはり捻った箇所に鈍い痛みが走る。
思わず痛みに声を上げてしまうと、金髪美女は焦ったように壁を乗り越えてきた。
跳躍力?それとも体を支える腕力?どっちが凄いのかわからないが、とりあえず全裸で路上はだめだと思います。
「痛いのか!?捻ったってば?」
「す、すみません、ほんとすみません」
金髪美女に手を握られ、支えて貰って立ち上がるが、如何せん豊満なその胸が目の前にちらつくため、目線がうろうろする。
同性だからおっぱいは平気でも、流石に見えそうで見えない、金髪に隠れるピンクの乳首は恥ずかしいよ!
私の顔が赤いことに気づいた美女は何を思ったか私の腰に手を回して抱え上げた。
「ちょ、?!」
焦って抵抗すると、美女は困ったように私を見る。
「のぞみちゃん足捻ったんだろ?それに顔赤いし、痛みで熱でも出たのかもしんねーってば!」
なんで名前知ってんだこの人。
親切心からの行動だろうけど一気に猜疑心が生まれ、美女が途端に怖い人に見えてくる。
私が硬直すると「ちょっと我慢してってばね」と言ったと思えば、私を抱えたまま、また壁を飛び越えた。やはり跳躍力か!
向こう側には恋人さんがおり、微妙な顔で私達を見ている。
「おいエロ仙人、修行ちょっと待っててくれってば。俺、のぞみちゃん病院連れてくからさ!」
「お前のぉ…。まぁ連れて行くのはいいとして、そのまま行くつもりじゃないだろうのぉ」
「…え?あー!忘れてたってばよ!」
恋人さんをエロ仙人と呼んだことも、男口調なことも、恋人さんが正論を言ってくれたことも、次の瞬間にすべて吹っ飛んだ。
ぼふんっと再び面白い音が私を抱えている美女からしたと思えば、私ごと一度白い煙に巻かれた。
視界が開けたときには、私を抱える腕が太くなり、引っ付いていた素肌がオレンジの服になる。
けほん、と一つ咳をしてから上を見上げて、私は唖然と口を開けた。
だってそれは、美女じゃなくて。
「なっ、え!?う、うずまき君ー?!」
叫ぶ私に、いつもの太陽のような笑顔を向けたうずまき君は、「今更何言ってんだってばよ」と言う。
「い、今更も何も私気づかなかった!金髪美女がうずまき君だなんて!え、何あれ何だったの」
「だから変な喋り方だったんだなー。あれはおいろけの術ってやつだってばよ。俺の十八番ー!このエロ仙人に向けてしてたんだけど、のぞみちゃんと目があったからそのまま忘れてたってばよ」
「術……忍者ってなんでもありなのね」
顔の熱さは引いたが、未だ動揺している。
初めて間近で忍術という物をみた嬉しさと驚きで心臓が煩い。だって私うずまき君に抱っこされてるし、例え術だとは言えうずまき君のおっぱい見ちゃった訳だし、と言うより私より大きかった…!
降ろして貰うことも忘れて、じっとうずまき君の顔を見上げていると、再び渋い声が聞こえた。
そうだ、仙人さんは恋人じゃなかった。
「なんだナルト、この子一般人か。それならはよう病院へ連れてってやれ。ワシも医療忍術はそんなに自信がないからの。ナルトにならやっておったが」
けろりと言う仙人さんに、うずまき君は激高するが、すぐに私へと視線を移し、また仙人さんへ目を向ける。
行ってくるってばよ逃げんなよ!と言いながら、またうずまき君は屋根の上に飛び上がった。
そのまま私を木ノ葉病院まで連れて行く間、ずっと屋根の上を飛び跳ねっぱなしで、私はその昇降を繰り返す上下運動で足が痛いだけじゃなく気分まで悪くなった。
結論、忍に運んで貰うときは横抱きは頂けない。
もしあれば、次からはおんぶにして貰うことにする。