キバ(nrt) 2013/10了
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はーちゃんにあったあの日から数日、久々にあったツメさんがキバは一次試験をパスして、現在二次試験の真っ最中だと教えてくれた。
良かった、そのまま本戦まで進めば私もキバの戦っている姿を見ることが出来る。
イトのお父さんに聞いたら、本戦は木ノ葉の大会場で行われるため、観客も入り大規模な祭りのようになると教えて貰った。
一度も忍としてのキバを見たことがない私からすれば、なんてラッキーなんだろうと喜んだ。
キバがそうやって頑張っている中、私は私で今まさに学校の筆記テストと戦い終わった。
回収された答案用紙を見送って、ばたんと机に倒れ込む。
「お疲れのぞみ」
「おれ、おれはもうだめだ…あいつは手強かった…おれは死力を尽くしたが…」
「いやおまえ誰だよ」
賺さず冷たく突っ込んだイトに、ノリが悪い!と叫びながら顔を上げると、呆れた顔と目があった。
「テスト終わったし、遊びに行こうよ」
「えーお金なーい」
「昨日給料日だったからなんか奢ってやんよー」
「イトちゃんまじ女神」
調子良いな、と毒づくイトを後目に、てきぱきと帰り支度をしてイトの腕を引いて学校を出た。
***
今日は甘栗甘で餡蜜をつつく。
イトは串団子五本だ。
つついていると、ふとイトが串をくわえたまま私の後ろを見た。
どうしたのだろうか、と私も後ろを振り返ると、そこには上忍ベストを着て黒い髪を上部で括った男性と、イトのお父さん、一度あったことのある紅先生とアスマ先生がいた。
少し頭を下げてから、イトへ向き直ると物凄く嫌そうな顔をしていた。
「イト、顔がやばい」
「うっさい。…なんでじじいいんのよ」
悪態を吐いたイトは、凄い勢いで口の中の串を噛み砕いて、唾を吐くように吐き出した。怖い、ヤンキーだよイト。女の子が串噛み砕いたらだめだよ。
その行為と同時にお父さん達が通路を挟んで隣の席へ座った。
「イトー聞こえてたからなー?じじいとかいうなよ、父さん頑張ってんだから」
「うっせーよくそじじい。なんでいんの意味わかんない」
つーか隣座んな、と睨みつけるイトに、まぁまぁと宥める。
「久し振りですパパさん。紅先生、とアスマ先生ですよね?覚えてますか?」
「のぞみちゃんは相変わらず可愛いなー、見習えイト」
「黙れクソジジイ」
手を叩いて頷くお父さんに、イトは間髪入れず悪態を吐く。
その横で紅先生はゆるりと笑った。
「覚えてるわ、前3班合同で食べに行った店の子よね?キバの幼なじみの」
「ああ、あそこの飯はうまかったな」
煙草をもみ消して頷くアスマ先生に、イトのお父さんの横に座っていた男性が声を出した。
しかし、何処かで見たことのある感じだ。
「なぁ、おい。お前ら皆知り合いか?つーか針之の娘さんか。似てねぇな」
「うるせーよ。可愛いお嬢さんはイトの友達ののぞみちゃんだ。ご両親ともに普通の民間人だ」
「キバの幼なじみでもあるらしいわ。忍具屋の近くの店でバイトしてるのよね」
紅先生がそう言うと、ん?と眉を上げた男性は、私をまじまじと見る。
少しそれに体が引き気味になった。
「何回かあの店行ってるが、タイミングか?見たことねぇな。俺は奈良シカクってんだ、よろしくなのぞみちゃん」
笑った奈良さんは渋くてとてもかっこよかった。
ぴん、と電球がついた絵が頭に浮かぶ。
「もしかして、奈良君のお父さん!」
「お、シカマルのことか?」
「ああ、シカマル達とも面識ありますからね」
アスマ先生がお茶を啜りながら呟いた。
その時に、店員さんに全員分注文した紅先生が、私に目線をあわせた。
「ねぇ、のぞみちゃん、キバ以外は名字呼びなの?」
「え、いのとかサクラちゃんとかヒナタちゃんは名前で」
「男の子よ」
ん、と言葉に詰まる。
確かにそうだが、何かおかしいだろうか。
首を傾げてイトを見るが、イトも何か変か?と訝しげな目線を大人四人に向けた。
「あまり、接点もないし頻繁に話す仲でもないので、名前はちょっと馴れ馴れしすぎるんじゃないかなって」
そう言うと、今度は大人組が目を丸くした。
あ、なんか忍と民間人との壁が見えた気がした。
「そんな、もんか?」
「普通の常識って、こうなのかしら」
「一般人との違いか、この歳んなって初めて知ったぞ俺は」
「イトとそんなに話さないから、俺が知らなかったのが一番ショックな気がする…」
唖然とする四人に、こちらも成る程、初対面の時から彼らがフレンドリーだったのは忍ならではだったのか、と納得した。
確かに香燐も最初から砕けて話しかけてきたなぁ。
生死に近いと人との繋がりを無意識に深くするのだろうか。
キバも、任務で命を落として、ある日いきなりいなくなったりするのか。
少し暗い考えに思考がかたむく。
「……試験中なんでしょ、上忍は会場にいなくていいわけ?」
「あー、試験官ならいなきゃいけないが、俺たちは違うからな。まぁ試験自体も今回はあと二日程度で終わるんじゃないのか?二次試験アンコだろ?」
「あ、アンコさん、試験官なんですか!?」
がたり、と思わず立ち上がった私に、五人分の目が向いた。
「なんだ、のぞみちゃんアンコ知ってんのか」
「常連さんで、よく話すんです。でも試験官だなんて一言も…」
「そりゃ一般人に仕事のことは中々話さねーよ」
奈良さんが運ばれてきた白玉を口に運んでから私にそう言った。
「本戦…本戦は、いつからとかわかりますか?」
「さあなあ…あと二日で二次試験が終わるだろ。本戦は試合だし、その間休養と療養、修行も兼ねて半月か1ヶ月の猶予は設けられんだろ。それに観客の集客もあるから宣伝と観戦チケットのあれもあるしなぁ」
多分、と言いながらも教えてくれたお父さんに、素早くお礼を言って、イトの腕をつかんだ。
いきなりのことに目を見開いたイトに構わず、腕を引っ張って立たせる。
「ちょ、なに、どうしたよ」
「思い付いた。行こうイト。私達も本戦見るの。チケット情報確認しなきゃ。木ノ葉ちけっとに聞きに行く」
「はあ?!まだ先だっつーの!つーか犬塚が本戦でるかもわかってないじゃん!二次試験で落ちてるかもでしょ!?」
とんでも無いことを言ってくれたイトの腕に力を込めて睨む。
「やめてよ不吉なこというの!それにもしキバが落ちててもいのがいるし、もしかしたらうずまき君とかサクラちゃんとか通過するかもじゃん!香燐も出るかもしれない!」
「うずまきも春野チャンもあんま力無いって聞いたぞ私!つーか誰よ香燐って知らない名前出すな!」
「香燐は友達!草の里って言ってた!そんなことよりはやく!行こう!私今回で掛けてるの!」
私達がギャーギャーと言い合っているのを唖然と見ていた大人四人に、ぺこりと会釈し、私の言葉に何か思うことがあったのか黙ったイトを引っ張って甘栗甘を後にした。