道連れ(三年) 2017/07了
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僕の浅ましい思いは、僕の心の内だけに潜めるつもりだった。
それがあいつに暴かれて、それで。
僕は心から幸せな気分になった。
だって、あいつが手助けをすると言った時から、僕の思い通りに事が進むんだもの。
数馬は僕から離れない。
ずうっと僕の横にいてくれる。
予習した通りに授業も実技も進んで、そうして僕の想いは届いた。
全部あいつのおかげだなぁ、僕、嬉しいよ。
可愛い数馬が僕のものになって。
数馬と僕の二人しかいない山小屋に、僕はいつも通り数馬の為に会いに向かう。
いつだって数馬が僕を待っていてくれて、僕が後で向かう。
それは幸せ。
けれど長屋に戻るといつもの友人に戻ってしまうのはいやだ。
それでも、それも今日で全て終わり。
だってあいつが、言ってた。
今日からは、二人きりでずっとあそこにいて良いって。
今日から二人きり。
優しい数馬と僕だけの、二人だけの空間で、ずぅっと一緒。
「幸せだね…数馬」
小賀から聞いたんだよ。
数馬も、僕と同じ気持ちで、僕とこれからずっと一緒にいるって。
山小屋の扉を開けると、そこにはいつも通り寝転がってすやすやと寝ている数馬がいる。
「ただいま、数馬」
この山小屋に来るのが夜だから仕方がないけど、たまにはおしゃべりしたいなあ。
優しい数馬に甘やかしてもらいたいな。
僕の頭を撫でて「そんなに必死に生きなくてもいいよ」って。
言ってほしいな。
ああ、ああ。
「好きだよ、数馬」
僕の浅ましいこの想いが、まさか君に届くだなんて。
眠る数馬の横に、静かに座り、柔らかい髪の毛を優しく撫でる。
ああ、綺麗な藤色だね、数馬にぴったりの優しい色だよ。
存在感がないなんて言われている数馬だけど、それでいいんだよ。
ごめんね、数馬。
数馬の存在をずっと認識しているのは、僕だけでいいんだよ。
「ねえ、数馬、ずっと一緒なんだよ」
ありがとうね、小賀。
君のおかげで大事な数馬とこれからずっと一緒だ。
「もう数馬を傷つける世界はなくなるんだよ。もう泣かなくていいんだよ」
「……二人とも、幸せにね。数馬と藤内と、お似合いだよ。ずうっとここで、幸せに暮らしてね」
「ああ、ああ…小賀、ありがとう」
いつのまにいたんだろう、でもそんなことはどうでもいいくらい、幸せだった。
蛞蝓のような、じとりとしたような空気を相変わらず醸し出す小賀が、奇妙にケタケタ笑っている。
それが祝福の拍手に聞こえた僕は、眠る数馬に纏わりつく濁った白い体の蛆虫を摘まみ、そのまま蛆虫を口の中に放り込んだ。
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