3話:はじめてジム戦やりました。

「……ウナギ女とのジム戦よりずっといいバトルじゃねぇか」


むしろヒメを気絶させてくれてよかったのかもしれない。

気絶……ゲームの用語では『ひんし』と言うだが、このひんし状態になることで戦えなくなる代わりに、ポケモンは自らの体を収縮させることで体力の回復を図るのだ。


これがポケモンと呼ばれる生物の共通の生態らしいのだが、再び戦えるようにするためにはポケモンセンターに行ったり、“げんきのかけら”などのひんし状態からの回復が可能なアイテムを使ったりすることでひんし状態を回復することができる。


もちろんポケモンは傷ついているし回復をさせなければならないのだが、ひんし状態になってしまえば他の状態異常は消えてしまう。


つまり………逆に言えば、気絶させられてしまったためにヒメは猛毒から解放されたのだ。



───これでヒメは毒に苦しむことはない。




「さて、どうすんのかな?」


仮面の下からでもほくそ笑んでるのが分かる。
勝利を確信しているのだろう、あのミミッキュ仮面は。



「──オメーは自分の父親から何を学んだんだよ」


「は?」


俺はおもむろに腰にマウントされたモンスターボールに手をかける。

俺の手持ちは気絶させられたヒメ以外にはムチュールとピッピだけ。

ぶっちゃけ分が悪いのは明白。



だがそれは正攻法で挑んだ場合。



……こいつら相手に正攻法で挑むつもりなんかサラサラない。




「いけっ!ピッピッ!!」


モンスターボールを投擲。
選んだポケモンはピッピ。


タイプだけでみれば目の前の敵にはフェアリータイプであるピッピは有利。


だがそんなこともはやどうでもいい。





──こっちには切り札がある!
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