3話:はじめてジム戦やりました。

「こらっ、ミミッキュ!そんなきったないモノ食べたらおなか壊すでしょ?ペッ!しなさい!ペッ!!」


「ケケッ……


……………ペッ!」


ジ……ミミッキュ仮面の指示を聞けば、ミミッキュは黒い腕を化けの皮に突っ込んだ後、先ほど捕食した粗大ごみ……もといノゾミ・ナカムラを吐き出した。


ノンたんは、一度咀嚼されてゴックンされたから見るも無惨なみすぼらしい格好になっている。

服がボロボロなこともそうだが、ミミッキュの中身を見たのか白目を剥いて、蟹のように泡を噴いている。

しかも下半身の方をみてみればショックのあまり放尿している有り様。



…………ホンッッットしょーがねぇなぁコイツ。




「ブフッ…………」


いかんいかん。戦闘中なのにこのギャグマンガさながらの光景に思わず吹き出してしまった。


流石は希望の担い手(笑)。

俺の腹筋を容易く破壊してくる。

この時ばかりは失笑の担い手の二つ名は返上だな。


でも、やっぱりポケモンバトルに集中しないと。




「ヒメ!ノンたんを武器にしろっ!!」


「イヌヌワンッ!!」


今度はこちらの番。

俺はヒメに指示を出す。


我ながらなかなか無茶な指示だ。

しかし、ヒメは嫌な顔ひとつせず頷けば、泡噴いて倒れてるノンたんの足を咥える。



そう、ノンたんを武器代わりにしてミミッキュを攻撃しようというのだ。




「イヌヌ…………ワーーーーンッ!!」


「なっ………!?」


ヒメはノンたんの足を咥えたまま走り出すと、ミミッキュに肉薄。

そしてそれをさながらハンマーのように振り回す。


これが俺とヒメのはじめてのオリジナル必殺技。




名付けて……………





「必殺!!

ノゾミラクルハンマァァァァァァァ!!!」



ヒメはその口に咥えた武装を何度も何度も振り回す。

さながらその姿はきょじゅうざんを放つザシアンのよう。

その小柄からは想像も出来ない力で自分より何倍も大きいノンたんの体を振り回す。

しかし、ノンたんの石頭が壁や電柱、地面に勢い良く叩きつけられるものの、当のミミッキュには掠りもしない。


…………というより、すり抜けてる。




「…………あっ、いっけねー☆

ミミッキュがゴーストタイプなの忘れてたー☆」


ミミッキュは確かフェアリータイプとゴーストタイプの複合タイプのポケモン。

ノーマルタイプやかくとうタイプの技はすり抜けてダメージは与えられないのだ。




「わざとだよな!?それわざとやってるよな!?」



一部始終を見ていたジニアによるハイテンションなツッコミ。

まさかジニアがここまでツッコミを入れてくるとは思ってなかった。


でも、やめるわきゃねーだろ?







「…………ノンたんさぁ、あんたのところでもらってくんね?うちにゃいらねぇんだけどこんな疫病神」



「…………ごめん、うちにも要らないそんな疫病神」



「だよねー」





「さっきからなんの話してんだてめぇら」


まさかのジニア様のお説教いただきましたー。まる。
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