3話:はじめてジム戦やりました。

「ぬっ…………ぬめっ~……」


「まろまろ~!!」


ボロボロになっても尚、がまんを解こうとしないヌメラ。

混乱はしている様子だが、本人が動かないので混乱によるダメージも期待できないか。


そして、オタマロはそんなヌメラを壁代わりにしてバブルこうせんを放ってくる。


がまんをさせたヌメラを盾に、オタマロで牽制、そしてがまんを解いて逆転………

確かに、ある意味では理にはかなってるのかもしれない。



でも…………何度も言うが自分ならともかくポケモンを盾にする戦略は気に入らねぇ。




「…………ジニア」


「あ?どした?」


「ムチュールちゃんを一旦引っ込める」


俺は、隣にいるジニアにムチュールを一旦ボールに戻し、ポケモンのチェンジをすることを告げる。


当然、ジニアは訝しげに俺を見る。



まぁ、そうだよな………普通ならポケモンを交代させるタイミングではない。

このまま攻め切った方がいいかもしれない。




「俺を信じてくれ…………一気に終わらせてやるから」


………やっぱりノンたんはいつまで経っても希望の担い手(笑)のままか。

“この間の戦い”で少しは信じてみようかな、って思ってたんだけどな。



「………それだけいうんならなんか策略はあるんだろうな?

もうそろそろがまんが解かれるんだぞ?」


「策略はないけど、やることはシンプルで分かりやすいよ。


───がまんが発動する前に倒してやる」


我ながら大言壮語だと思う。

自分で捕まえたポケモンはムチュールのみ。

あとはワンパチもどきのヒメだけ。



だけど………もう一匹、イレギュラーがいる。




─────新しい仲間が。




「………そこまでいうんならちゃんと実行してみせろ………口だけじゃなくて、な」


「わかった!……ムチュールおつかれさん!戻ってくれ!」


「むっちゅ!」


渋々ながらも了承してくれたのか、ジニアはオオタチに指示を出し、こちらに戻らせる。

オオタチからムチュールが降りるのを確認すると、俺はムチュールをボールに戻した。


そして…………




「行けっ!ピッピ!!」


俺はモンスターボールを投げた。


俺の3体目のポケモンはミチノリ社長からもらったあのポケモン。

かつてはピカチュウやプリンと並んで『ファンシー御三家』と呼ばれ、アニメの企画段階ではピカチュウと主役の座を争ったポケモン。



「ぴっぴッ!」


モンスターボールが展開すると、可愛らしく指を振る。


俺にはわかる………コイツの潜在能力は未知数だ。


桃色の悪m…………ではなく、桃色の妖精、ピッピ。



こいつで一気にカタをつけてやる!






「…………なぁ」


「ん?どうした?」


「ピッピって………そんなに強いのか?」



………やっぱりジニアは顔文字みたいな表情をしていたけどな。
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